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トヨタ、「FCモジュール」を発売へ 2代目「ミライ」のシステムをパッケージ化してFC製品事業者に販売

FCスタックなど主要機器をコンパクトに集約してさまざまな製品に対応可

2021年2月26日 発表

外観イメージ:縦型(TypeI)

 トヨタ自動車は2月26日、燃料電池(FC)システムをパッケージ化した「FCモジュール」を、2021年春以降、FC製品事業者に向けて販売開始予定であると発表した。

 トヨタが開発した「FCモジュール」は、2代目「ミライ(MIRAI)」のFCスタックやエア供給・水素供給・冷却・電力制御など、各々のFCシステム関連部品をコンパクトに1つにパッケージ。定格出力は60kWと80kWの2種で、各々に縦型(TypeI)と横型(TypeII)の2種の計4タイプを揃えた。

 FCモジュールのサイズと質量は、縦型(TypeI)が890×630×690mm(長さ×幅×高さ)で約250kg、横型(TypeII)が1270×630×410mm(長さ×幅×高さ)で約240kg。定格出力は縦型(TypeI)と横型(TypeII)ともに60kW/80kWの2種。電圧はともに400~750V。

外観イメージ:横型(TypeII)

 トヨタでは、FCシステムをモジュール化して発売することにより、トラック・バス・鉄道・船舶などのモビリティや定置式発電機などさまざまな用途のFC製品の開発・製造事業者に活用してもらうことを目指す。

FC製品の開発・製造事業者に活用してもらう

FCモジュールと外部機器との接続例イメージ

 FCモジュールの特徴は、電圧範囲が400~750Vと広く、FC専用の昇圧コンバーターを内蔵したことでモーター・インバーター・バッテリーなどを備えた既存の電気機器に直接接続することができるため、より容易にFC製品の開発・製造が可能となり、モジュール化により利便性を大幅に向上させた。

 用途に応じて4タイプのモジュールを組み合わせることにより、さまざまな出力、搭載スペースに応じて柔軟に適合することが可能。モジュール化により、FCシステム関連部品を個々に搭載するための設計や各部品間の接続が不要になるとともに、適合させる機器との接続箇所を少数に集約することができるため、容易に搭載が可能としている。

「水素を漏らさない」「万一漏れても検知して止める」といった水素の使用や高電圧に対する安全性については、FCVやハイブリッド車などの電動車開発で培ってきた対策を実施。低・高温時や酸素量が少なくなる高地でのシステム稼働、振動対策など幅広い使用環境に対応。FC製品事業者が同モジュールを活用する際には、要望に応じて、経験豊かなエンジニアが、燃費や使用期間、ランニングコストなどに応じた最適配置・設計をサポートする。

 今後も、トヨタはカーボンニュートラルの実現に貢献するために、温暖化防止に向けたCO2排出量の削減を目指し、燃料電池自動車(FCV)の普及のみならず多くのFC製品事業者とともにFC製品の普及による水素活用の促進を目指し、FCのシステムサプライヤーとしての取り組みを強化していくとしている。