ニュース

【インディ500 2020】佐藤琢磨選手が予選3位 日本人初のフロントロースタート

ポールポジションはマルコ・アンドレッティ選手。フロントローはすべてホンダ・エンジンに

2020年8月23日(現地時間) 決勝

自己ベストの予選3位となり、日本人初のフロントロースタートが決定した佐藤琢磨選手

 過去103回にわたって毎年5月に開催されてきた世界三大レースの1つ、インディアナポリス500にもパンデミックの荒波は容赦しなかった。第104回「インディ500」は異例の8月23日まで順延されることになり、世界一と言われる30万人もの観客を集めるスポーツは25%の観客で開催される方向にあったが、一転して無観客での開催が決定。4日間から3日間のプラクティスに短縮され、8月15日に最初の予選に突入した。

 前日(8月14日)のファスト・フライデー(予選専用の高ターボ圧を使用)で233.491mphをマークし、1996年以来となるプラクティス最速のマルコ・アンドレッティ選手が、4周の平均速度で競う伝統の予選で231.351mphのトップ・スピードを記録。8月16日にポールポジションと3列目9番グリッドまでを決める「ファスト 9(ナイン)」の上位4台が、アンドレッティ選手を含むアンドレッティ・オートスポーツ勢と大躍進した。

 一夜明けた8月16日(日曜日)、強風の難コンディションとなった中で、最初にファスト 9の予選へ挑んだのは前日に9番目のスピードを記録していた第101回の覇者で、11回目のインディ500となる佐藤琢磨選手だった。多くのドライバーがラップを重ねるたびにスピードを落としていく中、コンスタントに230マイル台に乗せて230.725mphを記録。最終的に優勝時の4位を上まわる自己ベストの予選3位となり、日本人初のフロントロースタートが決まった!

 最後に予選を走ったのは前日最速のアンドレッティ選手で、スコット・ディクソン選手をわずか0.017上まわる231.068mphをマーク。チームオーナーで父親のマイケル氏が一度も果たせなかったインディ500ポールウィナーの座に輝いた。名門アンドレッティ家にとって、実に1987年のマリオ氏以来となるインディ500の予選トップであり、1週間後の500マイルレースで1969年のマリオ氏優勝から51年ぶりとなるアンドレッティ選手の勝利をファンは待望するに違いない。

ポールポジションを獲得したマルコ・アンドレッティ選手

 フロントローはすべてホンダ・エンジンが席巻し、ファスト 9で唯一のシボレーだった19歳のルーキー、リナス・ビーケイ選手が予選4位。2019年までチーム郷で日本のスーパーフォーミュラとSUPER GTを戦っていたアレックス・パロウ選手(デイル・コイン・レーシングwithチーム郷)は、240mphの最高速に達していながらウェイトジャッカーに不調が出て7位に沈んだが、とても初めてとは思えないほどの高い順応力を見せつけた。

 2020年からインディアナポリス・モーター・スピードウェイとインディカー・シリーズのオーナーになり、その最初のシーズンにパンデミックという未曾有の事態に見舞われていたロジャー・ペンスキーのドライバーは予選でも振るわず、2019年2度目のシリーズチャンピオンに輝いたジョセフ・ニューガーデン選手の13位がベスト。2019年ポールトゥウィンを達成したサイモン・パジノウ選手に至っては、25位という結果に終わった。

 2021年にF1に復帰することで最後のインディ500となるかもしれないフェルナンド・アロンソ選手は、26位から三大レース完全制覇を目指す。

 来週末、前代未聞の無観客で行なわれる第104回インディ500だが、その予選はいつもと変わらないエキサイティングな展開となった。世界中のファンがテレビの前に釘付けとなり、史上最高の視聴率をマークする要素は十分に揃ったといえるだろう。