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日産のESGを内田社長と田川専務が解説 「日産サステナビリティセミナー」レポート

2021年7月30日 開催

オンラインイベント「日産サステナビリティセミナー」開催

 日産自動車は7月30日、サステナビリティに関する日産の考え方や活動についてまとめた年次報告書「サステナビリティレポート2021」を同社Webサイトで公開し、この内容について解説するオンラインイベント「日産サステナビリティセミナー」を開催した。

 YouTubeの日産公式チャンネルで行なわれたこのセミナーは、アーカイブ動画として配信内容を公開している。

日産サステナビリティセミナー(52分27秒)
サステナブル・ブランド国際会議 ESGプロデューサー 田中信康氏

 今回のセミナーで司会を務めたサステナブル・ブランド国際会議 ESGプロデューサー 田中信康氏は、冒頭で開催趣旨について説明。

 世界のメガトレンドが激変している昨今で、とくに自動車業界は「MaaS」「CASE」といったモビリティ革命に立たされている。気候危機の問題が全世界を巻き込んで「カーボンゼロ」に向けた議論を呼んでおり、さらにダイバーシティインクルージョンは多くの企業が必然性として捉え、ジェンダーの平等や人権問題は世界的に重要な課題として認識されている。

 まさに「ヒューマンキャピタルインベストメント」の積極的な投資、情報開示といった取り組みが求められている。これまで取り組んできたことを企業がより明確に、具体的な形で社会的課題に対する姿勢として示していくことが求められている。

 これには前例にないことにチャレンジする姿勢が求められ、解決に向けてトップマネジメントの強い意志や覚悟が問われるもの。多くの社会的課題を再認識し、どう解決していくのか具体的な仕組みと明確なロードマップを示していくことが必要で、事業活動全体を通じた強い意志が求められていく。日産では事業構造改革「NISSAN NEXT」を推進中で、これは単なる経営計画に止まらず、多岐にわたる課題に正面から覚悟を持って取り組むチャレンジとなっており、まさにこれがサステナビリティだと呼べるのではないかと語り、セミナー内で根幹部分について、日産自動車 代表執行役社長兼CEOの内田誠氏、同専務執行役員 チーフ サステナビリティ オフィサーの田川丈二氏の両氏から解説してもらうとした。

日産自動車株式会社 代表執行役社長兼CEO 内田誠氏

 田中氏から紹介されて登場した内田氏は、「日産は“人々の生活を豊かに、イノベーションをドライブし続ける”というコーポレートパーパスを実現するため、サステナビリティをビジネスの中心に据えて事業運営を行なっています」と語ってプレゼンテーションを開始。

 日産では長きにわたってサステナビリティに取り組んでおり、昨年から自分たちの生活を大きく変えた新型コロナウイルス、さらに気候変動などの影響で世界は大きく変化しているなかで、サステナビリティが重要性を増しているほか、社会やユーザーから企業に向けられる期待値が変化していることで、日産が果たすべき役割はさらに広がっていると説明。この端的な表われとして、日産では18年目となるサステナビリティレポートの発行を行ない、これによって情報を社会と広く共有。事業活動の透明性を高めつつ、社会からのフィードバックによってさらなる改善を図って持続可能な社会の発展に寄与することを目指しているとした。サステナビリティレポートで紹介している日産の取り組みは広範囲に渡っており、このセミナーでは「ESG」と呼ばれる環境、社会性、ガバナンスの3点について解説していくとした。

日産は“人々の生活を豊かに、イノベーションをドライブし続ける”というコーポレートパーパスを実現するためサステナビリティに取り組んでおり、セミナーでは環境、社会性、ガバナンスの3点について内田氏から解説された

 環境では、日産は2002年から「NGP(ニッサン・グリーン・プログラム)」を推進して世界中で環境問題に取り組み、2010年から100%EV(電気自動車)である「リーフ」を市販化したこともNGPの一環だと説明。さらに将来的なライフサイクルカーボンニュートラルを実現するためには資源面での取り組みも不可欠で、EV用バッテリを2次利用する「フォーアールエナジー」の活動には、リーフで培ってきた10年のノウハウが生かされているとアピールしている。

