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日産、長期ビジョンQ&A「未来を創造していく日産へと進化していく様子をぜひ見ていてほしい」と内田社長

2021年11月29日 実施

「Nissan Ambition 2030」は現時点でのロードマップ。「日産が今後どういう会社になりたいと思っているかが伝われば」

 日産自動車は11月29日、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」をオンラインにて発表。その後メディア向けに質疑応答も開催され、日産自動車 代表執行役社長兼CEO 内田誠氏、COOのアシュワニ・グプタ氏が対応した。

 カーボンニュートラルの実現やCO2削減への具体策を問われた内田社長は、「今までもやってきているし、今後も続けるが、まずは全体のライフサイクルでのカーボンニュートラルを目指した動きをしていきたい」と思いを述べた。また、将来的にはサプライチェーンを含めたパートナー企業と共に、どのように全体のCO2排出量を低減させていくかの議論を交わしていきながら、自社のエコシステムをより強いものに成長させていくと意欲を示した。これらは「これまで培ってきた経験があるからこそ言える思いと覚悟であり、未来を創造していく日産へと進化していく様子をぜひ見ていてほしい」と語った。

 また、今後5年間で投資するという2兆円の原資について聞かれた内田社長は、日産NEXTで掲げている「固定費の最適化」「モデルの数の最適化」「コアモデルにおける稼ぐ力」については継続していき、これにより投資に使う2兆円は全体の事業の中で最適化して捻出できると考えを説明した。すでに日産NEXTの経過発表で効果を示しているように、固定費も削減でき、損益分岐点も下がり、新車の稼ぐ力も出てきているので、これをこのまま続けていければ、電動化向けの2兆円の投資を踏まえても、会社として営業利益5%以上は確保できると社内検証で算出していると解説した。

質疑に対応する日産自動車株式会社 代表執行役社長兼CEO 内田誠氏

 英国にあるサンダーランド工場について、大きな戦略変更があるのか問われた内田社長は、「これまでのように日産が米国で事業を継続できるという見通しから、今回は成長させるという視点に切り替えたことで、サンダーランド工場でも強みであるEVを進めると意思決定をした」と明かし、そのためにはサプライチェーンとの関係もより強固なものにする必要があると説明。現時点で2030年時点における米国の事業が外注主導なのか内製主導なのかまでは分からないとしたうえで、「米国での成長もきちんとお示ししたいと考えている」とまとめた。

日産、2030年度までに23車種以上の新型電動車投入など新長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」発表

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1369782.html

 続いて、全固体電池が完成するまでのリチウムイオン電池の調達方法や調達先について問われると、今後アライアンスとしての発表を予定していて、電池に関しては企画統一や素材の調達を共同購買にするなど、大きな戦略を持っていることを明言。その中で引き続きサプライヤーと一緒に電動化戦略に合わせた指針を作っていき、政府との調整や連携も合わせて行なうという。どのように進化させていくかは「いろんな選択肢を持っているが、今後の動向を見ながら必要な手を打っていこうと考えている。最終的にはユーザーがいろんな選択肢を持てるようにして、日産として電動化の価値を提供できるのか、マーケットに合わせて進めていきたいと考えている」と内田社長は述べている。

 石油価格の上昇が世界のEVシフトに与える影響や、新型コロナウイルスの変異株オミクロン株の影響などについての考えを聞かれた内田社長は、「非常に心配であるが社員と家族の健康と安全を最優先しつつ、世界の動向を注視しながら事業を継続していくことが重要だ」と回答。影響については「備えはするが、どんな影響をもたらすかは分からない。サプライチェーンを含めて、いろんなことが起こっても対応できるように準備しておくことが重要だと考えている」とした。石油価格の影響については、「個人的には多少なりとも影響はあるとは思うものの、日産の価値を引き続き提供しながら、ユーザーに理解していただき愛用してもらうことしかない」と自論を述べた。

 また、北米ではまだEVの比率が低いが、どのように高めていくのかという問いには、「今この場で明確な回答は言えないが、常にパートナーと連携をしながら、議論を進めている」と回答するにとどめた。

日産、新長期ビジョン説明会 2028年度の市場投入を目指す全固体電池は「エネルギー密度がリチウムイオン電池の2倍、充電時間は3分の1に短縮することが目標」

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1369900.html

 他社は寿命の関係でまだハイブリッドを優先するとしているが、日産はそのあたりはどう考えているのか聞かれた内田社長は、「日産はリチウムイオン電池を量産してきた企業としての経験と研究を踏まえ、全固体電池の開発に取り組んでいて、そこに自信があり、必ず成功させなければいけない技術だと考えている。だからといって日産はEVだけでいくのかとそうではなく、ユーザーに選択肢を提供するものなので、EVと同時にe-POWERの2本柱でやっていく」と決してEVのみで考えている訳ではないことを強調。また、今日発表した「Nissan Ambition 2030」は、現時点でのロードマップであり、常にバランスを持って変化させ、「日産が今後どういう会社になりたいと思っているかが伝わってくれれば嬉しい」と内田社長は述べた。

日産自動車株式会社 COO アシュワニ・グプタ氏

 インフラ整備に200億円を投資すると言っていたが、具体的にはどんな施策を考えているのか問われると、グプタ氏は「2010年以降、日産は100万基以上も充電器を設置してきた」とこれまでの実績を紹介。さらに「今後200億円を世界中のパートナーと一緒に進めていく。内容は地域によって異なり、例えば日本では高層ビルやマンション、ショッピングモールに充電器が足りていないので、そこの整備を考えている、欧州では7~8割が自宅に充電設備があるので、高速道路などの設置を進める予定。中国では、かなり充電インフラが進められているが、郊外に急速充電地が少ないので、そのあたりを後押しする。ユーザーの行動に合わせて整備していく」と回答した。

 最後に3000人のエンジニア募集する方針を打ち出したが、他メーカーも同様の動きがあり、エンジニアの取り合いになるのでは? 日産の魅力、アピールポイントは何か? と聞かれた内田氏は、自分自身が中途採用で日産に入ったことを顧みつつ、「日産はとても公平に見てくれる企業風土である」と紹介。また、「他にないものを生み出す挑戦をさせてくれる企業でもあり、何かに挑戦したいという気持ちがある人とぜひ一緒にやっていきたい」と語った。