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日産、ワーケーションしたくなる2台の「NV350 キャラバン」と「ノート」のアウトドア仕様を徹底チェック

東京オートサロン2021に出展予定だった車両の全貌が明らかに

 日産自動車は、「東京オートサロン2021」に出展を予定していた車両を「NISSAN CUSTOMIZE 2021」という特設ページで公開している。そして今回、NISSAN CUSTOMIZE 2021内から3台のコンセプトモデル(うち1台は初公開)の実車が報道陣に公開されたので、それら車両について紹介していこう。

新しい仕事環境を提案するコンセプトモデル「NV350 キャラバン オフィスポッド コンセプト」

 広い空間を持つNV350 キャラバンは、配送や建築関係の仕事で重宝されるだけでなく、アウトドア趣味や車中泊用のクルマとしてのカスタマイズ人気も高かったが、近ごろは在宅勤務をする層から「集中できる仕事部屋」として使いたいというニーズが出てきたことで注目されている。そこで日産は「未来の自由な働き方にあわせて、好きな場所で仕事ができる環境を作る」という視点から、NV350 キャラバンをベースにした「NV350 キャラバン オフィスポッド コンセプト」を製作したという。

NV350 キャラバン オフィスポッド コンセプトはNV350 キャラバンをベースにした新しい仕事環境を提案するコンセプトモデル

 NV350 キャラバン オフィスポッド コンセプトの最大の特徴は、車内に組み込まれた「オフィスポッド」と呼ぶ装備。これはデスク、チェア、壁面が一体になったモジュールで、NV350 キャラバンのラゲッジスペースを利用したオフィススペースと連結するよう積みこまれている。

 オフィスポッドを搭載した状態でリアのスライドドアを開けて乗り込むと、そこは室内形状を活かした細長いデスクを持つ1人用のオフィスとして使用できる。駐車場に駐めたクルマが自分専用のオフィスになることは便利と言うだけでなく、子供のころに憧れたであろう「秘密基地」的な魅力もあって、出勤がワクワクするものになりそうだ。

 さらにオフィスポッドは、フロアに引かれたレールに沿って車外へ作業スペース部分を引き出せる構造なので、通勤コースとは逆の方向にクルマを走らせ、自然が豊富なアウトドアフィールドでオフィスポッドを外に出せば開放的な環境で仕事をすることもできるのだ。

 在宅勤務を導入する企業が増えてきているこの時代、クルマの中を仕事場にするというスタイルは広まりそうなだけにNV350 キャラバン オフィスポッド コンセプトはショーモデルで終わらず、市販化に向けて開発を進めて欲しいクルマである。

オフィスポッドは引き出すことが可能になっている
壁面とデスクが一体式。チェアも壁に固定されている
引き出した状態での開放感を得るため、リアゲート側、正面、背面は壁のない抜けたデザインになっている
オフィスポッドの床面は透明の素材でできている。展示状態では山の中で撮影してきたという小川の映像を床下に流していた。条件があえば実際にこうしたシーンでの展開も可能だ。なお、チェアを壁面からの固定にしたのは、こうしたシーンでチェアの足が視界のジャマにならないためとのことだ
オフィスポッドへは左側スライドドアから乗り込む
オフィスへのドアをイメージして取っ手を装備する。走行時のために簡単に取り外せる作り
ラッピングに隙間を作り、ガラス面を出して内部の照明を見せるデザインは、ビル内にあるオフィスのドアをイメージしたもの
車内に入るとコーヒーメーカーが置かれた棚がある。横にあるハシゴはルーフへ登るためのもの
右側の壁が室内にせり出しているが、裏側は電源等が置ける収納スペースになっている。ここへは右側スライドドアからアクセスできる
オフィスポッドを引き出した状態で天井となるパーツはリアゲートに固定されている。天井から下の部分がスライドして出し入れできる作りだ
チェアの固定法も独特。これは足下の眺めを損なわないためと、走るたびにチェアを固定するという煩わしさをなくすための作り
使用しているチェアはハーマンミラー製のコズムチェア。オフィスポッドのデスクとチェアとの間隔は狭めなので座る姿勢はおのずと深く座るようになるが、人間工学に基づいた作りのコズムチェアはそうして座った際の身体とのフィット感もよく、長時間の座っていても身体が痛くなることはないという。また、疲れも少ない。オフィスポッドのコズムチェアは他のタイプに付け替えることも可能
NV350 キャラバン オフィスポッド コンセプトにはリフレッシュスペースとしてルーフバルコニーが設けてある
ルーフにハッチが設けられていて、室内のハシゴを登りバルコニーへ出るという作り
オンロードだけでなくオフロードにも入っていけるオールラウンダーという設定なので、フロントフェイスは道具感のあるマットブラック仕上げ。「まんまの姿」での市販は難しいだろうが、快適な仕事部屋というコンセプトの市販バージョンの登場に期待したい
レイズ製ホイールにBFグッドリッチのオールテレーンタイヤを組む
前後ともオーバーフェンダーを装着