日産では2002年から「NGP(ニッサン・グリーン・プログラム)」を推進。EVの「リーフ」を市場投入するなど環境技術を磨き続けてきた

 社会性では「日産車がかかわる死者数を実質ゼロに」という目標を掲げ、世界初となる数多くの技術を実用化した運転支援技術のパイオニアであると強調。このほか、「ダイバーシティ&インクルージョン」も経営戦略の1つとして定められており、多様性豊かな従業員が価値観を尊重し合いながら働くことで「日産らしい価値」の創出を目指しているという。

20世紀から市販化してきた多数の先進安全技術が「プロパイロット」につながっている
多様性豊かな従業員が価値観を尊重し合いながら働くことで「日産らしい価値」を創出していく

 ガバナンスについて内田氏は、「日産には過去に不適切な事案によって、お客さまをはじめとする各ステークホルダーの皆さまの期待を裏切ってしまうことがありました」と述べ、この反省を踏まえて高い倫理観と透明性に基づく強固な基盤を備えた体制を構築しており、さらにすべての従業員がコンプライアンスを実践するよう徹底していると述べた。

コーポレートガバナンスについての考え方

 過去とこれまでの取り組みに続き、今後の方向性について「日産はサステナビリティを事業の中核に据え、移動の可能性と社会の可能性を広げていきたいと考えています」とコメント。この実現のため「電動車両ともの作りの技術革新がもたらす“よりクリーンな社会の実現”」「誰もが安心して、安全に移動できる“より安全な社会の実現”」「あらゆる人々が参画し、健康で幸せに生きられる“よりインクルーシブな社会の実現”」という3点に取り組んでいると紹介。

 この3点に対する取り組み方を示すため、1つ目のテーマである“よりクリーンな社会の実現”を中心に解説を実施。日産では1月に「2050年に事業活動を含むクルマのライフサイクル全体でのカーボンニュートラルを実現する」という重要な目標を表明。この第1歩として「2030年代の早期から主要市場に投入する新型車すべてを電動車両にする」というマイルストーンを設定している。

「カーボンニュートラルの実現にはさまざまな技術の積み重ねが必要です」と内田氏は語り、環境に対する貢献と事業活動のバランスを取りつつ、中長期のロードマップに基づいて地に足の着いた活動が必要で、マーケットの変化にも柔軟に対応する必要があると説明。さらに、目標達成に向けては異業種との連携も不可欠で、メーカー単体ではなく、政府と企業が一体となって取り組む必要があると語り、7月に英国で発表したEV生産ハブ「EV36Zero」の取り組みが事例の1つになるとした。

 このほか、カーボンニュートラルを目指す取り組みでは、調達まで含めたサプライチェーン全体で「人権に対する取り組み」も重要で、価値を追求する大前提として、あらゆるステークホルダーの人権を侵害することがあってはならないと強調。こういった日産の考え方は、ほか2つのテーマにも共通すると述べた。

サステナビリティを実現していくため「よりクリーンな社会の実現」「より安全な社会の実現」「よりインクルーシブな社会の実現」の3点に取り組んでいる
「クルマのライフサイクルでのカーボンニュートラル実現」を2050年の目標として設定
世界初となるEV生産ハブ「EV36Zero」も発表している

 最後に内田氏は「私たちの目標は、お客さまと私たちが暮らす社会のために、そしてこれからの世代と未来の社会のためにモビリティの可能性を広げていくことです。そのために日産は、これまでに蓄積してきた卓越した技術力を最大限に生かし、イノベーションをドライブし続けていきます。“他がやらないことをやる”というのは日産の創業以来の精神です。日産は今後ともこの精神で、よりクリーンで、安全で、インクルーシブな社会を実現するため、引き続き皆さんと共に全力で取り組んでいきたいと考えています」と語ってプレゼンテーションを締めくくった。

