日産、新型「ローグ」のフードやドアなどアルミ製部品に「クローズドループ・リサイクル」を適用

日産「ローグ」

　日産自動車は1月22日、北米で販売を開始する新型「ローグ」に採用したフードやドアなどのアルミニウム製部品に、日産のグローバルモデルとして初めて「クローズドループ・リサイクル」プロセスを適用したと発表した。

　クローズドループ・リサイクルは、生産時に発生した廃棄物やスクラップ、そして回収した自社の使用済み製品を同等の品質を維持した材料として再生し、再び自社製品の部品に採用する手法。

日産のアルミ製品クローズドループ・リサイクル

　このプロセスの採用により、原材料から一次合金を製造したパネル部品を採用した場合と比較し、CO2排出量の大幅な削減を実現するとともに新規採掘資源に頼らない材料への代替並びに工場からの廃棄物削減をさらに推進することを目指すとしている。

　日産は同車を生産する日産自動車九州においては神戸製鋼所、UACJと、北米日産スマーナ工場においてはArconic Corporation、Novelis Inc.と協業することで、新型ローグの製造時に発生したアルミニウムの端材スクラップを自動車用アルミ板にリサイクルするクローズドループ・リサイクルのプロセスを採用した。

リサイクルされた溶融アルミニウムは、テネシー州Arconicの操業する溶解炉から吸い上げられた後、保持炉に追加され、部品として鋳造される

テネシー州Arconicの事業所では、スキムトラックを使用して溶融アルミニウムから不純物を除去し、リサイクルを効率化している

　クローズドループ・リサイクルプロセスの中核をなすのは、大型のエア搬送システムで、ボンネットやドアが型抜きされると、スクラップはこの搬送システムによって細断され、アルミニウムの材種ごとにきちんと区別された状態で回収される。この分離回収プロセスにより、日産は不純物の混入を抑えた高品質のスクラップをサプライヤーに還元することができ、分離・再処理されたアルミスクラップは、従来材と同等の高品質を持つアルミ板に加工され、新型ローグのパネル部品を含む日産の生産用アルミとして再出荷される。

　アルミニウム協会によると、廃アルミニウムをリサイクルすることで、原材料から同程度のアルミニウムを作るのに必要なエネルギーの90％以上を節約することができるとされ、 同協会の推定では、生産されたアルミニウムの約75％が現在も使用されているという。今回のクローズドリサイクルでは、選別回収をすることで不純物混入を抑え、品質低下のない水平リサイクルを実現し、新規採掘資源（アルミニウム新塊）の使用量削減に貢献するとしている。

　日産では「ニッサン・グリーンプログラム2022」において、リサイクル材の使用やバイオ材の開発、サプライヤーや自社でのリサイクル活動、車体軽量化への取り組みなどを行なうことで、2022年に生産するクルマに使用する原料のうち30％を新規採掘資源に頼らない材料に代替することを目指している。今後も資源を効率的かつ持続的に使う仕組みを創造し、再生可能な資源や再生材の採用などにより資源の多様化を進めていくとしている。