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「緊急事態宣言」全面解除へ 菅首相記者会見で10月1日以降の3つの方針「医療体制の整備」「ワクチン接種の継続」「日常生活の回復」

2021年9月28日 発表

 政府は9月28日、9月30日に期限を迎える「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」について、9月30日を持って全面解除することを発表。同日、官邸で記者会見を実施した内閣総理大臣の菅義偉氏は、10月1日以降の政府方針として「医療体制のもう一段の整備」「着実なワクチン接種の継続」「日常生活の回復」という3つの方針を示した。

「緊急事態宣言」「まん延防止等重点措置」を解除する判断について、菅首相は「7月以降、感染力の極めて強いデルタ株によって全国各地でかつてない勢いで、感染が拡大をしました。それに伴い、病床の逼迫は非常に厳しい状況となりました。こうした中で医療介護関係者、飲食などの事業者、国民の皆さんお一人お一人にご協力をいただきながら、医療体制の構築、感染防止対策、ワクチン接種、懸命に進めてまいりました。多くの皆さまのご尽力により、8月の半ば過ぎに2万5000人を超えていた全国の新規感染者数は大幅な減少を続け、昨日は1128人となりました。東京では5773人から本日は248人まで減りました。病床の利用率はすべての都道府県において50%を下回り、重傷者は9月初めをピークに減少傾向にあります。一時は全国で13万人を超えた自宅療養者も3万人となり、今も減り続けております。現在の状況が専門家から示された宣言解除の基準を満たしており、解除を判断いたしました」と説明。「これまでにご協力いただいたすべての皆さま方に、心から感謝を申し上げます。ありがとうございました」と感謝の言葉を述べた。

 その上で、菅首相は「ウイルスへの高い警戒を続けながら、飲食などの制限については段階的に緩和することといたします。これから新型コロナとの戦いは新たな段階を向かえます。ワクチン接種が急ピッチで進む中で、感染リスクが高い場面を抑えることにより感染した数は大きく減っています。また、ワクチン接種と中和抗体薬で重症化を防ぐことができます。パネルにもあります通り、累積の感染者数に対する死者数の割合は、1月~3月の3か月は2.4%、4月~6月は1.7%であるのに対し、今回の感染拡大期に対応する7月~9月の3か月では0.3%にとどまっております。こうした大きな変化に対応した医療体制の構築により、一定の感染が生じても安定的な医療の提供ができるようになります。今度はウイルスの存在を前提とし、社会全体の対応力を高め、次の波に備えながら、感染対策と日常生活を両立ていくことが重要です。そのためには次の3つの方針で進めていかなければならないと思います」と、3つの方針として、第1に「医療体制のもう一段の整備」、第2に「着実なワクチン接種の継続」、第3に「日常生活の回復」を掲げた。

 第1の医療体制のもう一段の整備について、菅首相はこれまでに構築した医療資源をフル活用しながら、今後再び感染拡大が発生しても十分に機能する体制を作る考えを示し、「各都道府県と医療機関が協議し、いざという時にすぐに活用できる病床、人材を確保できるように、方針の作成を進めます。そして、皆さまにはこれまで同様にマスク、手洗い、三密の回避という、基本的な予防を続け、感染リスクの高い行動は、避けていただくよう、お願いをします」と述べた。

 第2の着実なワクチン接種の継続について、菅首相は「10月から11月のできるだけ早い時期に、希望するすべての国民が2回目を終えるよう接種を進めます。最終目標を8割に引き上げた自治体も多く、このまま進めば、わが国は世界でもワクチン接種が最も進んだ国の1つになります。これまでのお一人お一人のご協力が、私には大変ありがたく、誇らしい気持ちでいっぱいであります。3回目の接種もみすえ、すでに2億回分の契約を結んであります、2回目の接種からおおむね8か月以上、審議会の意見を踏まえ、年内にも3回目接種が開始できるよう準備を進めます」と述べた。

 第3の日常生活の回復について、菅首相は「ワクチン接種によって社会全体の感染予防効果が高まり、感染者数も大きく減少してきたことで、ようやく社会経済活動の正常化が見えてきました。私自身がお約束してきた、安心とにぎわいの日常の回復に向けて、段階的に制限の解除を進めてまいります。10月1日以降、当面はアクリル板の設置や換気などの対策を採り、認証を受けた飲食店においては、都道府県の判断で酒類を提供し、営業時間は21時までとすることも可能とします。イベントについては最大1万人までといたします。このように段階的な緩和を行なった上で、ワクチンの接種証明や検査結果も活用した、さらなる措置の検討をいたします。ビジネスに必要な国際的な人の往来についてもその制限を緩和していく方策を積極的に検討をします。来月1日からは、原則としてワクチン接種済みの帰国者の自宅待機を、2週間から10日間に短縮をいたします。今後さらなる措置を検討してまいります」と述べた。

 そして、首相就任からこの1年を振り返り、菅首相は「昨年総理に就任してから1年あまり、ただひたすらに走り続けた日々でありました。すべてをやり尽くすには、短い期間でありましたが、長年の課題に挑み、さまざまな改革に道筋をつけることができました。4月の訪米の際に、バイデン大統領に直接要請をした福島のお米や牛肉を含む日本産食品の輸入規制が、先般全面的に撤廃をされました。内閣の重要な使命である東北の復興にとって、大きな励みとなると思います。外交安全保障においても、日本が歩むべき進路をお示しできたと思います。基軸である日米同盟は、かつてない高みにあります。先週には初めて対面での日米豪印での首脳会合が実現し、日本が牽引してきた、自由で開かれたインド太平洋、この構造を大きく前進させることができました。日本は今、まさに正念場にあると思います。国難というべき少子高齢化、激変する安全保障環境、さらに新型コロナによってデジタル化の遅れなどの課題も浮き彫りになりました。日本の未来のためには、成長を実現し国民のくいぶちを作っていかなければならない、痛みを伴う改革であっても、しっかりと説明し実現していくことが、ますます重要となってまいります。最後になりますが、この1年お付き合いをいただいた記者の皆さま方にも感謝申し上げます。そして、国民の皆さま、皆さまのご協力なしには、何1つ実現することができなかったと思います。国民のために働く内閣への皆さまのご支援ご協力に、心から感謝と御礼を申し上げます」と述べた。