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ホンダ、入院している子供のために開発した電動モビリティ「Shogo」

2021年12月20日(現地時間) 発表

電動モビリティのShogo。点滴ポールホルダー、プッシュバー、玩具入れ、カップホルダー、センターホーン、ナンバープレートスロットなどを装備している

子供が入院生活を楽しい思い出にできるようにと開発

 本田技研工業は12月20日(現地時間)、幼い入院患者に快適さと喜びを提供する子供用電動モビリティ「Shogo」をアメリカで発表した。

 このShogoは、ホンダのエンジニアによって、入院中の小さな患者を運ぶことで、子供やその家族のストレスや不安を和らげることを目的に設計されたモビリティ。車体には、回復に向かう幼い患者さんを喜ばせるための機能が搭載されているといい、現在はホンダの長期的なパートナーである小児専門のCHOC病院で使用されているという。

 この取り組みは「プロジェクト・カレッジ」と名付けられていて、公開されているショートフィルムで、遊びと笑いが入院中の子供たちの生活に、素晴らしい影響を与えていることを実証している。

Project Courage(2分56秒)

 Shogoは、できるだけ簡単に乗り降りでき、簡単に運転でき、その経験全体が子供たちに少しでも幸せな思い出となるように、小さな子供たちのさまざまなニーズに対応するように設計されている。そしてCHOC病院は、入院生活を送る幼い患者さんのケアにShogoを活用する最初の病院として、その実現性と安全性を検証する重要な役割を果たしたとしている。

 アメリカン・ホンダ・モーターの全米自動車広告担当マネージャーであるフンディ・リウ氏は「入院中のストレスの多い時期に患者さんをサポートするためにShogoを作ることは、われわれの情熱的なホンダ社員チームにとって愛の仕事であり、このホリデーシーズンにCHOCにShogoを紹介できることを誇りに思います」と述べている。

 また、アメリカン・ホンダ・モーターで車両のシニア・エクステリア・デザイナーを務めるランドール・スモック氏は、「幼い頃に病院で過ごした者として、私たちホンダチームがShogoの開発で1番に目指したのは、入院生活の苦労を和らげ、子供たちにその経験について永遠に続くいい思い出を提供することでした」とコメント。

 CHOC病院のCherese Mari Laulhere Child Life DepartmentのマネージャーであるBrianne Ortiz氏は「私たちのチームは、優れた患者体験を提供し、患者の滞在に喜びを与えるという私たちの継続的な取り組みをサポートする革新的なソリューションを提供するホンダに非常に感謝しています。そして、私たちの若い患者にとって完璧で安全な車を確保するためにスタッフと協力したホンダのチームの献身的な努力に、最初から感銘を受けました」と述べている。

Shogo概要

 Shogoは、日本語をベースに「未来への飛翔」という意味を込め、4歳~9歳の若い患者に焦点を当て、パワーコントロール、ハンドル上のゴー/ストップ機構の管理、看護師や介護士などが管理しやすいよう、時速1~5マイル(1~8km)の速度で簡単に運転できるように設計されている。

 患者の安全を考慮して開発しているShogoは、子供が安全かつ容易に乗り降りできるようにドアがないスタイル。また、子供が操作しやすいように座席とステアリグは中央に配置。さらに、病院内での清潔さを保ちやすいように、滑らかで柔らかい手触りの表面で仕上げられている。

 そのほかにも、点滴ポールホルダーや介助者が必要なときに手動で押すことができるプッシュバーも装備。子供が快適に過ごせるように、車体前部に玩具入れ、カップホルダー、さまざまな音が出せるセンターホーン、ライダーの名前を表示するカスタマイズ可能なナンバープレートスロットも装備する。

 ホンダのエンジニアは、CHOCのスタッフとともに、このコンセプトの実現性を検証していて、病院の廊下を再現した研究開発施設内の専用コースで、実際に子供や親御さんに乗ってもらい、安全性を確認した上で納車したという。また、ShogoをEVで開発したことは、病院という環境に適応させるためには当然だが、これはホンダが2030年に電動車両を販売台数の40%に、2040年には電動車両を100%にするというビジョンにも合致しているという。