「モビリティの可能性を広げていくこと」が日産の目標だと語る内田氏

CO2排出量は2000年からの20年で37.4%削減

日産自動車株式会社 専務執行役員 チーフ サステナビリティ オフィサー 田川丈二氏

 内田氏に続いて登場した田川氏は「日産が取り組んでいる重点課題、ステークホルダーと将来世代に向けて社会的価値を創造するための活動」について解説を実施。

 日産ではESGの3領域で重点課題を明確化。2018年~2022年の期間に設定した「Nissan Sustainability 2022」に取り組んでおり、環境では「気候変動」「資源依存」「大気品質」「水資源」を重要課題を解決するため、自社の果たすべき役割を明確化して、社会に価値を創出することを目指して活動しているという。

 社会性の説明にあたり、田川氏は「日産はすべてのステークホルダーの人権を尊重し、いかなる差別、サプライチェーンにおけるいかなる人権侵害も容認しません」と宣言。このほかに究極の目標となる「日産車に関わる死者数をゼロにする」こと、ダイバーシティの推進などを社会性における重要課題とした。

 ガバナンスでは「指名委員会等設置会社」に会社の体制が変更され、役員報酬や人事、業務執行などの監査などが行なわれてガバナンスが強化され、経営の透明化が確保されていると説明。さらにコンプライアンス強化にも取り組んで、すべての従業員が高い倫理基準に従って誠実に行動することを求めているという。これは単に正しい行為だからというだけではなく、これによって全従業員が最高レベルで業務を遂行できることが目的だと説明している。

 目標達成に向けた施策として、内田氏のプレゼンテーションでも紹介された“よりクリーンな社会の実現”“より安全な社会の実現”“よりインクルーシブな社会の実現”の3点が長期ビジョンで示されていることを挙げ、田川氏はそれぞれの具体策を紹介。

環境、社会性、ガバナンスの3領域でそれぞれ重点課題を明確化して解決に取り組んでいる

 よりクリーンな社会実現で目指すカーボンニュートラルについては、クルマのライフサイクル全体という言葉が、材料の採掘、生産、使用、使用後のリサイクルや再利用などを含んでいると説明。

 また、日産ではこれまでにもクルマから排出されるCO2を大幅に削減しており、主要市場におけるCO2排出量を、2000年度比で37.4%削減。今後も新車からのCO2排出量をさらに減らしていくため電動化をさらに推進していく計画だが、そのキーとなるのが「バッテリの技術革新」「e-POWERの効率向上」の2点で、日産はリーフを発売して以来、10年以上に渡ってEV用バッテリの技術革新を続けてきて、現在は「コバルトフリー電池」「全固体電池」の開発にも取り組んでいるという。日産ならではの技術となっているe-POWERでは、次世代e-POWER向けの発電用エンジンで世界最高レベルとなる熱効率50%を実現しており、さらなる効率向上と採用拡大を積極的に進めているとした。

クルマのライフサイクル全体で2050年までにカーボンニュートラルを実現していく
CO2排出量は2000年からの20年で37.4%削減

 企業活動全体でのCO2排出量削減にも取り組み、2022年度までに2005年度比で30%削減するとした目標を、すでに2020年時点で33.7%削減を実現していると紹介。再生可能エネルギーの利用も推進していて、英国・サンダーランド工場で新たに20MWの太陽光発電設備を導入する予定で、欧州で販売されるリーフを生産する電力がすべて再生可能エネルギーでまかなえる計画となっている。

 資源依存に関する取り組みでは、2022年度までにクルマ1台あたりの新規採掘資源の使用量を70%に低減する計画を立案。目標の達成に向けて「サーキュラー・エコノミーコンセプト」を採用して、製品や資材を再利用し、リサイクルを促進する考え方に移行してると解説した。具体例としては、すでに紹介されているフォーアールエナジーでのバッテリ再利用のほか、最近登場した「ローグ」「キャシュカイ」といった新型車ではアルミ部品を「クローズドループリサイクル」によって利用しており、資源の利用効率を高めていると説明した。

