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日産、新型Z GT500を投入するSUPER GT2022シーズン グプタCOO「勝ちにこだわる」
2022年2月22日 20:12
- 2022年2月20日 開催
日産自動車は2月20日、同社の本社ギャラリーにおいて「2022日産モータースポーツファンイベント」を開催し、その様子をオンラインで中継した。日産はすでに2022年のモータースポーツ体制を発表済みのため、特に新しい発表があった訳ではないが、2022年はSUPER GTに新型車両「Nissan Z GT500」を投入することもあり、その新型車両の今シーズンを戦うカラーリングや、移籍したドライバーや新しいチーム監督などのお披露目の場となった。
日産自動車 取締役 兼 代表執行役最高執行責任者(COO) アシュワニ・グプタ氏は「お客さまが感動できるクルマ造りを目指し、そのスピードをレースで表現してきた。それを形にしたのがNissan Z GT500であり、われわれは勝つためにレースをしている」と述べ、Nissan Z GT500で2015年にGT-Rで獲得して以来遠ざかっているGT500のチャンピオン奪回を誓った。
Nissan Z GT500を導入する2022年、「勝つためにレースをしている」の精神で臨むとグプタCOO
今回のファンイベントに先立って、司会を務めたピエール北川氏から、長年ニスモチームの監督を務められていた鈴木豊さんが、2021年の末に亡くなったことが改めて報告された。鈴木さんは、1990年にニスモに入社し、日産のル・マン24時間レース挑戦などで開発エンジニアとして活躍し、2009年からニスモチームの監督に就任。2021年のシーズンまで陣頭指揮を執り続けたが、闘病生活の末、2021年の12月19日に亡くなったことがニスモより明らかにされていた。本誌からも心よりご冥福をお祈り申し上げたい。
その後登場したのは、日産自動車 取締役 兼 代表執行役最高執行責任者(COO) アシュワニ・グプタ氏。自らもレース好きと公言するグプタ氏は、今シーズンの日産がSUPER GTとフォーミュラEを2つの柱としてモータースポーツ活動を行なっていくと強調した。その上で、特に新型車両となるNissan Z GT500では、レースには勝つために参戦しているのだという姿勢を明確にして臨むとした。
また、フォーミュラEの紹介では、日本メーカーで唯一参戦していることを強調し、2025-26シーズンまで日産が継続して参戦することをすでに決めており、特に次のシーズンで導入される第3世代(Gen 3)車両では市販車に使われているEV技術をフォーミュラEにも導入していくと明らかにした。
Nissan Z GT500は新型Zにおけるブランド戦略、マーケティング戦略を強力にアシストするとニスモ片桐CEO
引き続きニッサン・モータースポーツ・インターナショナル 代表取締役社長 兼 最高経営責任者(CEO) 片桐隆夫氏が今シーズンの日産のモータースポーツ参戦体制に関して説明を行なった。
片桐氏は「昨シーズンもファンの皆さまから熱い応援をいただいたことを感謝したい。GT-R最後のレースは多くの惜しむ声をいただいたし、新型Zの発表配信は多くの方に見ていただいた。今シーズンはフォーミュラE、SUPER GTを二本柱に、GT-R GT3を利用したカスタマーレーシング、カスタマーエンジンへの技術支援などを行なっていく。今シーズンも応援いただけるようにお願いしたい」と述べた。
フォーミュラEに関しては、2021年と同様に日産e.damsチームから2台体制で参戦する。セバスチャン・ブエミ選手は継続するが、もう1人のドライバーはマクシミリアン・ギュンター選手が新たに加入する。
SUPER GTに関しては、すでに紹介しているように2021年惜しまれて引退したNissan GT-R GT500に代わり、Nissan Z GT500が新型車両として新たに投入される。このNissan Z GT500は、2022年に日産が販売を開始するフェアレディZをベースに作られた新型車両になり、「日産のブランド戦略、マーケティング戦略を強力にアシストすることは大きな意味がある。2022年のSUPER GTの体制は日産系ドライバーが持てる力を最大限に発揮できるように、さまざまなポイントを考慮して決めた組み合わせで、全チームで体制が変更になっている」と述べ、新型車両導入に合わせて、ドライバー、監督陣も新体制にしたのだと強調した。
また、引き続きミハエル・クルム氏がエグゼクティブ・アドバイザーを、柿元邦彦氏がNISMOアンバサダーを今シーズンも務めると報告された。
GT300のカスタマーレーシングでは、2021年同様ゲイナーチームの2台とコンドーレーシングがオフィシャルパートナーチームとして参戦するほか、カスタマーのNILZZ Racing、RUNUPの2台に加えて、2022年はBUSOU Drago CORSEが新たに加わり、合計で6台のGT-R GT3がGT300に参戦することが明らかにされた。このほかにも、LMP3に日産のエンジンを供給するほか、2022年も全国でNISMO Driving Academyを開催することなどが説明された。
そして、ここ2年はCOVID-19の感染拡大の影響でリアルイベントは中止になっているニスモフェスティバルについて触れ「今年こそはなんとか開催したい」と強調し、もちろん感染状況次第ではあるが、可能であれば今年は開催する方向で動いていきたいとした。そして、すでに発表されているニスモとオーテックが合併し、4月1日から「日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社」がスタートすることについて触れ、「両社の合併によりニスモブランド、オーテックブランドそれぞれをもっと発展させていく」と述べ、2つの会社が合併することで日産にとって重要なニスモブランド、オーテックブランドの両方をさらに伸ばしていきたいとした。
松田次生選手は「新型Zを購入してサーキットに乗ってきて応援してほしい」と新型Zをアピール
その後、SUPER GTに参戦する4チームを代表して日産チーム総監督の松村基宏氏と、23号車のドライバーである松田次生選手がスピーチを行なった。その後、4チーム8名のドライバー、監督などが紹介されたほか、フォーミュラEに関するクイズ大会などが行なわれて盛り上がった。
松村監督は「14年の長きにわたってGT-Rを応援していただいたファンの皆さまやスポンサーの皆さまに感謝したい。22年シーズンに向けては新型Zを導入するため、戦略強化を含めてチーム体制を強化してきた、この体制で勝つためにレースをしていき、勝ちにこだわったレースをしていきたい。ファンの皆さま、スポンサーの皆さまにおかれてはコロナ禍で直接見ていただくのは難しいかもしれないが、全チーム一丸になって勝ちに向けて頑張っていきたい」とコメント。
続けて「新型車両の開発に関しては現在進行形ですべてを話す訳にはいかないが、ポイントになるのはスポーツカー形状のボディーであることで、空力の特性を柔軟にできている。GT-R時代のデータの蓄積があるので、それを活用しながらどう進化させるかが重要でその意気込みでテストをしている」と明かした。
松田選手は「今隣にあるこのカラーリングされた新型ZのGT500車両を見ていると、今すぐこれに乗ってレースしたくなるぐらい興奮している。ここいる4チーム、8名のドライバー全員がチャンピオンを目指して切磋琢磨して、一生懸命頑張っていきたい。そして新型Zの市販車も出るので、ぜひ新型Zに乗られてサーキットに来ていただいて応援していただけるとうれしい。私を含めて全ドライバー、全監督など頑張っていきたいと思っているので応援よろしくお願いしたい」と語った。