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F1公式ゲーム「F1 2021」先行レビュー 日本グランプリの開催される鈴鹿サーキットを走行してみた

2021年7月13日 リリース

 EA SPORTSとCodemastersから発売されるFIA Formula One World Championship 公式ゲーム「F1 2021」の先行プレイを体験できるチャンスを得た。記者は、ドライビングシミュレーターとしてマシンを走らせることが楽しみなので、日本グランプリの開催される鈴鹿サーキットで、タイムアタックをしてみることにした。

 F1 2021には、現実の2021シーズンのF1を戦う各チームのマシンとドライバーが登場する。日本人ドライバーの角田裕毅選手も登場しており、角田選手がステアリングを握るスクーデリア・アルファタウリ・ホンダ「AT02」をタイムアタックに使用するマシンとして選択してみた。

 ここで、ただ漫然と走っても面白くはないので、目標となるタイムを設定すべく現実世界のデータを参照してみる。2020年は鈴鹿サーキットの日本グランプリ開催が中止となりデータがないので、2019年の日本グランプリのデータを使用。2019年の決勝レース中のファステストラップ、メルセデスのルイス・ハミルトン選手が出した1分30秒983を目標にして走り込んだ。

スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ「AT02」で鈴鹿サーキットを走行
スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ「AT02」

 F1 2021には、ステアリングコントローラーの操作をアシストしてくれるドライビングサポート機能として「ビギナー」「アマチュア」「ベテラン」「プロフェッショナル」「エリート」「カスタム」を設定することができる。その中で記者は「エリート」を選択した。

 エリートはアシスト機能がほとんどないモードで、1周まともに周回することができるのか不安はあったものの、なんとか周回することができる。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ「AT02」でしばらく走り込んで、ベストタイムは1分34秒台のタイムを記録することができた。が、そこから先がなかなかタイムが伸びない。

 そこで、ちょっと気分転換に、2017年、2018年、2019年、2020年シーズンのドライバーズチャンピオンを獲得する圧倒的王者、ルイス・ハミルトン選手がステアリングを握るメルセデス・AMG・ペトロナス・フォーミュラワン・チームのマシンの性能はいかほどなのか? ちょっと試してみることにした。

 メルセデスの2021年マシン「W12」をドライブしてみた感想は“ああ、乗りやすい”の一言。あっさりとアルファタウリ・ホンダで出したベストタイムを超えるタイム1分32秒台のタイムを記録することができた。“乗りやすい”と感じた要因の1つとしては、狙いのラインを引き出せるコントロール性の高さにあると感じた。これは、記者がもともと「グランツーリスモSPORT」で走り込んでいた、スーパーフォーミュラ「SF19」に近いと感じた操作性であったのも1つの要因と言える。

 各メーカーのマシンの違いを確かめてみるのも楽しいと思って、数台乗ってみたが、ゲームであってもその違いを感じることができる。フェラーリのマシンは乗っていてなにか楽しい気分になるし、メルセデスのマシンは流して走行していると余裕を感じる快適さで、コクピットの中で感じるドライバーの気分としては、チームの勝利のために淡々と仕事をこなすビジネスエリートといったイメージが湧いてくる。

 記者がこれまでF1ドライバーに持っていたイメージとして、ジャジャ馬マシンを天才ドライバーがそのドライビングテクニックでねじ伏せるというイメージがあったのだが、F1 2021を体験することでそれは変わってしまった。

 さて、メルセデスのマシンで鈴鹿サーキットを走るコツを掴んだものの、タイム的には1分32秒台までで打ち止め、次のステップに行くにはさらなる走り込みが必要となるようだ。

 タイムアタックでどのようにタイムを削っていくのかという話にしようかとも思ったが時間切れ。そもそもタイムアタックであるなら2019年の予選タイムであるフェラーリのセバスチャン・ベッテル選手が出した、Q1の1分28秒988、Q2の1分28秒174、Q3の1分27秒064を目標としなければならないだろう。今回はマシンのセッティングをしないで走らせたので、さらにタイムアップを狙うにはコースに合わせてマシンをセットアップするマシンを仕上げる能力も求められてくるだろう。

 Xbox Series X|S、Xbox One、PlayStation 4、PlayStation 5、PC版(Steam)で発売される「F1 2021」では、F2からFormula 1へとランクを上げていくプロセスを体験することができる新しいストーリーモード「ブレーキングポイント」に加えて、「2プレイヤーキャリア」モードでは、ほかのシングルプレイヤーとの協力プレイ、「キャリアモード」ではライバルチームとオンラインで戦うこともできるようになる。さらに、F1 2021は現実のシーズンに近いものとなるよう、現実世界のF1ドライバーたちに合わせてスタッツが定期的にアップデートされる「リアルシーズンスタート」などの機能が追加されるという。

「F1 2021」は紹介すべき要素がありすぎて、1つひとつを紹介しきれなかったが、現実世界のF1の展開を見ながら、ひとそれぞれ様々な楽しみ方ができそうなゲームであると感じた。

 現実世界の2021年シーズンのF1は、7月4日のオーストリアGP終了時のドライバーズランキングで、レッドブル・レーシング・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手が182ポイントでトップ。メルセデスのルイス・ハミルトン選手が150ポイントで2位、レッドブル・レーシング・ホンダのセルジオ・ペレス選手が104ポイントで3位。日本人ドライバーであるアルファタウリ・ホンダの角田裕毅選手は9ポイントの14位。

 ホンダのF1活動最後のシーズンであり、日本人ドライバー角田裕毅選手のデビューシーズンでもある2021年、母国グランプリとなる鈴鹿サーキットでのF1開催が実現することを祈りつつ、F1 2021も楽しみながら決勝日の到来を待ちたい。