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ブリヂストンの技術や未来への取り組みを紹介するバーチャル都市「Bridgestone World」を見てきた

CES 2021の開催に合わせて2月中旬頃まで無料公開

2021年1月13日 公開

CES2021に出展するブリヂストンは主要出展物であるバーチャル都市「Bridgestone World」のみを一般公開している

 ブリヂストンは1月11日~14日の間、オンラインで開催されている世界最大規模のテクノロジーの国際見本市「CES 2021」に出展している。

 ブリヂストンは出展を通じて「2050年にもサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供する会社であり続けること」という目標の実現に向けた取り組みへの姿勢や考え方を示すとともに、資料や動画などで具体的な内容を公開している。

 ブース内のコンテンツはバーチャル都市「Bridgestone World」を訪れて、そこに作られている都心部、郊外、産業や運送業の現場で使用されるブリヂストンのソリューションビジネスプラットフォーム「Bridgestone T&DPaaS」(Bridgestone Tire and Diversified Products as a Solution)を疑似的に体感できるようになっている。さらに公開されている資料などへの質問もチャット(英語のみ、開催時間内)で受け付けているということだ。

 また、ブース内のスペシャルコンテンツとしてブリヂストン・アメリカス CEO パオロ・フェラーリ氏が、ブリヂストンが描く未来の展望を語る30分ほどの動画(日本語翻訳、字幕なし)も配信している。なお、これらのコンテンツを見るにはCES 2021のチケット購入が必要になる。

無料で見ることができる「Bridgestone World」

 ブリヂストンはこのCES 2021への出展と連動し、より多くの人に同社が考える未来のサステナブルなモビリティ社会を見てもらうため、Bridgestone Worldの項目のみをCES 2021が終了したあとも2021年2月中旬頃まで公開している。フェラーリ氏の動画は見ることができないが、それでも訪れる価値は大きいものだ。

CES 2021に合わせて一般公開されている「Bridgestone World」についてのメディア向けバーチャルガイドツアーが開催された

 Bridgestone Worldでは、バーチャル都市の中でブリヂストンが手がける新しい事業や技術などを紹介している。都市は01~04の4つのエリアに分かれていて、01は「BRIDGESTONE VISION」という項目。ここは未来へ向けたブリヂストンの考えの全体図やビジネスモデルの解説が文章と動画でなされている。

01の「BRIDGESTONE VISION」はBridgestoneWorldの全体図が解説されている

 02は「TIRE AND RUBBER INITIATIVES」の項目となり、タイヤとゴムに関する事業や取り組みを紹介している。取り上げているのは空気を入れないタイヤの技術である「エアフリー」。そして、ブリヂストンの得意分野である鉱山車両用タイヤに関する技術や、整備などにかかるロスを解決するためのソリューションを紹介する「MASTERCORE」。3つ目の「SUSYM」は樹脂とゴムのハイブリッド素材で作るタイヤ技術についての紹介で、これは2019年の東京モーターショーでも公開されている内容だ。

「TIRE AND RUBBER INITIATIVES」の項目
鉱山車両用タイヤでは「断トツ」と自ら表現するブリヂストン。資料も多く公開されている

 Bridgestone World 03の内容は「TIRE CENTRIC SOLUTION」というもので、ここはアメリカや欧州ではすでに行なわれているサービスも含まれている。

 その1つが「MOBOX」で、これはイギリスで展開されているタイヤのサブスクリプションモデルのこと。そして「REACH」とはトラック輸送向けのアプリケーションで、運行管理やサービス担当者、ドライバーの連携を高めることを目的にしたものとなっている。

「INTELLITIRE」という項目は運行事業車向けのサービスのこと。車両に装着されたセンサーからの信号をネット上のクラウドへ上げる。そして専用アプリを使う運行管理者が、オフィス内にいながらタイヤの状況を正確に把握することで、メンテナンスの効率化を図るというものだ。こちらの動画ではセンサーの技術的な説明も行なわれている。

 03の項目の最後は「BANDAG」というタイヤのリトレッド技術の紹介だ。ご存じの方も多いと思うが、リトレッドとはすり減ってしまったトラックなどの車両に使うタイヤの表面を新たに張り替え、タイヤを再使用することで環境負荷や運送事業者にかかるコストを減らすという技術だ。

日本では開始されていないサービスのMOBOXはタイヤのサブスクだ
REACHはトラック輸送向けのアプリケーション
INTELLITIREは運行事業車向けのサービス
トラック用タイヤのリトレッド技術であるBANDAGの紹介

 最後は04「MOBILITY SOLUTIONS」の項目。ここは「AVIATION SOLUTIONS」「WEBFLEET SOLUTIONS」「MINING SOLUTIONS」という3つの内容からなっている。

 MINING SOLUTIONSとは02で出てきた「MASTERCORE」に関連するもので、マイニング車両(鉱山用トラック)タイヤ向け空気圧監視システムで圧と温度を監視し、さらにデジタルセンシングツールを組み合わせることで状況に合ったタイヤ管理を行なうという技術。タイヤ寿命を延ばしてコストを削減するだけでなく、最終的には交換用タイヤに使用される天然資源の消費を抑えることになるというものだ。

マイニング車両向けのタイヤ管理技術がMINING SOLUTIONS

 次の「AVIANTION SOLUTIONS」だが、これは航空機向けのものだ。航空機のタイヤの摩耗率は滑走路の路面状態、航空機の重量、そして気温によって異なるため、ブリヂストンのノウハウとデジタルタイヤ摩耗予測技術を用いてタイヤ交換の最適な時期を決定するというもの。現在はJAL(日本航空)とコラボレーションして技術を活用しているとのことだ。

AVIANTION SOLUTIONSは各種データとブリヂストンのノウハウから航空機タイヤの交換時期を決定する技術。JALとの共同で実用されている

 そして「WEBFLEET SOLUTIONS」だ。これはクルマの運行に必要な情報を提供するテレマティクスサービスに関することで、車両の運行管理、メンテナンス管理だけでなく、例えば複数台のトラックを同時に運用している運送会社では、さまざまな情報を元にどのドライバーをどこに派遣するのがよいのか、走行ルートなども運行管理がオフィスで確認できるということを紹介している。また、既存の技術にタイヤの状態の情報を加えると、より精度の高いソリューションが実現できることを解説する内容も盛り込まれている。なお、ここは12本もの動画が用意されている。

WEBFLEET SOLUTIONSはクルマの運行に必要な情報を提供するテレマティクスサービスにタイヤ状態の情報を加えて、さらに情報の精度を上げるというものを含む内容

 Bridgestone Worldのトップ画面には左下に「EXPLORE THE FUTURE」というエリアがあり、ここをクリックすると未来の都市が表示され、そこに向けたブリヂストンの考えや技術の解説があるので、Bridgestone Worldを訪れた際はこちらも覗いてほしい。このEXPLORE THE FUTUREは大きく4つのエリアに分かれていて、それぞれに動画も用意されている。

ップ画面には左下の「EXPLORE THE FUTURE」をクリックすると未来の都市に画面が切り変わる
EXPLORE THE FUTUREの内容

 これらの内容がCES 2021への出展にあわせてブリヂストンが公開している「Bridgestone World」だ。全編英語の構成になっているが、普段はなかなか見る機会がない動画なども多いのでこの機会に見ておくのはいかがだろうか。