ニュース

ミシュラン、同社初のタイヤリサイクルプラントを南米チリに建設

年間3万tのアースムーバー用タイヤをリサイクルする計画

2021年2月9日(現地時間)発表

使用済みタイヤが良質な原材料に再生される工程イメージ

年間3万tのアースムーバー用タイヤをリサイクルできる見込み

 ミシュランは2月9日(現地時間)、スウェーデンに本社を置くエンバイロ(Enviro)との合弁事業として、ミシュラン初のタイヤリサイクルプラントを南米チリのアントファガスタ地域に建設すると発表した。同プラントは2021年に建設着工、2023年生産開始予定で、投資額は3000万ドル以上。

 使用済みタイヤのリサイクル技術はタイヤ産業にとって重要な柱であり、ミシュランの持続可能な原材料調達の取り組みの1つ。エンバイロは、使用済みタイヤからカーボンブラック、熱分解油、ガス、スチールを回収する特許技術を有しており、本プラントで年間3万tのアースムーバー(ブルドーザーやパワーショベルといった大量の土を動かす大型土工機械)用タイヤをリサイクルできる見込み。これはチリで毎年廃棄される当該タイヤの約60%に相当するという。

 プラントでは、使用済みタイヤを直接顧客の敷地から回収、運搬・切断してリサイクル。回収された材料の90%は、タイヤ、コンベヤーベルト、防振製品などさまざまなゴム製品に、残りの10%はプラントが自社の熱や電力として再利用する予定。

 今回の発表についてミシュランのハイテクマテリアル新規事業、マーケティングおよび事業開発責任者兼副社長のサンダー・フェルミューレン氏は、「エンバイロとの合弁事業で、ミシュラングループ初のリサイクルプラント建設について発表できることを大変誇りに思います。これは、新しいビジネスを開発しながら、お客さまへ新世代のリサイクルソリューションを提供するための大きなマイルストーンです。現在、チリの鉱業顧客数社と長期契約に関する交渉を進めています。ミシュランは、エンバイロの技術をさらにスケールアップすることで、環境目標をサポートしながら循環経済発展のためのソリューションを提供していきます」と述べた。

 タイヤリサイクルプラントの建設は、持続可能なモビリティを具現化するためのミシュランの経営・開発戦略として2017年のMovin’Onサミットで発表された「VISIONコンセプト」の実用化を進め、タイヤ生産に持続可能な原材料を増やすというグループの取り組みと一致。ミシュランは、この分野のイノベーションには新しい形のコラボレーションが必要であるとし、多様な技術分野の革新的なパートナーシップを構築していく構え。

2017年のMovin’Onサミットで発表された「VISIONコンセプト」