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ETCが街中で使える「ETCX」サービス開始 ETCソリューションズがサービス発表記者会見開催
2021年4月28日 16:29
- 2021年4月28日 発表
ソニーペイメントサービス、メイテツコム、沖電気工業(OKI)の3社で共同設立されたETCソリューションズは4月28日、クルマに乗ったまま街中でETCによる決済サービスを利用できるETC多目的利用サービス「ETCX」を開始すると発表した。
ETCXは、低コスト化したETC技術を活用して、高速道路以外の駐車場などの施設で料金支払いなどができるサービスとなり、ETCソリューションズが主体となって本格的にサービス展開を目指す。
ETCX誕生の背景としては、2013年6月14日に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」のなかで示された「駐車場等、高速道路以外の施設でもETC等のITS技術が利用可能となる環境を整備し、利便性向上を図る」という方針に基づき、有志企業とともにETC多目的利用サービスの実現に向けて検討が進められてきた。2017年以降、ETC多目的利用サービスの本格的な事業化に向けて、駐車場やフェリー乗船場、ファストフードのドライブスルー店舗などで、複数の試行運用を積み重ねてきたという。
ETCXでは、ソニーペイメントサービスの決済システム、メイテツコムが有するシステム構築・運営技術、OKIが持つETC周辺機器開発能力を活用するとともに、中日本高速道路や三菱プレシジョン、オリエントコーポレーションと「ETCX運営協議会」を組成し、各社が協力してサービスを提供する。
サービス導入の第1弾として、新名神高速道路の鈴鹿パーキングエリア(上り線)のピットストップSUZUKAのドライブスルーにて、4月29日より「ETCX」による料金支払が可能になる。また、静岡県内の伊豆中央道と修善寺道路の各料金所において7月1日より、有料道路では日本初となる「ETCX」サービスを開始。サービスの開始にあわせて、伊豆中央道と修善寺道路ではETCXで利用料金が得になる、新しい割引制度の導入も予定されている。
なお、ETCXは会員登録制となり、会員登録申込み受け付けを4月28日より開始。ETCXに会員登録したのち、登録時に利用したETCカードを車載器に挿入すると、「ETCX」のロゴマークが掲示してあるETCX対応店舗・施設(ETCX加盟店)にて、自動車に乗ったまま決済サービスを利用することが可能となる。
早期に利用可能な場所100か所、ETCX登録会員10万人達成を目指す
同日開催された記者会見に出席したETCソリューションズ 代表取締役社長の中村英彦氏は、当面の目標について「使える場所を増やすことで、ETCXの露出を高め、ETC登録をしていただくことで利用者数を増やしていく計画でございます。具体的な目標は、早い時期に利用可能な場所を100か所、ETCX登録会員10万人を達成していきたいと考えております」との意気込みを話した
また、ETCソリューションズの役割について、中村氏は「昨年10月1日にソニーペイメントサービスの子会社として設立されました。今年度からETCXという決済サービスの提供と会員管理を主体として事業を開始いたします。具体的にはまずETCXが利用できる場所を増やしてまいります。つまりETCXの加盟店を増やしていくということであります」と説明。加えて「駐車場経営の事業者とお取引のある三菱プレシジョンさまとともに営業活動を行ない加盟店を開拓いたします。空港やレジャー施設の駐車場には大きなニーズがありますので、各社の設備更新やサービス改善のスケジュールに合わせて導入してまいります」との考えを示した。
これまで展開してき試行運用について、中村氏は「コロナ禍でドライブスルーが大人気となっており、都内ではドライブスルー順番待ちの渋滞も目にします。KFC(ケンタッキー・フライド・チキン)さまでの試行運用でも、現金の受け渡しが発生しない、支払いが簡単に早く済むなど好意的な声をいただいており、ぜひドライブスルーにETCXを導入していただきたいと考えております。また、ガソリンスタンド、地方自治体の公共サービスなどでもご検討いただいており、準備が整い次第、順次加盟店として追加してまいります」と話した。
将来的な展開について、中村氏は「例えばマンションや工場の駐車場への入退室管理、渋滞緩和目的の道路課金、いわゆるロードプライシングなどいろいろな可能性を秘めていると考えています。昨日一部のマスコミで高速道路における変動料金制の導入を検討するとの報道がなされております。一部ではエリア料金に触れた記事もありましたが、ETCXを利用すれば高速道路以外、一般道路の特定エリアを通過する際に課金するということが可能になります。ロンドンやシンガポールなどで実施されているコンジェスチョンチャージは渋滞緩和やCO2削減を狙った政策ですが、ETCXを利用すれば日本でも同じような政策を実施することが技術的には可能になります」と説明した。
会見の締めくくりに、中村氏は「このように将来的にはさまざまな場面で活用できる可能性があります。まずはETCXを広めて皆さまに安全で便利な非接触キャッシュレス決済を体験していただけるよう努力してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします」との意気込みを話した。