日産とオグショーのコラボモデル「NV350 キャラバン オグショー ES モビリティコンセプト」

日産とオグショーとのコラボレーションモデル「NV350 キャラバン オグショー ES モビリティコンセプト」

 キャンピングカー製作などを行なうオグショーとのコラボレーションモデル。こちらは仕事とレジャーの両方で使えることを目的とした作りになっている。

 リアスペースには「フィリップベッド(日産専用仕様)」を装備。片側が跳ね上げできるので車中泊のときは広々としたベッドとして使いつつ、トランスポーター使用時はベンチとしても使用できる。また、会議室などで使用する長机を車内に持ち込めば、2~3人が並んでPC作業等の机仕事ができるワークスペースにもなる。

 こちらのモデルはコンセプトではなく「プロトタイプ」という表記だったので、今後の発売が計画されている。ワーケーションというスタイルを楽しみたい人はこのクルマの登場を期待していて欲しい。

NV350 キャラバン オグショー ES モビリティコンセプトのラゲッジスペース。仕事用としても使用できるとのことだが、今回はレジャー向けのディスプレイになっていた
後席ガラスに使用されていた電子シェード。スイッチ操作で透過と遮光との切り替えができるのでカーテンが不要。これは透過モード
こちらが遮光モード。同じ位置に人がいるがまったく見えなくなった
反対側には棚などが作れるパネルが張られている。仕事時は資料の置き場にもなる
NV350 キャラバンの2列目シートに試作品のテーブルをセットするとかなり使いやすい仕事スペースになる
ステップ部にはESステッププロテクターを装備
天井には小型のサーフェススピーカーがセットされる。一般的なカーオーディオ用スピーカーで言うとツイーターと同等サイズ。音は控えめかと思いきや、非常に臨場感のある音を鳴らすことができていた。それでいて取り付け部は特殊なバッフルなどは不要。サーフェススピーカーはプロトタイプとのこと
遮光モードと透過モードが切り替えできる電子シェード付きサンバイザー。日の差し込みに対してバイザーを上げ下げすることが省けるので、とくに小柄なドライバーでは便利な装備。これもプロトタイプ
電子シェード付きサンバイザーはミラーモードも選択できるので、後方視界を広げる効果もある
UVライトに反応する塗料を使用してロゴを入れている新しいデザインのフロアマット。UVライトを消しておくと通常の柄のマットになる。この装備はこれから登場するEV車にも採用されるとのこと
オグショー製のESセンターコンソールを装備
こちらはESアームレストPLUSというアイテム。肘掛けの姿勢が楽になる

アウトドアフィールドが似合う新型ノートベースのコンセプトモデル

2020年12月に発売された新型ノートをベースにしたNOTE PLAY GEAR CONCEPT
NOTE PLAY GEAR CONCEPT

 最後に紹介するのは、新型「ノート」をベースにした「NOTE PLAY GEAR CONCEPT」。アウトドアフィールドが似合うスポーティなイメージだが、開発のコンセプトは新型ノートのオリジナルデザインを活かすことを意識したものだという。

