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横浜ゴム、「新製品『アイスガード 7』はヨコハマスタッドレスタイヤ史上最高の氷上性能を持つ」と山石社長

2021年7月29日 発表

新スタッドレスタイヤ「アイスガード 7」

商品コンセプトは「氷に効く」「永く効く」「雪に効く」

 横浜ゴムは7月29日、乗用車用スタッドレスタイヤの新製品「iceGUARD 7(アイスガード セブン)」のオンライン発表会を実施した。

 冒頭で 横浜ゴム 代表取締役社長の山石昌孝氏は、2月19日に策定した新中期経営計画「Yokohama Transformation 2023」に触れ、「改めて既存事業の進化と時代のニーズに応える新しい価値の探索を推進することで、次世代に向けての成長と変革を目指している」とあいさつ。続けて「事業戦略の1つに国内の市場動向に合ったスタッドレスタイヤの販売強化を掲げている」と説明し、今回4年ぶりとなり、ヨコハマスタッドレスタイヤ史上最高の氷上性能を持つ新製品「アイスガード 7」を紹介した。

商品のコンセプトは「氷に効く」「永く効く」「雪に効く」

 概要については、横浜ゴム 取締役常務執行役員 兼 技術統括の野呂政樹氏が説明。横浜ゴムは年々北海道の冬季気温が上昇していることや、降雪量も徐々に減っていることから、降り積もった雪は日中で溶けてしまい、夕方から凍結し始めることに着目。今後スタッドレスタイヤには、より氷上性能への対応が求められると推測した。

 また、1985年にスタッドレスタイヤを発売して以来、継続的に市場調査を行ないながらスタッドレスタイヤを進化させていて、2002年のアイスガード発売以前から氷上性能を向上させてきた歴史がある。そして2021年、アイスガードシリーズは20年目に入り、性能面では「第7世代」に突入した。

横浜ゴムのスタッドレスタイヤの歴史
北海道の冬季の積雪量と平均気温の推移
ユーザーがスタッドレスタイヤに求める性能

 横浜ゴムの独自調査によると、ユーザーがスタッドレスタイヤに求める性能のトップ3は「氷上制動性能」、続いて「雪上性能」「効き永持ち性能」で、アイスガードの開発基本コンセプトは20年間一貫して変わらず、日常生活で遭遇するさまざまな凍結路面への対応とし、中でも-6℃付近の乾いた凍結路面から、0℃付近の濡れた凍結路面を最大のターゲットに置いて開発。

 今回、これまでの調査結果をより詳細に分析したところ「スタッドレスタイヤは氷上性能がよければ雪上性能もよくなるに決まっている」「新製品ならすべての性能が上がっていて当たり前」といった意見も多くみられたことから、ユーザーが求める「雪上性能」と「効き永持性能」についても改めて追求した。

 しかし、凍結路面に密着させられる接地面積の広さが重要となる氷上性能では「エッジ効果」と「凝着摩擦力」が、雪をしっかりとかき出す溝面積が重要となる雪上性能では「圧縮抵抗」と「雪柱せん断力」がそれぞれ求められ、氷上性能と雪上性能では相反する要素となることから、アイスガード 7では2つの求める要素のさらなる最適解を探したという。

氷上性能と雪上性能の相反する要素

 加えてアイスガードシリーズはこれまで「永く効く」をキーワードに、コンパウンドの劣化抑制技術を用いることでゴムが硬くなるのを防ぎ、約4年後でも氷上性能を維持できる性能を実現していた。ところがユーザーからは「ゴムが硬くなりにくいのが実感できない」「見た目で実感できない」といった声もあることから、実感できる永持ち性能も実現も目指し、開発コンセプトを、優れた氷上性能のさらなる向上、消費者が実感できる「永く効く性能」、氷上性能と雪上性能の両立とした。

硬くなりにくいウルトラ吸水ゴム

 その開発の結果、2017年に登場した前モデル「アイスガード 6」は当時、さらに1つ前の「アイスガード 5プラス」比で氷上制動性能を15%、ウェット制動性能を5%向上と進化。今回はさらに4年の歳月が経ち、新製品となるアイスガード 7は、アイスガード 6と比べて、氷上制動性能14%向上、氷上発進性能15%向上、氷上旋回性能7%向上と、氷上での性能を大きく飛躍させた。また、氷上性能を追い求めると相反してしまう雪上性能についても、雪上制動性能3%向上、雪上発進性能3%向上、雪上旋回性能同等と、アイスガード 6と同等以上の性能をキープしたという。

氷上性能の進化
雪上性能の進化

 最後に野呂氏は、2015年12月に北海道旭川市の競馬場跡地に開業したという自社設備「北海道タイヤテストセンター(TTCH)」が、このアイスガード 7の氷上性能向上に大きく貢献したと紹介。2020年11月にはTTCH内にある屋内氷盤試験場に、氷の表面温度を0℃~-10℃までコントロールできる冷媒装置を新設したことでさまざまなテストが可能になったほか、従来は1月から行なっていた氷上制動試験を11月からできるようになり、タイヤ開発期間の自由度も大幅に向上したと述べた。

TTCH内にある屋内氷盤試験場
屋内氷盤試験場は2018年に完成
2020年に追加された冷媒装置で、この上に氷が作られる
冷媒装置の上を走行する試乗車