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損保ジャパンなど、交通事故データとタクシー配車システムとの連携実験を国内初実施

2022年1月18日 発表

3社連携イメージ

事故多発地点で警告音を鳴らしてドライバーに注意喚起を促す仕組み

 損害保険ジャパンと電脳交通と第一交通産業は1月18日、損保ジャパンが保有する交通事故データと、電脳交通が提供するクラウド型タクシー配車システムを連携させた新たな「安全運転支援ソリューション」を、第一交通グループのタクシー車両に導入し、交通事故防止の効果などを検証する実証実験を1月13日から共同で開始したことを発表した。交通事故データをタクシー配車システムに連携する実証実験は国内初という。

 2020年は新型コロナウイルスの影響による移動制限により、全国の交通事故死者数は過去最少となったが、事故の根本的な解決にはいたっておらず、ドライバーの自助努力による事故防止にも限界があるのが実情。また、昨今は安全運転に対する社会的要請はより一層高まっていて、ヒト・モノの輸送を維持するためには、今後さらなる対応が求められているという。

 そこで損保ジャパンは、企業向け安全運転支援サービス「スマイリングロード」や個人向け安全運転支援サービス「Driving!」など、通信機能付きドライブレコーダーを活用した安全運転支援ソリューションを提供し、「高齢ドライバーによる事故の増加」や「あおり運転」といった社会課題の解決を通して、事故のない社会の実現に向けての取り組みを推進しつつ、自動車の事故対応を通じて蓄積された膨大な交通事故データを活用した新たな価値創出についても検討を進めてきたという。

 また、電脳交通と第一交通は「地域交通の維持・存続と活性化」の実現を共に目指し、2020年10月に資本業務提携を締結して以降、電脳交通の配車システムを第一交通グループのタクシー配車業務に順次導入することで、業務の効率化や円滑なサービスの提供を実現。コロナ禍においても地域交通を支えている。

 そして今回「事故のない社会」「レジリエントな(柔軟性のある)地域交通機能」「タクシーの新たな提供価値創出による地域社会への貢献」を実現するため、3社で業務連携を行ない、損保ジャパンが保有する交通事故データと電脳交通のタクシー配車システムを連携させて開発した「安全運転支援ソリューション」を用いた実証証験を実施するという。

タクシー配車システムの実走イメージ。事故の場所だけではなく「出会い頭」「追突」など事故が起きたシチュエーションも把握できるほか、事故多発地点に近づいた際にドライバーに注意喚起を促すアラート音も、慣れを防ぐために適宜仕様を変更していく想定という

 この実証実験では、損保ジャパンが保有する数百万件の交通事故データを加工して事故多発地点統計データを作成し、そのデータを電脳交通のクラウド型タクシー配車システムに連携して、配車タブレット上に表示。その配車タブレットを第一交通グループの山梨県・愛知県・和歌山県下のタクシー車両522台(内訳:山梨県128台、愛知県180台、和歌山県214台)に順次設置し、通常のタクシー運行を実施。

 タクシー車両が、配車システムに登録されている事故多発地点周辺を通りかかると、注意喚起を促すアラート音が流れ、タクシードライバーに対して安全運転の意識向上を促す。これにより、交通事故防止の効果がどの程度あるのか、またドライバーの行動変容にどれくらい寄与するのかなどを3社で検証するとしている。

実証実験における各社の役割

・損保ジャパン:実証実験の企画・総括、交通事故データの提供、効果検証
・電脳交通:交通事故データを連携したクラウド型タクシー配車システムの開発
・第一交通:タクシー車両の運行、ドライバーの協力

 今後は、損保ジャパン、電脳交通および第一交通は、本実証実験の結果を踏まえ、交通事故防止に資する新たな安全運転支援ソリューションの開発およびそれと連動した保険商品の開発へ向けた検討を連携して進めるほか、損保ジャパンは交通事故データの活用による新たな価値を創出することで「事故のない社会」の実現に貢献を目指すとしている。