企業活動全体でもCO2削減を進めており、再生可能エネルギーも積極的に利用している
クルマ1台あたりの新規採掘資源の使用量は2022年度を目標に70%まで低減

 日産車に関わる死者数をゼロにする「ゼロフェイタリティ」では、これまでに1995年との比較で2015年には死者数半減を実現。さらに日本、米国、英国の3か国で、2020年までにそこから死者数をさらに半減させることを目指し、日本では2019年に1年前倒しで達成。米国と英国の状況は2022年に公表するサステナビリティリポートで2019年実績を開示予定とした。

クルマ、人、社会の連携で「ゼロフェイタリティ」を目指す
1995年~2020年で日産車が関わる交通事故での死者数を4分の1に減少させ、その先の「実質ゼロ」を目指している
ゼロフェイタリティに向けた具体策

 社会性の解説では繰り返し「日産はすべてのステークホルダーの人権を尊重し、いかなる差別、サプライチェーンにおけるいかなる人権侵害も容認しません」と述べたほか、日産の人権尊重に関する基本方針に基づき、いかなる人権侵害も容認せず、関連する潜在的リスクを未然に防ぐため、さまざまな戦略や取り組みを進めていくと語り、6月には基本方針の遵守を定めた「日産グローバル人権ガイドライン」も発行。

 しかし、ただルールを定めるだけでは不十分であるとの考えから、日産では田川氏が議長を務める「グローバルサステナビリティステアリングコミッティ」で人権に関連するガバナンスを推進。日産のあらゆる事業活動で人権が尊重されるよう、浸透と定着を測っていると述べた。

 ダイバーシティの取り組みについては、女性管理職の比率について2023年までの数値目標を設定して多様な従業員が活躍できる組織作りを推進。さらに活躍を支えるための子育てサポートを充実させ、LGBT従業員に対する取り組みを評価する「PRIDE指標」で2017年~2020年の4年連続で最高評価のゴールドを獲得していることなどを紹介した。

人権の尊重やダイバーシティにも長年に渡って取り組みを続けている

 最後に田川氏は「日産はお客さまがクルマに乗っているときも、乗っていないときも人々の暮らしや社会のパートナーでありたい、社会に貢献し、社会から必要とされる存在でなければならないと考えています。そのためにも、これからも日産ならではの技術やサービスを創造することでお客さまの生活を豊かにし、サステナビリティの取り組みをつうじてよりクリーンな社会、より安全な社会、よりインクルーシブな社会を実現していきます」と語ってプレゼンテーションを締めくくった。

「お客さまがクルマに乗っているときも、乗っていないときも人々の暮らしや社会のパートナーでありたい」と語る田川氏

内田社長と田川専務がコーポレートパーパスなどについて語る

登壇した3人によるディスカッションの様子。中央に座る内田氏の両サイドに大型のアクリルパネルが設置されている

 両氏のプレゼンテーションに続き、登壇した3人によるディスカッションを実施。まず司会の田中氏から、内田氏がプレゼンテーションで取り上げた日産のコーポレートパーパスについて、発表してから社内でどのような反響があったかについて内田氏に問いかけられた。

 内田氏は「『人々の生活を豊かにする』という言葉は社員の皆さんもしみじみ実感いただいていると思うのですが、それの意味するところや、われわれがこれまでやってきたことをどのように伸ばしていくのかという点は、日々対話するなかで何度も話し合っていかなければなりません。やはりお互いに理解が違いますし、それを進めていくことが、日産のすべての従業員が一体になって、われわれが向かうべき方向に一緒に進むというところで重要だと思います」。

日産のコーポレートパーパスについて語る内田氏

「重要なのは対話ですね。私は常に言っているのですが、現場の人が言うことは80%正しいんです。それを会社が向かうべき方向にガイドしていくのが、それぞれの上司層だったり、われわれ経営陣です。それを重ねていきながらみんなで同じ気持ちになって、『日産ってどんな会社なんだろう?』『日産は何をお客さまに提供したいんだろう?』『今までは何をしてきたんだろう?』といったものをシェアしながら、会社が元気になって、本当にお客さまから『必要だ』と言っていただけるようになりたい。就任以来言い続けていますが、『やっぱり日産よかったね』と1人でも多くのお客さまに言っていただきたいですし、従業員には日産で働くことに誇りを持ってもらいたい。これによって本当の意味で企業のサステナビリティを図っていけると思いますし、成長していく上でも重要だなと考えています」と回答した。

