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日産の新型「ノート オーラ」、ワイドボディや進化したe-POWERについてチーフエンジニアが解説

2021年6月15日 発売

261万300円~295万7900円

新型「ノート オーラ」(右)は現行「ノート」(左)から何が進化したか、日産自動車株式会社 第1製品開発部 チーフビークルエンジニアの渡邊明規雄氏が解説

新次元の電気の走りと上質さをまとったプレミアムコンパクト

 日産自動車は6月15日、「ノート」をベースに上質化を図った新型「ノート オーラ」を発売した。価格は261万300円~295万7900円。

 今回発表されたノート オーラは、ノートが持つ「洗練された上質な空間」「静かでゆとりのある走り」「上質さを極める次世代電動4WD」の3点をさらに昇華させたことが特徴で、新次元の電気の走りと上質さをまとったプレミアムコンパクトを目指したモデル。

“AURA(オーラ)”という英語には「気品」「独特の雰囲気」という意味があり、そういった気品があり存在感を放つプレミアムなクルマになるようにという思いと、ドイツ語で“アウラ”という「複製されたものにない、オリジナルだけが持つ輝き」という意味もあり、このクルマが見る人を引きつける唯一無二の輝きを放つ存在になるようにという2つの思いを込めて車名を付けたという。

 このノート オーラの概要について、日産自動車 第1製品開発部 チーフビークルエンジニア 渡邊明規雄氏によるオンラインプレゼンテーションが行なわれたので、その模様をレポートする。

ノート オーラは新次元の電気の走りと上質さをまとったプレミアムコンパクトを目指した

ノート オーラ価格表

モデルエンジン駆動方式価格
G直列3気筒DOHC 1.2リッター+EM47モーター2WD(FF)2,610,300円
G leather edition2,699,400円
G FOUR直列3気筒DOHC 1.2リッター+EM47モーター+MM48モーター4WD2,868,800円
G FOUR leather edition2,957,900円

40mmワイド化して3ナンバーボディに

ノート オーラが目指したもの

 今回のノート オーラでは、現行ノートのコア技術である「次世代上級小型車向けプラットフォーム」「第2世代e-POWER」を活用しつつ、外観ではワイドボディの採用によってノートの全幅から40mmワイド化して1735mmとし、3ナンバーボディとなったのが大きなポイント。また、ボディのワイド化に伴って超薄型LEDヘッドライト/LEDシーケンシャルターンランプ(兼デイタイムランニングランプ)を採用するとともに、フォグランプや横一文字に点灯するリアコンビネーションランプといった灯火類も全てLED化。軽量化にひと役買う樹脂加飾付き17インチアルミホイールも採用した。

 インテリアではツイード表皮と木目調パネルをインパネに採用したほか、ツイード表皮シート(または本革3層構造シート)、センターコンソールのイルミネーション、クラス初採用の12.3インチフルTFTメーターなどを新たに装備し、五感で感じる美しさと機能性を追求したという。

 12.3インチフルTFTメーターについては、従来からあるようなタコメーター(e-POWERではパワーメーター)とスピードメーターを並べたような「クラシック表示」、中央のナビゲーションの表示を大きくしつつ独創的なメーター表示を行なう「エンハンス表示」の2種類を設定。メーターディスプレイが9インチのセンターディスプレイと連動することで、例えば運転を1人で楽しむときはパワーと車速がひと目で分かるクラシック表示で、みんなでドライブするようなシチュエーションではセンターディスプレイでミュージック画面を表示させつつ、ドライバーはメーターディスプレイの地図が確認しやすいエンハンス表示で、といった使い分けができると渡邊氏は説明する。

 また、木目調パネルについては「今回特にこだわったポイントは、木目の凹凸をナチュラルに表現するために通常よりプロセスの多い15工程を経て本物感を追求しました。ツヤについても、従来のようなピカピカした木目調ではないツヤを抑えた表面処理をしたことでより本物感、ナチュラル感というものを追求しています」と紹介するとともに、本革3層構造シートでは「座ったときにフワッと包んでくれるような柔らかさを併せ持つような高級なフィーリングを感じていただけるシートを作り込みました」とし、「ベース」「ソフトウレタン(20mm)」「ワディング(10mm)」からなる3層構造シートは、シーマやスカイラインといった高級車クラスでしか採用してこなかったシート構造とアピール。

