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ダイハツの新型「ハイゼット」とともに発表された「Nibakoプロジェクト」とは?

2021年12月20日 開催

新型ハイゼットと同時に発表された「Nibakoプロジェクト」について紹介

軽特装車市場No.1のダイハツが進める「Nibakoプロジェクト」

 新型「ハイゼット」シリーズ、「アトレー」の撮影取材会会場には、ダイハツ工業が進めている新しいサービス「Nibakoプロジェクト」のサンプル車両も展示されていた。ここではそのプロジェクトの概要と実証実験中の車両を紹介していこう。

 軽商用車は一次産業、荷物の運搬、道具の運搬といった従来の使用法のみならず、軽商用車に商品を積んでイベント会場や各種施設などをまわって物品を販売する移動販売車へのニーズも増えているが、特に2020年から始まったコロナ過の中では、人の移動や行動に以前とは違う状況が生まれた。

 その中で小売業者は移動販売車の活用を始めたのだが、現状、市場にあるのは飲食用のキッチンカーがほとんどで、物販用の車両がないという状況だ。もちろん製作することも可能だが、専用車両を新たに作るとなると導入コストが跳ね上がってしまう。また、DIYで作ったり他のアイテムを改造したりする手もあるが、仕事で使用できるものに仕上げる自信がないなど、ユーザー側にはさまざまな不安がある。

 そこでダイハツは特装車製造の経験を生かし、ハイゼット トラックの荷台に載せることができる移動販売ツール「Nibako(ニバコ)」の開発を進めている。

「Nibakoプロジェクト」とは軽特装車の市場でナンバー1というダイハツの強みを生かした取り組みだ
「Nibakoプロジェクト」の取り組みについて
「Nibakoプロジェクト」仕様のダイハツハイゼットトラック

「Nibako」とは名前のとおり“荷箱”であるが、最大の特徴が「フレキシブルで使用性が高い」こと。「Nibako」は物販用なので、扱う商品に応じて積載、陳列の方法も変わるのでそれに合わせられるようにしていて、製造はダイハツの特装車を製造する生産ラインで行なう。それだけに耐久性や安全性、信頼性はダイハツの特装車同様、非常に高いものになる。

「Nibako」は最大積載量内の重量であり、荷台へはボルトなどで固定する方法となる。そしてサイズ、構造とも改造届が不要な積載型架装となる。また積載型ゆえに積み降ろしも自在。

 例えば農家のユーザーであれば農作時期は農機具の運搬に使用し、収穫後は「Nibako」を搭載して野菜の移動販売車とするなど、1台の軽トラックを有意義に活用することもできる。

 それに荷箱のみ、車体のみと、別々のメンテナンスができるので、修理や車検などでクルマが使えない際であってもレンタカーでの代用ができる。荷箱はリースであればメンテナンスが必要なときは別の箱を用意してもらうことも可能。つまり、車両側の都合で商売を止める必要がないのだ。

現状の仕様は暫定版とのこと。ウイング式にオープンする構造はこのまま採用される予定
展開中の風の影響などもデータを取っている最中
柱は強度のあるスチールフレームとなる
荷台への固定はボルトやベルトで行なう。ハイゼット トラック以外にも搭載できるようサイズなどを設定しているとのこと
箱の重量を軽くするとそのぶん商品が積めるので、箱の軽量化はこれからも進めていくという
陳列用のボードにはフックが掛けられるようになっていた。裏側はバックヤードとして使える。在庫が置けるし出しやすい

 これをハイゼットトラックの荷台に積んで使用するが、運用コストを下げるためにダイハツが検討しているのは「Nibako」を販売するのではなく、リースやレンタルとすること。これはハイゼットトラック込みのプランもあるようだ。

 そして窓口としてはダイハツ車を販売する全国6000店のネットワークを使用。ここではスタートアップサポート、メンテナンスサポート、仕事情報サポート、繋がるサポートなども含め、移動販売の支援を行なうという。これらは2022年の中頃のサービス開始を目指して仕組みづくりが進められている。

「Nibako」の特徴
現在は実証実験としていくつかの移動販売車に「Nibako」を搭載して営業をしている。会場にはそのうちの1台である漬物販売の移動販売車が展示されていた

 軽商用車の業界では他を牽引する存在であるダイハツが始める新しい取り組み「Nibakoプロジェクト」は軽商用車の可能性を広める存在になるだけに、今後の展開には注目していきたい。