日産のコーポレートパーパスについて語る田川氏

 また、コーポレートパーパスについて田川氏は、「ESGやサステナビリティとコーポレートパーパスって、あまりリンクしないように感じられるかもしれませんが、実は非常に大事で、結局、コーポレートパーパスや『日産ウェイ』というものは、企業風土や文化を醸成していくことなんですね。これは行動指針などにも表われますが、例えばサステナビリティやコンプライアンスといったときに、単に規則を作って従業員に『これを守りなさい』と言うだけではなく、企業風土や文化が変わっていくとそれが自然にできるようになっていきます。つまり、ルールだから守るということではなく、日々の行動として自然にできるよう身についていくというような、コーポレートパーパスから日産ウェイ、行動指針まで、最終的にはESGやサステナビリティに自然につながっていく流れになると思います」との見解を示している。

 続いて田中氏は、すでに環境問題は「気候変動」というレベルではなく、もはや「気候危機」といった状態になっていると語り、カーボンニュートラルに向けた日産の意気込みについて両氏に質問。

「日産として提供できるカーボンニュートラルの価値をどんどん進めていきたい」と内田氏

 内田氏は「カーボンニュートラルも待ったなしの状況になっていると思います。ただ、これはわれわれ自動車メーカーだけでできる話ではないと思っていて、グローバルで見たときに各国のスピード感も違ってきます。今までわれわれが経験してきたレベルとは変わっていて、コロナ禍でさらに加速している状況だと思います。そのなかで、クルマのライフサイクル全体でいかにカーボンニュートラルをやっていくのかが一番重要で、われわれだけでなく、政府との関係や取引先、販売会社などが一体になって、いかにライフサイクルのマネージメントをクルマの面でできるか」。

「われわれは先ほど紹介したNGPで20年間の経験を持っています。さらに言うとEVのリーフを2010年に発売して、ここでさまざまな環境に対する思い、われわれが蓄積してきた経験があります。今後はこれを企業の価値としてお客さまに理解していただきながら、カーボンニュートラルに向けて会社を進めていけるかに尽きると思います。そのなかで、このあいだ英国で発表した『EV36Zero』などで、サプライヤーさんとの関係もありますので中長期的な視点から取り組みを進めています。こういったことをやりつつ、日産として提供できるカーボンニュートラルの価値をどんどん進めていきたいと思います」。

「ただ、事業とのバランスも取りつつやらないといけない。事業性を持たせながら社会や環境に対してどのように対応していくか、これは課題として非常にチャレンジングですし、ほかの各社さんも苦労されているところだと思います。われわれは10年間の経験があるところを、日産らしい強み、貢献できるゾーンとしてどのように提供していけるかというのが一番問われるところかと思います。また、お客さまも環境に対する意識がどんどん高まっていて、そういった面で、これからはクルマでも、今までとはお客さまのニーズが違っていますので、そこにわれわれが日産らしい価値を提供して、カーボンニュートラルの課題に取り組んでいけるかだと思います」。

「クルマを作って売るだけでなく、日産の技術を生かしていきたい」と田川氏

 また、田川氏は「カーボンニュートラルや気候変動といった問題はわれわれだけでできない部分があって、よく言われる『エネルギーミックス』といったところは、自動車会社が自分たちで発電所を作れるわけでもありません。ただ、実はそういった面でも自動車会社にできることもあって、日産の技術が生かせる『マイクログリッド』や、英国での発表があったように20MWのソーラー発電といった部分。あるいはリサイクルを進めることによって、単にEVを売る、バッテリを搭載したクルマを売るだけではなく、最終的にサーキュラー・エコノミーとして取り組むことで、これまでなら自動車会社はクルマを作って売ればいいというところから、全体的なサイクルを見たり、上流になるエネルギーの部分でもいくつかできることがあるんじゃないかと思います。それは今まで蓄積してきた日産ならではの技術を生かしていけるんじゃないかと思っています」とコメントしている。

セミナー冒頭で流されたイメージムービー(2分16秒)