ノート オーラに搭載した技術
12.3インチフルTFTメーターや木目調パネルなどに採用で洗練された上質な空間に
通常よりプロセスの多い15工程を経て本物感を追求した木目調パネル
シーマやスカイラインといった高級車クラスでしか採用してこなかったシート構造をノート オーラに投入

 加えて、ノート オーラではBOSEと共同開発したオプション設定の「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」(8スピーカー〈フロント、前席デュアルヘッドレスト、ツイーター〉)を用意しており、「BOSEパーソナルプラスサウンドシステムは8つのスピーカーとラゲッジスペースにBOSEのアンプを搭載しています。これはBOSEさんと企画段階から共同で開発しており、シートの表皮や内装の生地に至るまでBOSEの理想とする音場を実現するためにどのような素材がいいのか協議しながら決めていき、最終的にノート オーラが持つ空間や音の吸収性を最適に合わせてセッティングされたもの」と述べるとともに、「音の広がりやワイドな音域を実現するというのはもちろん、音の広がりについても好みに応じて変えられるようになっています。われわれのオーディオシステムの評価を見ても、ノートのスピーカーシステムに対して大幅に向上したハイグレードなオーディオシステムが提供できるようになっています」と、その完成度に自信をのぞかせた。

「BOSEパーソナルプラスサウンドシステム」はプロパイロットやSOSコール、ワイヤレス充電器、NIssan Connectナビゲーションシステム(地デジ内蔵)などとセットで用意される。オプション価格は40万1500円

現行ノートからモーターの出力が18%、トルクが7%アップ

 一方、走行性能については静粛性を向上させたことについて触れ、「ノート オーラではルーフやフロント/リアドア、フロントのサイドウィンドウなどに遮音性を向上させるアイテムを投入しました。フロントドアにはプレミアムクラスでしか使わない遮音フィルムが入ったドアラミネートガラスを採用しました。快適な空間でBOSEの音楽を聞くというコンセプトをさらに支えるアイテムとして採用しました」とし、結果として車外の音の聞こえにくさや高速走行時の会話のしやすさといった評価軸では先代/現行ノート、欧州プレミアムコンパクトモデルの上を行く遮音性を実現していることを解説した。

高級車の遮音技術を導入

 また、ノート オーラのe-POWERは現行ノート(116PS/280Nm)からモーターの出力が18%、トルクが7%アップし、最高出力100kW(136PS)、最大トルク300Nmと性能向上を果たしたことをアナウンスするとともに、「これだけの動力性能というと、相当軽快に走るということがご想像いただけるのではないでしょうか。ノート オーラにお乗りいただくお客さまが毎日スポーツ走行するわけではもちろんないと思いますが、高速道路での中間加速や追い越しを行なうところでゆとりを感じる走りが実現できているのではないかと思います」とした。

 4WDモデルについては、現行ノートのリアモーターと共通の50kWというスペックになるが、100kW化したフロントモーター、17インチ化したタイヤのパフォーマンスなどに合わせて専用チューニングを実施。これにより発進・加速、減速、コーナリングといった次世代電動4WDの走りに磨きをかけたとしており、渡邊氏は「これによって実現できたことの1つの切り口として、0.15G減速時のピッチ角(フロントにダイブする角度)はノート(2WD)に対して20%小さい。20%と言われても分かりにくいと思いますが、乗っていただけると明確に分かるレベルになります。後輪で回生力を取ることによってフラットな減速というものを実現しています。また、中速走行時の回頭性はノート(2WD)よりも8%向上していまして、ハンドルを切った方向に素直に曲がっていくという、ノートでもご好評いただいている部分に磨きをかけました」と述べている。

現行ノートからモーターの出力が18%、トルクが7%アップ
全車速域で力強さをアップしたという
4WDモデルのリアモーターは現行ノートと共通のスペックだが、100kW化したフロントモーターや17インチ化したタイヤのパフォーマンスなどに合わせて専用チューニングを実施

 なお、渡邊氏は最後に「今回見た目の部分というのはわれわれこだわりを持って材料・加工いろいろな部分で工夫しましたが、走行性能の部分もご説明しましたとおり静粛性、走りやすさ、気持ちのいいコーナリングという全域でパフォーマンスを向上させていますので、ぜひそういった部分を乗って感じていただきたいと思います」と述べてプレゼンテーションを締めくくった。