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インディ500を優勝した佐藤琢磨選手がTwitterで勝利のメッセージ、記念撮影ではグリコポーズ

2020年8月23日(現地時間) 決勝

インディ500優勝でグリコポーズを披露する佐藤琢磨選手

 世界三大レースの1つ「第104回インディ500」が8月23日(現地時間)開催された。通常、インディ500は5月開催だが、2020年はコロナ過の影響で無観客試合となり8月開催となった。そのため、決勝スタート時刻は14時30分(日本時間 8月24日3時30分)と通常より遅めの時刻に設定された。

 インディ500は14時30分に500マイル(800km、200周)先のゴールを目指してスタート。スタート直後にポールポジションの98号車 マルコ・アンドレッティ選手を、9号車 スコット・ディクソン選手がターン1のアウト側からオーバーテイク。以降、ディクソン選手を中心に2020年のインディ500は展開されていった。

スタートシーン、アウト側のディクソン選手が仕掛ける

 レースはフルコースイエローが7度も出る展開で、インディ500らしくトップも20回以上入れ替わる展開に。101周目には、27号車 アレキサンダー・ロッシ選手が佐藤琢磨選手をパス。102周目には、トップのディクソン選手もパスし、その後はディクソン選手とロッシ選手がトップを入れ替えながら走行する状況が続いた。

 122周目に55号車 アレックス・パロウ選手がセーファーバリアに接触しクラッシュ。フルコースイエローとなり、各車はピットインのタイミングをうかがう。124周目にピットレーンがオープン。ディクソン選手やロッシ選手、佐藤琢磨選手など続々とピットイン。そのピットアウト時、佐藤琢磨選手の内側からピットアウトしたロッシ選手が接触。2台ともマシンに大きなダメージはなかったが、ロッシ選手にアンセーフリリースのペナルティが課され、ロッシ選手は隊列の後方に下がることになってしまった。

 レース後半は、ディクソン選手と佐藤琢磨選手、それに加え15号車 グラハム・レイホール選手などで上位陣が構成され、激しいトップ争いが展開された。157周目に佐藤琢磨選手はディクソン選手をオーバーテイク。1秒の差もない中で激しい争いが続く。

 168周目、トップを走っていた佐藤琢磨選手が最後のピットイン。給油とタイヤ交換を行ないピットアウト。そして、その次の周にディクソン選手がピットイン。給油とタイヤ交換を行ない、ピットアウトしていった。

 ピットアウト後の位置関係は、ディクソン選手、佐藤琢磨選手の順。その差は3秒強で、位置関係を逆転されてしまった。しかし、佐藤琢磨選手は171周目に自身のファーステストラップを記録。172周目のスタートフィニッシュラインで、ディクソン選手をアウト側からオーバーテイク。これにより順位は3位だが、上位2台は最後のピットインの必要があるので実質的なトップに立った。

 その後、上位2台は相次いでピットイン。185周目に佐藤琢磨選手はトップに立ったものの、ディクソン選手の激しい追撃にゴールまで佐藤琢磨選手が耐えられるのかという展開になった。佐藤琢磨選手は、周回遅れをうまく使いながら逃げ切りを図っている最中、196周目に45号車 ピゴット選手がターン4のセーファーバリアに接触し、その後コースを横切ってピット入り口の衝撃吸収ゾーンに激しくクラッシュ。フルコースイエローとなり、イエロー解除のないまま200周を走り切り、佐藤琢磨選手、ディクソン選手の順でゴール。佐藤琢磨選手は、2017年以来のインディ500優勝を成し遂げ、2度目のインディ500制覇となった。

インディ500ゴールの瞬間。フルコースイエロー中のゴールとなった
インディ500優勝を喜ぶ佐藤琢磨選手

 佐藤琢磨選手の2017年のインディ制覇は、世界三大レースでの一つである、100年以上続く伝統的なレースを日本人が初制覇したこともあり、偉業達成としてたたえられた。佐藤琢磨選手は、それを2度も成し遂げるという、想像を超えるような結果を残した。インディ500を複数回制覇したドライバーは、佐藤琢磨選手以前には19人しかおらず、20人目のドライバーとして歴史に名を刻んだ。

インディ500のスタートフィニッシュラインであるブリックヤードにキスをする佐藤琢磨選手

 佐藤琢磨選手は、優勝後、マシンに搭載するホンダエンジンを作り上げたHPD(Honda Performance Development)のスタッフとレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングチームのスタッフに謝辞を述べたほか、ポディウムでグリコポーズも披露。グリコは、佐藤琢磨選手の長年のパーソナルスポンサーでもあり、前回のインディ500優勝時は大阪 道頓堀のグリコサインが琢磨選手の優勝を祝ったことが話題になった。多くの人たちへの感謝を体で表現していた佐藤琢磨選手だった。

 この佐藤琢磨選手の偉業となった2020年のインディ500は、8月24日18時~21時50分にNHK BS1「完全放送 世界最速レース インディ500 佐藤琢磨が挑む!」として放送される。出演は佐藤琢磨選手、実況はピエール北川氏、解説は中野信治氏。