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ミシュラン、新製品「プライマシーSUV+」発表会 オンロード専用としてサマー性能に磨きをかけて快適さと安定性を両立
2022年2月25日 19:59
- 2022年5月19日 順次発売
- オープンプライス
プレミアムな性能に加えサスティナビリティにも貢献する次世代タイヤ
日本ミシュランタイヤは2月25日、プレミアムコンフォートタイヤの新製品となる「PRIMACY SUV+(プライマシー エスユーブイ プラス)」の発表会をオンラインにて実施した。
プライマシー SUV+は、5月19日から順次発売されるSUV向けタイヤで、15インチから20インチまでの全28サイズをラインアップし、価格はオープンプライス。
冒頭で登壇した須藤元社長は、国内外の多くの自動車メーカーがSUVの特徴を活かした車種を開発しているが、この背景にはユーザーの多様かつ新たなニーズが存在していることに触れ、「タイヤはユーザーの異なるニーズに的確に応え、移動の喜びを実現する責任がある」と語る。また、ミシュランが技術面で高く評価してもらっていると紹介しつつ、今後も持続可能性を考慮しながらも「すべての性能を妥協しない」というミシュランの開発基準と、「最後まで続く性能を目指す」という追求する姿勢を続けていくとあいさつを行なった。
続いて、乗用車・商用車タイヤ事業部マーケティング部ブランド戦略マネージャーの大河内昌紀氏が登場。現在ミシュランには、SUVをオンロードでスポーティに走らせるための「パイロット スポーツ 4 SUV」、SUVで快適な旅を演出する「プレミアLTX」、急な雪にも対応する「クロスクライメートSUV」と、さまざまなシチュエーションに対応するSUV向けタイヤをラインアップしていることを紹介。そして、今回発表する新製品「プライマシーSUV+」は、コンフォート性能を重視したプレミアLTXの後継商品だと説明した。
また、M+S(マット&スノー)性能を持っていたプレミアLTXに対して、新製品のプライマシーSUV+はオンロード専用として、サマー性能に磨きをかけたことで、従来品と同じプレミアムコンフォートのSUVタイヤというポジションにありながら、さらに快適で安定した走りを実現したと明かす。
そして、冒頭のあいさつで須藤社長も述べているとおり、SUV市場は今も成長しているセグメントで、2017年には45万台だった販売台数は、2021年には65万台を超えていて、比率も23%と約4台に1台はSUVが売れていることを紹介。加えて、ひと昔前は新車のSUVには多少オフロードや雪道も走行することができるタイヤが主流だったのに対し、ここ5年間で状況はひっくり返り、83%がサマータイヤを採用している状況を説明した。
そういった背景の理由については、厳しさを増す燃費や安全性の要求、セダンやワゴンから乗り換えたユーザーがSUVにも乗用車的な乗り味を求めるなど、さまざまな要因が考えられるが、ミシュランもそのトレンドに合わせて、今回のプライマシーSUV+はサマータイヤ規格にしているという。
続いて大河内氏は、SUVオーナーは「乾いた路面での高いグリップ性能」「濡れた路面での高いグリップ性能」「乗り心地のよさ」「ハンドリング」「高速走行時の安定性」「静粛性」を重視していることが分かったと、ミシュランが独自に調査した消費者ニーズの結果を紹介し、全体平均に対してほとんどの項目が20ポイント以上も高かったとSUVユーザーのニーズの特徴について説明した。
この調査結果から新製品のプライマシーSUV+は「安全」「快適」「安定」という3つのニーズに応えられるタイヤにしたという。
プライマシーSUV+は従来品からどんな性能が向上しているのか?
まずは、ウェット性能。大河内氏は従来品PREMIER LTXよりも約8.2%短く止まれるウェット性能を実現した理由について「トレッドコンパウンド」「トレッドパターン」の2つの要因があると挙げ、今回採用したトレッドコンパウンドにはシリカを多く配合したことで、転がり抵抗を犠牲にすることなくグリップ力を向上させられたという。
また、トレッドパターンでは、U字グルーブと溝底まで深く刻み込まれたフルデプスサイプによって摩耗による急激な排水性能の低下を抑制することで、高いドライウェットグリップを発揮でき、運転時の安心感を向上できたという。さらに、静粛性を高めている「トレッドブロックデザイン」に関しては、ショルダー部のトレッドブロック数を増やしたことで、ノイズのピークを下げ、騒音エネルギーを低減。その結果パターンノイズを約27.9%低減させることができたと語る。
そのほかにも、重量のあるSUVをしっかりと支えるため、センターのリブ以外のトレッドブロックのすべてのサイプに小さな突起を設けることで、加速時やブレーキング時だけでなく、コーナリング時など、タイヤにより強い力がかかった際に、この突起物によってブロック同士が支え合い、倒れ込みを防ぐという効果が得られる技術「スタビリ・グリップ・サイプ」も投入。そしてブロックの剛性を高めることができた結果、「重量のあるSUVを支えながら、優れた高速安定性とハンドリング精度を両立できた」と大河内氏はプライマシーSUV+が、いかにSUVに適しているタイヤであるかアピールした。
最後に大河内氏は、サスティナビリティに関しても言及。新製品のプライマシーSUV+は、ミシュランが2050年までにタイヤを100%持続可能にする、持続可能なモビリティを実現するという大きな目標に従って開発していて、高いグリップ性能と低転がり性能を両立するコンパウンドを採用。結果的にタイヤラベリングで、28サイズ中24サイズが転がり抵抗性能「A」、ウェットグリップ性能「b」を取得したことで、経済性と安全性に貢献しつつ、低燃費にも寄与することでサスティナビリティにも貢献するタイヤであると解説。
さらに、タイヤの生産についても、従来品のプレミアLTXはすべて北米からの輸入品だったが、日本で販売するプライマシーSUV+はすべて生産国を北米からタイや中国といったアジア諸国に変更し、タイヤの輸送距離を短縮することで、輸送時のCO2排出量を抑制しサスティナビリティに貢献するとまとめた。