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JAF、大雪時の立ち往生を再現して電気自動車の防寒対策を検証

2021年12月21日 発表

 JAF(日本自動車連盟)は12月21日、大雪によるクルマの立ち往生を再現し
、電気自動車での効果的な防寒対策を調査。その結果を公式Webサイトに公開した。

 近年、電気自動車の普及が進んでいるなか、大雪で立ち往生した際に電欠の危険性など不安な声もあり、今回の実験では4つの暖房使用条件において電気自動車の電力消費の違いを調べ、消費を抑えつつ体に負担のない有効な防寒対策を検証した。

4つのテスト車両の暖房使用条件

大雪による車の立ち往生~危険性と防寒対策を検証~【JAFユーザーテスト】

テスト車1:オートエアコン25℃常時稼働
テスト車2:電気毛布(電源ソケット使用)のみ
テスト車3:シートヒーターをHi、足元に電気フットヒーター(電源ソケット使用)
テスト車4:毛布、寒く感じたときにエアコンON、寒くなくなったらエアコンOFF

テスト1:外気温-8.1℃の環境下で、電気自動車の車内で5時間を過ごす

テスト開始時と終了時の車内温度。オートエアコン常時稼働のテスト車1に比べ、テスト車2~テスト車4は車内温度が非常に低くなっているため、暖房器具は欠かせない

 実験開始時の外気温は-8.1℃。テスト車として電力残量を70%に揃えた4台の電気自動車を用意し、車両1台につき暖房使用条件を1つずつ設定した。また、各車両の運転席には1名が乗車し、19時~24時の5時間を車内で過ごした。テストを実施している間は、各乗員には定期的に無線機を使って電力の残量や航続可能距離、車内の過ごしやすさについて確認した。

 赤外線サーモグラフィで車内温度を観察したところ、テスト開始から1時間後にはテスト車2~テスト車4の車両で低温を示す青色や緑色の範囲が広くなっていき、テスト車2~テスト車4の乗員は肌の露出部分や手足の先端など、暖房器具で覆いきれない箇所などの冷えを訴えていた。

 テスト1の結果として、テスト車1の乗員はオートエアコンで最初から最後まで快適に過ごせた一方で、テスト車2~テスト車4はテスト開始時と終了時の車内温度を比較すると、車内温度が非常に低くなっているため、暖房器具は欠かせないとまとめた。

テスト2:オートエアコンは大幅に電力を消費

1時間ごとに測定した電力残量。最初は全車両の電力残量を70%に揃えたが、使用する暖房条件によって残量が大きく異なる結果に

 テスト2では、テスト1終了後に電気自動車の電力がいつまでもつかを確かめるためテストを継続。深夜2時~8時の間、1時間ごとに電力消費を計測した。(テスト2では全乗員が降車したため、テスト車4はオートエアコン25℃設定で常時稼働させた)。

 テスト車2~テスト車4は、テスト終了の8時まで電力を保ったが、テスト車1は4時30分頃にバッテリー残量が10%となったためテスト途中で終了。テスト終了時の電力は、テスト車2とテスト車3では50%以上残ったものの、テスト車4はオートエアコンに切り替えたことも影響し25%まで低下した。結果としてオートエアコンは大幅に電力を消費することが分かった。

 JAFではテストのまとめとして、電気自動車は電力が消費されていくにつれて航続可能距離も短くなっていくため、立ち往生に遭遇した時には暖房の使用方法について考慮する必要があるとまとめた。

 ただし、エアコンOFFでは窓ガラスも凍りつき車内温度も非常に低くなるため、無理は禁物と、例えば電力消費量が少ない電源ソケットを使う暖房器具を使用しながら、寒さに応じてエアコンをこまめにON・OFFにするなどの工夫をすることで、電力を保ちつつ体への負担を減らす利用方法が効果的とした。

 また、万が一に備えて毛布や電源ソケットを使う暖房器具を車内に置いておくのもおすすめとしている。