ニュース
ブレンボ、環境に優しい「ブレーキローター」「ブレーキキャリパー」を開発
長寿命化を実現したことでメンテナンスや交換回数を削減可能
2021年2月3日 12:25
- 2020年1月29日 発表
ブレーキシステムを手がけるブレンボ・ジャパンは1月29日、革新的なデジタルプラットフォーム「Brembo Next」にて、よりサステナブルでスマートなデジタル製品やサービスを通じ、ソリューションプロバイダーへ変革していくことを発表した。
この新しいアプローチは、ブレンボの未来についてのビジョン「Turning Energy into Inspiration(=エネルギーをインスピレーションに変える)」の実現に向けたもので、このスローガンに沿って会社の競争力を高め、長期的な実行力を確保することが狙いだという。また、新戦略の発表と同時に従来品と比べて“よりグリーン”な(環境に配慮した)2つの新製品を発表した。
ブレンボのCEOであるダニエレ・スキラッチ氏は「私たちは人工知能とビッグデータでできた新しい時代に突入しました。私たちの新しいビジョンは、変化する時代を反映し、ブレンボの未来にイグニションの火をつけるものです。私たちは、デジタルソリューションをお届けする、真のデジタルカンパニーになることを計画しています。これを鑑み、私たちが事業を展開する主要地域に、卓越したR&Dセンターを設立してグローバル規模のイノベーション能力をさらに増強していきます。私たちのソリューションをAIと融合させ、次世代が憧れるクールなブランドとなることを目指します。私たちは自動車産業の枠となるメガトレンドの影響を先取りし、最先端のイノベーションを含む、驚きのソリューションをパートナーに提供するというミッションに取り掛かりました。環境にやさしい車社会を力を合わせて共に作っていきます」と述べている。
表面コーティングでブレーキダストの排出を低減する新技術
ブレーキディスクの新製品「Greentive」の特徴は、アウターローターに高速フレーム溶射(HVOF)技術により新たなコーティングが施されている点。Greentiveという名称は、「GREEN(緑)」と「DISTINCTIVE(特徴的)」を組み合わせたもので、このディスクが環境に配慮した製品であること、そしてひと目で分かるエレガントなディスクであることを表現したという。
Greentiveは、制動面の摩擦耐性が非常に高く、ディスク寿命を大幅に延ばすことに成功。また、ブレーキダストの発生も抑えられ、制動時の排出物が減り、ホイールへのダスト付着も少なくなる。また、コーティングにより高い耐腐食性も確保している。
さらに、アウターローター表面にブレンボのロゴを印字していて、ブレンボのアイデンティティを主張するだけでなく、ディスクの交換時期のサインとしても機能。高レベルの性能を維持しつつ、スタイルに特別な意匠を加え、持続可能性の観点で最先端の技術を形にした。
この新たなコーティング技術は、ブレンボ製のディスクのうち、ドリルドやスリットの加工がない軽量のデュアルキャスト(鋳鉄・アルミニウム)ディスクおよびツーピースフローティングディスク全種のアウターローターに施工できるという。
省エネブレーキシステム「ENESYS」を開発
ブレンボの新しいブレーキソリューションで省エネシステム「Enesys」は、自動車用ブレーキシステムの効率と性能をさらに高め、排出ガスの削減に貢献。省エネシステム(ENErgy Saving sYStem)の頭文字をとって名付けられたEnesysは、ブレンボが開発した新世代型のブレーキスプリング技術で、ブレーキの残留トルクの低減を目的に開発されたという。
従来、ブレーキペダルから足を離した後のブレーキパッドは、スプリングの働きでキャリパー内の元の位置に戻り、パッドとディスクの間に余計な摩擦をなるべく残さない仕組みになっているが、この働きをさらに向上させたのがEnesysで、数々の重要な利点があるとのこと。
ブレーキは使用していない時もブレーキパッドとディスクの接触がわずかに残るが、新開発のスプリングではこれを低減させることを可能にした。それにより同じエンジン・出力・重量の車両で比較した場合、車両の性能が全体的に向上したのと同じ効果が得られるという。
さらに、省エネシステムEnesysでは、ブレーキパッドとディスクの摩耗を抑え、残留摩擦で生じるブレーキダストが少なくなるため、自動車の排出ガス削減にも貢献。また、必要以上の摩耗を防ぐことは、製品の長寿命化とメンテナンスや交換回数の削減にもつながるとしている。