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「内気循環」と「外気導入」どちらがいい? JAFがドライブ中の車内環境について検証結果を公開

運転中はできるだけ「外気導入」に

2019年5月17日 公開

クルマの空調は「内気循環」と「外気循環」のどちらがいい? 日産自動車「セレナ」でテストを実施

 JAF(日本自動車連盟)は5月17日、クルマの空調を「内気循環」にするか「外気導入」にするか悩むドライバーが意外と多いのではないかと考え、CO2(二酸化炭素)やCO(一酸化炭素)、O2(酸素)などの濃度を計測できる「空気環境測定器」を実験車両となる日産自動車「セレナ」の車内に設置。条件を定めてテストを行ない、結果を5月17日にWebページで公開した。

高速道路や郊外・山道、市街地を走行した際の車内環境は?

2台のテスト車両にCO2(二酸化炭素)やCO(一酸化炭素)、O2(酸素)などの濃度を計測できる「空気環境測定器」を設置

 車両を2台用意してそれぞれの車両に4人が乗車。空調を内気循環と外気導入に設定して高速道路や郊外・山道、市街地などを各1時間走行し、車内の環境について検証を行なった。合わせて車内にプレパラートを置き、付着した花粉の量も調査した。走行の条件については下記のとおり。

・2台のテスト車両のエアコンフィルターを新品に交換
・エアコンは「オート」26℃設定
・窓はすべて閉め、乗降はなし

 その結果、外気導入ではCO2の濃度が常に1000ppm前後だったが、内気循環では最大で6770ppm(市街地)となった。一方、O2の濃度もCO2ほど差はなかったが、内気循環の方が最大1%近く低下。乗車した人の中には、眠気や軽い頭痛を感じる人もいた。

 走行した道路別の結果は下記の通り。

高速道路

 高速道路では、内気循環で走行したクルマのCO2の濃度が最大で4520ppmとなった。また、外気導入で走行したクルマにおいては、トンネル内で走行すると排ガスの影響もあり一時的にCO2やCOの数値が高くなることもあった。

高速道路を走行した際の車内のCO2濃度
郊外・山道

 郊外・山道では、内気循環で走行したクルマのCO2の濃度が最大で4730ppmとなった。

郊外・山道を走行した際の車内のCO2濃度
市街地

 市街地では、内気循環で走行した車両のCO2の濃度が最大で6770ppmとなり、外気導入と比べて約5.5倍の数値となった。

市街地を走行した際の車内のCO2濃度

 東北大学 大学院 医工学教授の永富良一氏は、「いくつかの研究報告によるとCO2の濃度が3000ppmを超えると、疲労感の増加や注意力の低下、さらに、眠気や頭痛を訴える人が増加します。短時間では問題がないという結果もあるので一概には言えませんが、CO2が増えるほど影響が大きくなるのは明らかなので、運転中はできるだけ外気導入にするか、最低でも1時間に1回は換気するといいでしょう」とコメント。

 JAFはこの結果を踏まえ、市街地を内気循環で走行した場合、1時間でCO2の濃度が最大で6770ppmとなり、疲労感の増加や注意力の低下などの症状が現れるとされる3000ppmの約2倍というかなり高い数字を計測。安全運転のためには定期的に休憩を取り、車内の空気の入れ替えを心がける必要があるとしている。

 なお、花粉量の調査については、花粉を確認することはできたが微量であった。最近のエアコンフィルターはある程度花粉を除去できるため、外気導入でも花粉を心配する必要はあまりなく、むしろ衣類に付着した花粉や乗降時に車内に付着した花粉を除去した方が重要だと言えるとした。