ニュース

デンソー、トヨタ「アドバンスドドライブ」製品解説 新型LiDARやルネサス搭載ADS、NVIDIA搭載ADXなど

デンソーがトヨタの高度運転支援技術「アドバンスドドライブ」に供給する製品群

デンソーの供給するトヨタ「アドバンスドドライブ」製品

 デンソーは4月9日、レクサスの新型「LS」および、トヨタの新型「MIRAI(ミライ)」に搭載される高度運転支援技術「Advanced Drive(アドバンスドドライブ)」に採用された同社製コンポーネントについてのオンライン説明会を実施した。デンソー製品は、新開発の新型LiDAR、ルネサス製SoC搭載のADS ECU、NVIDIA製SoC搭載ADX ECUなど多岐にわたり、今回の説明会ではその一部について解説を行なった。

 説明会には同社経営役員 モビリティシステム事業グループ長 武内裕嗣氏、AD&ADAS事業部長 渡辺浩二氏らが出席。デンソーがアドバンスドドライブ向けに供給する多くの部品の中から、ハイライトとなるものについての説明が行なわれた。

デンソー 経営役員 モビリティシステム事業グループ長 武内裕嗣氏(右)と同 AD&ADAS事業部長 渡辺浩二氏(左)
デンソーの製品群

 デンソーは、高度運転支援システム向けの走行環境認識製品として画像センサーやミリ波レーダー、HMI製品としてメーターやHUD、情報通信製品としてV2Xなどを提供している。その中から、最初に紹介されたのは、新たに開発したLiDARになる。

 この新型LiDARはデンソー製品として6世代目になり、新型LSや新型ミライではフロント部に装着。車両検知距離200m以上、広角検知エリア120度となりいずれも世界最高レベルという。このLiDARのスキャンにはメカ方式を使用しており、汚れに対応するためのヒーターとウォッシャーを装備している。

 また、自車位置特定のためのSiS ECU(Spatial Information Service ECU)も提供。このSiS ECUでは車線レベルでの特定を可能としているほか、前方の走路情報もADS ECUに提供していく。先ほどの新型LiDARの情報もADS ECUに提供していくとしていたので、位置情報などはADS ECUに集まっていく構成であろうと思われる。

デンソーのLiDAR
SiS ECU

ルネサス製SoCの「ADS ECU」、NVIDIA製SoCの「ADX ECU」

ルネサス製SoCの「ADS ECU」、NVIDIA製SoCの「ADX ECU」

 各種センサーの情報を処理する製品として紹介されたのがADS ECUとADX ECUになる。ADS ECUのADSは「Advanced Drive System」を表わし、「認識/自車位置推定/運動制御などの自動運転の基本ロジック搭載」「安全性確保のため複数のSoC、MCUで冗長性を確保」を行なっているという。一方、ADX ECUは「Advanced Drive Extension」を表わし、「AIを活用した機能の追加・性能向上」を行なっている。

 今回のアドバンスドドライブでは、ルネサス エレクトロニクスのSoC、NVIDIAのSoCが使われていることが明らかにされているが、どちらにどのように使われているか聞いたところ、ADS ECUがルネサス、ADX ECUがNVIDIAであると語ってくれた。詳細な使い分けについては明らかにされていないが、位置情報などがADS ECUに集中して入力されていることを考えると、認知・判断・操作といった自動運転に必要な演算はADS ECUでなされていると思われる。

 ではADX ECUはなにを行なっているかというと、「AIを活用した機能の追加・性能向上」とうたわれているとおり、映像情報からのオブジェクト認識などがメインになるのではないだろうか。ADS ECUはハードウェアでの冗長性確保、ADX ECUはそれに加えてAIでの冗長性確保になる。いずれもOTAによるソフトウェアアップデートが可能で、機能向上の余地を十分残したシステムになっている。

 今回、新型LS、新型ミライ用として発表されたアドバンスドライブは、ハンズオフドライブ可能な高度なレベル2自動運転機能となっている。しかしながら構成としては非常にリッチなもので、レベル3自動運転システムへの道筋をしっかり意識したものになっているとしか思えないものだ。

 トヨタ自動車の発表会において自動運転領域を担当するChief Digital Officerのジェームス・カフナー(James Kuffner)氏は、ソフトウェアもハードウェアもアップデート可能なシステムであると語っていた。トヨタの「アドバンスドドライブ」は、進化する自動運転システムであるのは間違いないだろう。