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日産、新型「ノート」発表会レポート 第2世代e-POWERを搭載し、ピュアEV「アリア」と同じデザインランゲージを継承
2020年11月24日 15:44
- 2020年11月24日 発表
日産自動車は11月24日、新型コンパクトカー「ノート」の発表会をオンラインにて行なった。
発表会ではまず最高執行責任者であるアシュワニ・グプタ氏が登壇し、2010年に世界で初めてグローバルな量産型EV「リーフ」を発売して非常に好評だったことを紹介。さらに、日産は電動化によって低炭素社会を実現させるために、いち早くEVを世界へ届けてきたことについて言及。モーターによる走りを極めることで、EVファンや日産ファンが増えてくれたと解説した。
また、今でもEVの開発と普及を推進しているが、その過程でまったく新しい発明とも呼べる「e-POWER」が誕生したと紹介。リーフで培った高度な電動化技術、インバーターの制振制御技術、高出力モーターのトルク制御が、充電の心配をすることなく思う存分モータードライブを楽しむことができる日産独自のe-POWERを生み出したという。2016年にはノート e-POWERを発売し、2017年にはセレナ e-POWERとともにクラスNo.1を獲得。キックスも2020年にRCJテクノロジーオブザイヤーを受賞するなど、e-POWERの優位性を語った。
続いてe-POWERは、新感覚ドライブ、リニアで気持ちのよい加速、アクセルペダルだけで運転できるワンペダルドライブ、バッテリーのみで走行できる低燃費などが好評で、日本でのe-POWERの満足度は90%を超えていることを紹介。一度乗ればまた乗りたくなり、ずっと乗っていたくなると自負。そしてそのe-POWERをさらに磨き、パワーとレスポンス、静粛性と燃費性能をよりいっそう向上させた第2世代のe-POWERを開発し、新型ノートに搭載したと明かした。
すでに全世界で43万台を販売したe-POWERだが、2020年にはe-POWERを搭載するキックスを日本以外のタイとインドネシアでも販売し、現地でも大きな反響があるという。さらに今後中国や欧州でもe-POWER搭載車を発売する予定で、2023年までにe-POWER搭載車両の販売台数年間100万台以上を目指すと語った。
開発の狙いと搭載される新技術
続いて、開発責任者の渡邊氏から、開発の狙いと新技術についての解説が行なわれた。新型ノートの開発コンセプトは「常識を超える、先進コンパクトカー」で、第2世代e-POWERと新プラットフォームがもたらす感動の走り、使いやすさを極めた上質なインテリア、充実の先進装備にサポートされた安心ドライブという3つの要素を持ち合わせることで、コンパクトカーの常識を超えるべく、もの作り部門が一丸となって開発に取り組んだと紹介。
そして代表的な3つの新技術を採用していると明言し、高効率モーター・一体型インバーター・高効率ジェネレーター・高効率エンジンと、これらをコントロールする高度な制御システムの設計を1から見直し開発した第2世代e-POWERは、よりEVに近い上質な走りを実現したと紹介。
さらに、超ハイテン材を要所に配した高強度・高剛性ボディ、刷新した高性能・高剛性サスペンション&ステアリングシステム、高遮音パッケージとなる次世代型上級小型車向けプラットフォームを採用したことで、2クラス上の乗り心地とハンドリング性能を実現できたという。
ここで、元フェンシング日本代表で、今は日本フェンシング協会会長・国際フェンシング連盟副会長を務めながら、日産エキサイトメント アンバサダーを務める太田雄貴氏による試乗ビデオが流され、太田氏は日産のテストコース「GRANDRIVE」で、新型ノートの加速力、なめらかさ、静粛性を体感。映像ではドライビングの気持ちよさに笑顔が絶えない大田氏が映し出された。
最後に渡邊氏は、プロパイロットの進化について、従来のプロパイロットにナビゲーションとのリンク機能を新たに追加したことで、地図情報を基にルート減速支援、制限速度支援を追加装備し、より使えるプロパイロットへ大幅に進化したと紹介して締めくくった。
ピュアEV「アリア」のデザインランゲージを継承
続いて、デザイン責任者の入江氏が登壇し、新型ノートのデザインは極限まで要素を絞り込みピュアな造形美を作り込むために、デジタルツールを使いながらもフィジカルチェックが何度となく繰り返し行なわれ、まさにデジタルとフィジカルの融合によって誕生したデザインだと紹介。
ピュアEVである「アリア」と共通のデザインランゲージ「タイムレスジャパニーズフューチャリズム」を継承し、組子をモチーフとしたフロントグリル、薄型ヘッドライトを採用。リアコンビランプも水平に広がる横一文字のシェイプを施したことでワイド感を演出。
内装は小型電制シフトデバイスを採用。革新的なデザインと快適なドライビングを両立し、コンパクトカーでありながら開放的で未来的な仕上がりになっていると紹介しつつ、入江氏は実際に運転席に座り、シフトノブなど操作性の高さを披露した。また、ボディカラーは全13色を取り揃えていることも紹介し、コンパクトカーの常識を打ち破るべく、関わったデザイナー全員が自信を持てるデザインに仕上がったと締めくくった。
日産の電動化への道を確固たるものにするクルマ
最後に星野副社長が登壇し、新型ノートは新しい日産のロゴマークが付いた初めての量産車で、12月に発売されると明言。20年以上にもおよぶ電動化と自動運転技術の開発をしてきた日産にしか創り上げることができない新型ノートは、コンパクトカーの枠を超えた走りとクオリティで、ユーザーの期待を超えて常識を覆す、まったく新しい価値を提供し、さらにツインモーターを備えた4輪駆動車も、まもなく発売する予定であることも語った。
また、キックス e-POWER、セレナ e-POWERに加え、進化した第2世代e-POWERと最新のプロパイロットで、電動化と自動運転技術をけん引し、事業構造改革「NISSAN NEXT」も着実に進捗させるとまとめた。
質疑応答では、新型ノート e-POWERにかける意気込みについて星野副社長は、「国内外はもちろん、日産としてもとても重要なクルマとなっていて、期待を背負ったクルマ」と回答。
ライバル車に対する強みについて渡邊氏は「進化した第2世代e-POWERと新型プラットフォームによる走りの質と居住性の両立。さらに、進化したプロパイロット、クラストップぺレベルの安全装備が強みである」と回答。
さらに、他社はガソリン車も設定しているが、e-POWERのみの設定で大丈夫か、という質問に対して星野副社長は「ガソリン車も設定すれば台数も増えるとは思いますが、環境問題に対する選択と集中という観点から、e-POWERのみの設定としたことで低炭素社会への貢献を成し遂げる」と回答した。
最後にスカイラインのプロパイロットとの違いについて渡邊氏は「高精度地図を使わない利点は、ナビゲーションのリンク機能を採用したことで、より広いユーザー層に使い勝手がよい内容になっている」と回答した。