写真で見る

写真で見る 日産「ノート」(2020年フルモデルチェンジ/3代目)

新型ノート。撮影車両はX。ボディカラーはビビットブルーメタリック/スーパーブラックの2トーンカラー。

 日産自動車「ノート」は日本をホームマーケットとしつつ、海外でも幅広く展開を行なうグローバルコンパクトカーだ。

 初代モデル(E11型)がデビューしたのは2005年。同じコンパクトカークラスの「ティーダ」より少し小さいボディにシンプルな内装など、エントリーモデル要素の強いキャラクターが与えられていた。2代目(E12型)が登場したのは2012年。ティーダが車種整理により廃止されたことに加え、日本車市場においてコンパクトカーの販売比率が高まりつつあることを受け、若干のボディサイズアップや高級感の付与などを行なうといったモデルチェンジを実施。さらに2016年に「e-Power」モデルを投入したことにより販売台数を伸ばし、幅広いユーザーから高い支持を受けることになった。

 そして、この12月に登場するのが3代目(E13型)だ。この新型は日産の事業構造改革計画「NISSAN NEXT」の先陣を切るモデル。新たな日産ブランドロゴを初採用するとともに次ステップの電動化技術、自動運転化技術により“新生日産”を代表するクルマとして位置付けられている。

立体感がありつつ段差や隙間が極力抑えられた仕上がりは、従来のコンパクトカーの概念を超えるモノ

 もっとも注目すべきなのは、第2世代へと進化を遂げたe-Powerだ。発電用に搭載した直列3気筒1.2リッターガソリン「HR12DE」型エンジンを利用してモーターで駆動するという基本部分は変わっていないものの、最新の電動化・知能化技術により全面ブラッシュアップ。まず、HR12DEエンジンは最高出力60kW(82PS)/6000rpm、最大トルク103Nm(10.5kgfm)/4800rpmと、従来型より2kW(3PS)出力を高めるとともに燃費を向上。組み合わせるモーターは「EM57」型から「EM47」型へと変更され、こちらは最高出力80kW(109PS)/3008-10000rpm、最大トルク254Nm(25.9kgfm)/0-3008rpmから、最高出力85kW(116PS)/2900-10341rpm、最大トルク280Nm(28.6kgfm)/0-2900rpmへと向上。WLTCモード燃費は最良値で29.5km/L(市街地モード29.9km/L、郊外モード32.6km/L、高速道路モード27.6km/L)。E12型との比較はJC08モード燃費になってしまうが、34.0km/Lから38.2km/Lへと向上している。

 こうしたスペック面での性能アップに加え、アクセル操作時の反応改善やクリープ走行の追加などによる使い勝手の向上、さらに滑らかな路面(騒音が小さい)時にはエンジン始動を抑え、荒れた(=騒音が大きい)路面で発電を行なうといった、走行時の路面状況に応じた発電制御をすることによる静音性の向上など、多くの点で第2世代にふさわしい進化を遂げている。また、後日追加予定のe-Power 4WDについても大きく進化。後輪駆動用モーターを変更することで、これまでの3.5kWから50kWへと出力を大幅にアップ。全車速域で4輪駆動とするほか、後輪での回生制御も追加となる。雪国のユーザーには魅力的な選択肢となるはずだ。

 少し意外なのがボディサイズだ。この新型は次世代上級小型車向けプラットフォームを採用することにより、ボディ剛性30%、ステアリング剛性90%、サスペンション剛性10%と高剛性化を実現するとともに、軽量化や遮音性向上など多くの面で進化。その一方で、ボディサイズはE12型(e-Power S)が4100×1695×1520mm(全長×全幅×全高)だったのに対し、新型は4045×1695×1505mm(全長×全幅×全高)と全長を55mm短縮。ホイールベースも2580mmと20mm短縮されている。これにより後席ヘッドルームおよび同ニールームはE12型より減少しているもののクラストップを維持しつつ、最小回転半径は4.9mと市街地や駐車場などでの取りまわしのよさを実現している。

斜め後方から見ると全長が短くなったことを感じさせないフォルムであることが分かる。シャークフィンアンテナはXグレードのみ装備

 新しいブランドロゴの採用に伴い、外観も従来の日産車から一新。フロントマスクのアイデンティティとなっているVモーショングリルを刷新するとともに、発売予定となっているEV(電気自動車)「アリア」と共通するテイストを採用し、“電動車のためのまったく新しいスタイリング”とした。内装においても先進感を強調。特に7インチディスプレイを採用したメーターパネルと、ナビ&AV系のディスプレイ(オプション)を一体としたバイザーレスディスプレイを採用したインパネは、アリアを先取りした格好で新鮮なイメージとなっている。電子制御のシフトやフローティングタイプのコンソールも、これまでのコンパクトカーとは一線を画した質感を表現している。

