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ブリヂストンとエネオス、使用済タイヤからタイヤ素原料を製造する「ケミカルリサイクル技術」の確立を目指す共同プロジェクト
2022年2月21日 11:50
- 2022年2月18日 発表
使用済タイヤのケミカルリサイクル技術を確立させCO2排出削減を目指す
ブリヂストンとエネオス(ENEOS)は2月18日、「使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル技術」の社会実装に向けた共同プロジェクトの開始を発表した。
現在タイヤの主な材料の1つとして、石油由来の合成ゴムが使用されている。また、使用済タイヤの多くは「サーマルリカバリー(熱回収)」により燃料として有効利用されているものの、その際にCO2排出を伴なうことが課題となっている。
そこでこの共同プロジェクトでは、ブリヂストンがタイヤ・ゴム事業を通じて培ってきた高機能ゴムなど高分子素材の設計技術と、エネオスが有する原油精製技術や基礎化学品製造に関する基盤技術を最大限融合させ、使用済タイヤのケミカルリサイクル技術の確立を目指すという。
具体的には、使用済タイヤを精密熱分解して得られる分解油を石化原料(ナフサなど)化し、この石化原料から合成ゴムの素原料であるブタジエンなどの化学品を高収率に製造する「ケミカルリサイクル技術」の社会実装に向けた実証実験を行ない、2030年までに量産を想定した大規模実証試験を実施し、その後、早期の事業化を目指すとしている。
この共同プロジェクトは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業/CO2等を用いたプラスチック原料製造技術開発」に採択された実証事業「使用済タイヤからの化学品製造技術の開発」における2つの研究開発項目のうちの1つで、日本政府が掲げる「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という目標の達成に向けて、エネルギー・産業部門の構造転換や大胆な投資によるイノベーションの加速を目指して、経済産業省により設置された制度で、この目標に経営課題として取り組む企業などに対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援するもの。
ブリヂストングループは、「2050年 サステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」をビジョンとして掲げ、中長期事業戦略/中期事業計画(2021年~2023年)を実行中で、その中核として、バリューチェーン全体でサーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル化への取り組みと、ビジネスモデルを連動させる「サステナビリティビジネス構想」の実現に向けた取り組みを加速。タイヤを「創って売る」タイヤ事業、ユーザーがタイヤを「使う」段階で価値を提供するソリューション事業に加えて、2021年にはタイヤを原材料に「戻す」リサイクル事業の探索と研究開発をスタートさせている。
一方エネオスグループは、2040年グループ長期ビジョンにて「低炭素・循環型社会への貢献」を掲げている。そして、化石燃料由来の原料を用いる石油・石油化学産業にとって、低炭素・循環型社会の実現のためには再生可能資源の更なる利用促進が求められていることから、その取り組みの一環として、エネオスグループは環境対応型事業として、製油所を活用した油化リサイクルを推進している。
両社は、タイヤ・ゴム産業、石油・石油化学産業において培ってきた技術やノウハウを融合し、タイヤに関わるこれらの産業のカーボンニュートラル化、および持続可能な社会の実現への貢献を目指すとしている。
ブリヂストン Global CEO 石橋秀一氏のコメント
ブリヂストングループでは、サステナビリティを経営の中核に据え、将来にわたって社会価値・顧客価値を創出し続けるサステナブルなソリューションカンパニーへと進化するため、さまざまなパートナーとの共創に取り組んでいます。その中で、石油・石油化学産業におけるリーディングカンパニーであるエネオスとの共創は、タイヤ・ゴム産業の資源循環性の向上とカーボンニュートラル化に向けた大きな一歩であり、大変嬉しく思います。本プロジェクトを通じて、使用済タイヤを原材料に「戻す」リサイクルを事業として確立し、社会実装することは、当社グループの「サステナビリティビジネス構想」の実現につながるものと確信しています。ブリヂストングループは、今後も、持続可能な社会の実現へ向け、さまざまな共創活動を推進していきます。
エネオス 代表取締役社長 大田勝幸氏のコメント
当プロジェクトは、当社グループの2040年長期ビジョンで掲げる「低炭素・循環型社会の形成への貢献」につながるものです。今回、タイヤ・ゴム業界のリーディングカンパニーであるブリヂストン社と共同開発を実施することで再生可能資源の利用促進が更に進むものと確信しています。当社が長年培ってきた技術を十分に生かしながら、循環型社会実現に向けてサプライチェーン全体で協力し、取り組んでまいります。