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日産、新型軽EVについて内田社長「他社に先駆け国内市場に投入します」と予告 2020年度決算発表会レポート
2021年5月12日 06:00
- 2021年5月11日 開催
日産自動車は5月11日、同社 社長兼最高経営責任者の内田誠氏が出席する2020年度決算発表会を開催。
2021年度の商品面での取り組みについて、内田氏は「新型クロスオーバーSUVのアリアや日産のDNAを象徴するスポーツカーであるフェアレディZの新型車、インフィニティの新時代を切り開くQX60など、日産らしさを感じさせる商品を次々と市場に投入します」と予告した。
軽自動車EVを他社に先駆けて国内投入を予告
そして、今後のEV導入計画について、内田氏は「アリアは当社の強みであるSUVとEVを融合したモデルで、今までにないシームレスなユーザー体験とEVを超えた価値を提供し、新たな時代を切り開きます。すでに約20万人のハンドレイザーがいらっしゃり、日産を代表するモデルになることを期待してます。現在、三菱自動車との共同プロジェクトとしてNMKVで企画開発している軽のEVは、今後他社に先駆け国内市場に投入します」とアナウンスした。
e-POWERについては、内田氏は「e-POWERも積極的に搭載車種を拡大し、日本での成功を中国や欧州に広げていきます。中国では今年度のシルフィを皮切りに、2025年度までに6車種へ搭載する予定です。欧州のキャシュカイには、日産が世界で初めて量産を実現した可変圧縮比エンジン VCターボを発電専用エンジンとして使用するほか、来年度には新型エクストレイルにもe-POWERを搭載する予定です。また日本でも今後搭載車種はさらに拡大させていきます」と予告した。
内田氏は「今後も魅力的な商品を継続的に投入し収益性とブランド力を向上させることでNissan NEXTの最終目標である2023年度営業利益率5%の達成に繋げていきます」との意気込みを語った。
日産の2020年度グローバル販売は405万台
同社が公表した2020年度連結決算については、売上高7兆8626億円、営業損失1507億円、親会社株主に帰属する当期純損失4487億円となった。
業績内容については、同社COOのアシュワニ・グプタ氏から説明があり、この1年を通して事業構造改革「Nissan NEXT」の重点項目として掲げた「事業の最適化」と「選択と集中」の取り組みが着実に進展したことを報告して、目標を上まわる3500億円以上の固定費削減を実現するとともに、新商品ラインアップとして投入した米国の新型「ローグ」、日本の新型「ノート」e-POWERは、それぞれ好調な販売を続けていることを強調した。
2020年度通期決算においては、世界各国で新型コロナウイルスの感染が拡大したことにより、特に第1四半期3か月の販売台数が大きく減少し、業績に大きな影響を受けたことを説明。その後、販売は回復傾向にあるものの、新型コロナウイルス感染拡大による影響に加え、為替変動や半導体の供給不足等を含む外部要因が引き続き収益を圧迫したことを説明した。
グプタ氏は「総括いたしますと2020年度は、まず第1に逆風の中、当社は最適化と販売の質向上を中心とする事業構造改革を通じて赤字を圧縮すると同時に、新型車、新技術への継続的な投資を進めてまいりました。第2に、第2、第3、第4四半期は中国事業の持分法ベースでも営業利益とプラスのフリーキャッシュフローを達成し、事業の効率化および効果が向上していることを物語っております。第3に、今後は改善した損益分岐点の販売数量440万台をてこに、Nissan NEXTのもと540万台に向けて、利益ある成長を目指して参ります。日産の強み、これまでの成果と教訓を生かし、残る課題に慎重に対処してつつ、2021年度も取り組んで参ります」と総括した。
2021年度の業績見通しは売上高9兆1000億円で営業利益±0
2021年度の業績見通しについては、同社2021年度販売台数を前年比8.6%増の440万台となる見通しを示した。
内田氏は「2021年度の自動車市場は半導体供給不足の影響を受け不透明な状況が続くとみており、当社も例外ではなく第1四半期を中心に影響を受けると見込んでいます。現時点において年間の販売台数を正確に見通すのは厳しい状況であるものの、当社のグローバル販売台数は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で大きく落ち込んだ2020年度から8.6%増加し、440万台と予想しています」との見通しを述べた。
また、2021年度連結決算予想としては、売上高9兆1000億円、営業利益±0、当期純損失600億円の数値を公表した。
内田氏は「厳しい状況が続きますが研究開発費や設備投資といった将来に向けての投資は引き続き積極的に行なってまいります」と述べ、営業利益の対前年度実績からの増減要因については「為替、規制対応及び商品性の向上のコストといった外部要因が営業利益を約1千億円押し下げる要因になると見込んでいます。販売やものづくりのパフォーマンス改善は約5500億円と大きな増益要因になる見通しです。一方で新車購入にかかるコストは増加し、約1500億円の減益要因になると予想していますが、これはNissan NEXT達成とその先の成長に向けて必要な投資であると考えています」と説明した。
また、営業利益±0としたことについて、内田氏は「今年度は半導体供給不足や原材料価格の高騰といった大きなビジネスリスクに直面しています。しかし、それがなければNissan NEXTで掲げた目標通り、今年度の中国合弁会社比例連結ベースの営業利益は2%をうわまわることができる見通しです。これらのビジネスリスクの影響を最小限に抑えるべく、取り組んでおりますが、現時点ではリスクを織り込んだ営業利益の見通しをプラスマイナスゼロとしています。半導体供給不足の影響や刺激の影響を抑える方策については、引き続き精査し、必要に応じて第1四半期決算発表の時にアップデートしていきたいと考えてます」との考えを示した。
会見の締めくくりとして、内田氏は「Nissan NEXTにより厳しい環境においても会社は確実に正しい方向に向かっています。今年度も様々なビジネスリスクはあるものの引き続き改革をブレることなく断行していけば、目標は必ず達成できると私は確信しています。そして、情熱を持ってともに改革に取り組んでくれている世界中の従業員とともに、輝く日産を必ず取り戻していきます。引き続きどうぞご支援の程よろしくお願いいたします」との意気込みを示した。