ボディサイズは4045×1695×1505mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2580mm

 先進安全装備での注目は、進化した「プロパイロット(ナビリンク機能付)」(オプション)だ。新たに追加されたカーナビとの連携機能により、地図情報をもとにしたコーナーでの減速を実現したほか、高速道路上と認識した場合は停止後30秒まで追従走行を継続、さらに速度標識読み取りによる自動速度設定など、より幅広いシチュエーションでプロパイロットの作動を可能とすることでドライバーの負担を軽減する。そのほかにも車両に搭載した5つのカメラ、3つのレーダー、8つのソナーにより車両周囲360度を監視、車両検知や衝突防止、予測といった機能を搭載。安心ドライブを実現している。

 グレードは「F」「S」「X」の3タイプで、Fは法人ユースを想定したモデル。価格は順に205万4800円、202万9500円、218万6800円。全グレードにe-Powerを搭載しており、前述したように発売時点では2WD(FF)のみとなっている。ただ、プロパイロット(ナビリンク機能付)などは最上級のXグレードのみオプション装着可能となっているため、パーソナルユースを考えるなら選択の幅は広くない。ボディカラーはモノトーンが特別塗装色となる「オーロラフレアブルーパール」など9色、ルーフまわりを「スーパーブラック」とした2トーンが「ビビットブルーメタリック/スーパーブラック」「オペラモーブ/スーパーブラック」の2色が用意されている。

フロントグリルには新しいブランドロゴが輝く
プロパイロットなどの安全装備の要となるフロントカメラ
燃料は無鉛レギュラーガソリン仕様。タンク容量はFのみ32L、それ以外は36L
バックドアにはe-Powerのバッヂ。新型は全グレードに付く
水平に伸びるリアガーニッシュにはNISSANの文字。ステッカーではないところに新型の意気込みが感じられる
バックドアを開けたところ。新型では開口部の見栄えにもこだわったという
こちらの撮影車両はX。ボディカラーはオペラモーブ/スーパーブラック
全グレードにオプション設定されるLEDヘッドライト。先行車や対向車を検知して照射範囲を自動で切り替える機能も備わる
リアコンビランプの点灯パターン
ボンネット内には発電用エンジンと一体型のインバーターなどが収まる
インバーターは40%小型化されるとともに33%軽量化されている
燃費基準と低排出ガス車のステッカー
Xグレードのタイヤサイズは185/60R16でフルホイールキャップが付く。その他のグレードは185/65R15
Xグレード向けのオプションの16インチアルミホイール
インパネはオプションのナビゲーションとメーターディスプレイを一体化。メーター周囲をバイザーレスとするとともにフラット化することで先進かつシンプルなイメージ
ステアリング形状も一新。スポーティなデザインとなった
XとSグレードではオプションで本革巻ステアリングを選ぶことが可能
スポーク部のスイッチ類とこちらも新しくなったブランドロゴ
ウインカーレバーも一新
シフトは電子制御のスイッチタイプになった。ベース部分がピアノブラックとなるのはXグレードのみ
シフト横にはドライブモードの変更スイッチなどが並ぶ
ペダルまわり。パーキングブレーキは電動になった
メーターパネルは左側に7インチ液晶、右側に5インチセグメントを配置。見やすさと多彩な表示を実現
メーカーオプションとなる「NissanConnectナビゲーションシステム」。9インチのディスプレイを採用し、プロパイロット(ナビリンク機能付)も実現
9インチディスプレイの採用によりナビゲーションだけでなくアラウンドビューモニター表示も見やすい
オートエアコンは全車標準装備
タイプAのUSB電源ソケットが標準。オプションでタイプCとワイヤレス充電器の装着が可能
運転席側のカップホルダーは紙パックにも対応。収納時はスマホを置くことができるポケット形状になる
ステアリングコラム右側のスイッチ群。下にはETC車載器の装着スペースも用意
センターコンソールはフローティングタイプ
下部は大型の収納スペースになっている
メーターパネル上には情報提示時の音を再生するスピーカーを配置。今回はバンダイナムコのサウンドクリエイターとのコラボレーションにより、これらの音が一新されている
Xグレードのシート表皮はグレデーショントリコット
オプションで本革も用意される
運転席ドアトリム。インナーハンドルがメッキ仕上げとなるのはXグレードのみ
アームレスト部にドアミラーとパワーウィンドウのスイッチを集約
リアシート
このクラスでは珍しいリクライニング機構を備える。リクライニング角は4度
リアドアのドアトリム
バックドアの開口部
ラゲッジスペース下部にはジャッキやツール類が収まる。トノカバーやラゲッジアンダーボックスはオプションで用意
ラゲッジスペース