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帝人、従来より35%軽量で優れた強度安定性と高コスト効率を実現する「炭素繊維織物」を開発

2022年2月17日 発表

「新規炭素繊維織物」の概要

独自の「開繊」技術を用たことで開発に成功

 帝人は2月17日、優れた強度安定性と高いコスト効率を実現した「炭素繊維織物」を開発したと発表した。

 炭素繊維強化プラスチック(CFRP:Carbon Fiber Reinforced Plastics)は、軽量性と強度に優れることから「航空機用途」「産業用途」「スポーツ用途」などで、パフォーマンスの向上を目的に幅広く採用されているが、そうした中で機械的特性のさらなる向上が求められており、強度の安定化が必要とされいるという。

 CFRPの強度は、強化材として用いる炭素繊維織物に平滑性を持たせることにより、炭素繊維にかかる応力の集中を緩和させることで安定化が可能。織物に平滑性を持たせるには、使用する糸をより細いものへと切り替えるのが一般的という。しかし、炭素繊維は細い糸ほど高い製造技術が求められるため、より細い糸への切り替えがコスト上昇となってしまうことが課題となっていた。

 そこで帝人は、独自の押しつぶしたように糸を薄く広げる開繊技術を用いることで、優れた強度安定性と高いコスト効率を実現する炭素繊維織物の開発に成功した。

「新規炭素繊維織物」の特徴

 新たに開発した「新規炭素繊維織物」は、3K(3000本のフィラメント)の糸で構成される炭素繊維織物(CFRPにした際の成形厚が約0.2mm)を、独自の開繊技術により、1K(1000本のフィラメント)の糸で構成される織物と同じ厚さ(CFRPにした際の成形厚が約0.15mm)にまで薄肉化を実現。

 また、帝人の開繊技術を用いたことで炭素繊維織物を構成する糸の起伏を小さくし、織物表面の平滑性を向上。「新規炭素繊維織物」の平滑性は、1Kの糸で構成される炭素繊維織物よりも高く(帝人調べ)、それによりCFRPにした際の強度の安定性が高まったという。さらに、独自の開繊技術は生産効率が高いため、従来の開繊技術に比べて低コスト化を実現し、1Kの糸を用いた炭素繊維織物と比較してもコストを抑えることができるとしている。加えて、薄肉化しているため、3Kの糸を用いた炭素繊維織物の重量(200g/m2)を約35%軽量化し、1Kの糸を用いた炭素繊維織物の重量(125g/m2)と同程度とした。

 帝人はこの新開発の炭素繊維織物を、産業用途やスポーツ用途の製品を展開する企業に向けて販売を推進し、すでに展開している各種炭素繊維開繊織物と合わせ、2030年度には20億円の売上を目指すとしている。