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佐藤琢磨選手、2度目のインディ500制覇をホンダ本社で凱旋報告 八郷社長も活躍を祝う

2020年12月3日 開催

佐藤琢磨選手の指には2つのインディ500チャンピオンリング

 8月23日(現地時間)に開催された「第104回インディ500」において2度目のインディ500制覇を成し遂げた佐藤琢磨選手が帰国。本田技研工業本社ショールーム「Honda ウエルカムプラザ青山」で12月3日、凱旋報告会を開催した。この凱旋報告会には、本田技研工業 代表取締役 八郷隆弘氏も出席。世界三大レースの1つであるインディ500を2度も制覇した佐藤琢磨選手の活躍をたたえた。

 佐藤琢磨選手は2017年5月に開催されたインディ500にアンドレッティ・オートスポーツから参戦。HPD(Honda Performance Development)製エンジンを搭載した26号車で、アジア人として初めて、もちろん日本人としても初めてインディ500を制覇する快挙を成し遂げた。

 2020年のインディ500制覇は、やはりHPD製エンジンを搭載するレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの30号車で達成。この勝利により、佐藤琢磨選手はインディ500を複数回勝利したマルチタイムウィナーとなり、インディの歴史上19名、佐藤琢磨選手を加えて20名しかいない偉大なドライバーの1人になったと言える。

 その佐藤琢磨選手が日本に帰国。2017年の優勝車、2020年の優勝車を前にインディ500における2度目の勝利を報告した。

「Honda ウエルカムプラザ青山」に展示された、2020年(左)、2017年(右)のインディ500優勝車。12月4日も一般展示が行なわれる

「スコット・ディクソン選手と真っ向勝負をして勝てた」と、完璧な勝利

 佐藤琢磨選手は、コロナ禍の中で3か月ほど開幕が遅れつつもレースが開催できたことについて関係者にお礼を述べ、2020年シーズンのマシン解説を始めた。2020年のマシンでは安全性のためHALOに加えエアロスクリーンが装着されたことを紹介するも、このエアロスクリーンにより重量が30kg増えるとともに、重心点が上がったという。さらに空気抵抗が増加、インディ500において最も大事な最高速が落ちてしまった。

 そのため、エンジンのブースト圧を上げることとし、2017年と同系統のHPD製のエンジンはHPDの努力もあってハイブーストとなり、ダウンフォースを減らしたこともあってストレートスピードは向上した。

 その結果、ストレートスピードは去年のマシンより向上しているが、ダウンフォースは去年より減っているマシンとなり、ターン1への進入におけるタイヤのグリップ感が減少。最初は苦労したとのことだ。

 その後、セッティングを詰めていくことで、ホンダパワーを活かして予選で3位となりインディ500のフロントローを初めて獲得。大変興奮したという。

 2020年は、2017年の優勝や、そして昨年の3位という結果から得たものを活かし、レースの組み立て方に注力して最後の2つのスティントに照準。微妙な調整を繰り返し、フロントウィング、タイヤの内圧など完璧なマシンを作り上げることに成功。「スコット・ディクソン選手と真っ向勝負をして勝てた、本当にうれしかったです」と、完璧な勝利を実現できたことを報告した。

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングというチームに対する思い

多くのスポンサーに支えられ、活動を続ける佐藤琢磨選手

 その後、佐藤琢磨選手はレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングというチームに対する思いを熱く語り始めた。佐藤琢磨選手は2012年のインディ500において同チームから参戦し、レース後半にはトップ争いに加わったものの、2位だった最終周のターン1で1位になるべくアタック。しかしながらインの白線を踏んでしまい、クラッシュしてしまった。このレースは佐藤琢磨選手の「No Attack No Chance」というモットーとともに歴史に刻まれるレースとなったが、報告会ではそのシーンを「あの日、2012年に散った僕の1コーナーの夢」と紹介。

 2020年にレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングで優勝できたことで、その夢を手に入れるとともに「これで、チームオーナーをビクトリーレーンに連れて行ける」ということが真っ先に浮かんだという。また、2012年のチーフクルーが今も佐藤琢磨選手のマシンを大事に見てくれているとのことで、クルーへの思いや、ボビー・レイホール、マイク・ラニガン、デイビッド・レターマンの3人のオーナーへの思い、「とにかくこのチームでインディ500を勝つんだ」という8年越しの思いがかなった勝利とし、チーム、レース関係者、ホンダスタッフ、スポンサー、応援してくれたファンらに感謝の気持ちを述べた。

 2021年も同じ体制で、全力で戦っていくことを約束した。

ホンダ 八郷社長と2つの約束

本田技研工業株式会社 代表取締役 八郷隆弘氏(左)が佐藤琢磨選手のお祝いに登場

 佐藤琢磨選手が勝利を報告した後、八郷社長が登壇。「インディ500を見に行きたかった」としながら、コロナ禍のためにテレビ観戦になったという。八郷社長は124周目のロッシ選手との接触でびっくりしたこと、残り27周で佐藤琢磨選手がトップに立つも燃費が心配だったことなどを語り、さまざまな気持ちでレースを見ていたという。

 そして佐藤琢磨選手と優勝後に電話で連絡を取り合い状況を確認。最後に2つの約束を交わしたことを明らかにした。

 1つ目は「来年もホンダとしてサポートしていくのでシリーズチャンピオン、そしてインディ500を一緒にがんばっていこう」ということ。そして2つ目の約束が「優勝マシンを日本に持ってくること」だ。2つ目の約束は佐藤琢磨選手の目の前に2020年のインディ500優勝マシンがあることから、1つ目の約束より早く果たしたことになる。

レースの細部まで語る八郷社長。佐藤琢磨選手と2つの約束を交わした

 八郷社長は、2017年・2020年の優勝マシンを「佐藤琢磨選手の偉業を時代を超えて伝えるマシンになる」と紹介した上で、「2度あることは3度あるということなので、ぜし来年も(次の)優勝マシンを日本にもってきてほしいと思っている」と3度目のインディ500優勝に期待を寄せた。

 さらに、2021年シーズンも佐藤琢磨選手のサポートを約束するとともに、ホンダもがんばることを約束。佐藤琢磨選手へ「本当におめでとう」とインディ500の優勝を祝福する言葉を贈り、あいさつを結んだ。