 ボディカラーはマットダークグレイメタリックのラッピングにピンクゴールドのアクセントラインをあわせたものだが、ラッピングシートでボディを覆った際はボディ細かな形状が分かりにくくなることもある。そこで新型ノートのオリジナルデザインで「角」になっている部分に沿ってピングゴールドのピンストライプ入れることで形状をハッキリと見せていた。

数字の21をモチーフにしたラインがフロント、サイド、リア、そしてルーフのジェットバッグに入れられている
オリジナルデザインを大事にするという点からエッジの部分を強調させるピンストライプを入れる。ストライプの幅は色々試したところ4mmがいちばんきれいに見えたのですべてのストライプを4mm幅で統一している

 形状をはっきり見せるという工夫は、ボディ下部に装着されているフロントバンパーフィニッシャー、サイドシルフィニッシャー、リアバンパーフィニッシャーの仕上げにも用いられていた。ここもピンクゴールドでラッピングされているが、実はこのカラー、クロームメッキのラッピングシートの上に薄い色を塗った半透明のラミネートを重ねて作ったもの。これは地の色を別のシートを透過させることで、元の色(今回はメッキ)とは異なる風合いに見せるラッピングのテクニックを用いて作ったものだ。

 その効果により印刷で色を載せているシートには見えないほど、アルミ地肌っぽい金属感が表現できている。また、このシートは光の反射も独特で、とくに影がキレイに出るため、各フィニッシャーのような複雑な面を持つパーツをより立体的に見せることができるという。

最新のラッピング方法を駆使して独特の質感を出す各フィニッシャーパーツ。フィニッシャーパーツ自体は新型ノートの純正オプション品を使用する

 Aピラーからルーフ、そしてCピラーに掛けての色分けは、東京モーターショー 2019で公開されたEV(電気自動車)「アリア コンセプト」などでも使われいるもので、現在の日産が作るコンセプトカーでのデザイントレンドでもあるという。ちなみに、コンセプトカーはこれから世に出るクルマの原型でもあるので、そのコンセプトカーに採用されるデザインは次世代のクルマのデザインの原型でもあるとのことだった。

Aピラーからルーフ、Cピラーを結ぶラインでピンクゴールドの色分けが行なわれている。こうした2トーンは現在の日産コンセプトカーでのトレンドということなので、将来市販されるクルマにも似たデザインが採用される確率は高い

 デザイン性を重視したコンセプトモデルには不似合い? とも思えるドアバイザー(すでにオプション設定されているもの)を装着していたが、ドアバイザーの質感はウィンドウやピラーと似ているため、一部にゴム素材が使われる窓枠が見えるより、ドアバイザーを装着することでサイドビューがキレイに落ち着く。そういう意味での採用だった。

 また、ミラーは上部がグロスブラックを残しているが、これはウィンドウ部分との一体感を出すためのものという。ノート用のバイザーはデザイナーから見ても形状、カラーとも優れていて「超お勧めのアイテムです」とのことだ。

 このNOTE PLAY GEAR CONCEPTは女性ユーザー向けにデザインをしたとのことだったが、男性が乗っても似合いそうだし、幅広い年齢層にも合いそうなだけに市販を期待したい1台だ。

新型ノートの純正オプションとして用意されるサイドバイザーは、ウィンドウまわりのゴム枠を隠すという目的で装着したとのこと
ミラーの一部はブラックでまとまったウィンドウまわりに掛かるので、ミラー上部のみ元の色のグロスブラックを残して一体感を出す
ルーフ部のピンクゴールドのラインがキャリアのブラケットで途切れてしまうので、ここもラッピングして一体感を出している
エンブレム類もピンクゴールド仕上げに。このピンクゴールドというカラーは、色合いに繊細な女性スタッフの意見を多く聞いて調色したものだという
欧州向けに生産されているマイクラ用の17インチホイールを装着。ホイールカラーもボディに合わせていて、4mm幅のピンクゴールドストライプ入り。こちらのストライブはホイールを大きく見せることを意識したデザインにしているとのこと。タイヤもインチアップしているが、外径は純正タイヤとほぼ同じとのこと