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ミシュラン、新ハイグリップスポーツタイヤ「パイロット スポーツ 5」発表会 ウェット路面で最速ラップタイム1.7%、平均ラップタイム1.5%短縮
2022年1月28日 20:12
- 2022年3月8日から順次発売
- オープンプライス
6年ぶりに進化したストリート向けハイグリップスポーツタイヤ
日本ミシュランタイヤは1月28日、ダイナミックスポーツタイヤ「PILOT SPORT 5(パイロット スポーツ ファイブ)」の発表会をオンラインにて実施した。
冒頭で須藤社長は、タイヤに求められる性能について「安全性」「快適性」「経済性」は基本であるが、現代においては「環境性」というサステナブルな性能も新たに求められていることに触れ、ミシュランはユーザーニーズや社会の課題に対して、ある特性だけに特化せず、すべての性能が要求レベル以上の水準を満たしながらバランスさせ、その性能がより長く続くという開発思想をコンセプトにタイヤの開発を行なっていると紹介。そのコンセプトはスポーツタイヤも同様で、グリップ性能やハンドリング性能だけでなく、環境性能も含めたトータルパフォーマンスの優れたタイヤでなければならないと、タイヤ開発に関する基本姿勢を説明した。
続けて須藤社長は「よりスポーティな走りを体感体験したい、どこでも気持ちよくドライブをしたい、もっとかっこよく走りたいなど、ユーザーがそのタイヤに求める性能の先には、ドライバーとしての本来の目的があります。それはドライバー1人ひとりが持つ感性をタイヤがどう表現できるかにつながります。そしてミシュランのスポーツタイヤは、それにお応えできるタイヤでなければいけないと考えていてます。今日発表する新製品は、ユーザーがそれぞれのドライビングシーンで得られる体験が、より満足いただけるよう、性能面はもちろん、デザイン性にもこだわったスポーツタイヤとなっています。それがパイロット スポーツ 5です」と6年ぶりに刷新された新製品を紹介した。
続いて乗用車・商用車タイヤ事業部 マーケティング部 ブランド戦略マネージャーの大河内昌紀氏より新製品パイロット スポーツ 5の概要説明が行なわれた。
河内氏はパイロットシリーズについて、モータースポーツという極限状態で磨かれた技術をフィードバックすることによって進化してきた商品で、高いグリップ力は運転するたのしさや安全性、耐久性や経済性と、レースで要求される性能は市販タイヤでも要求されるものだと紹介。また、現行のラインアップは、ストリート主体の「パイロット スポーツ 4」、ストリートからサーキットまで使える「パイロット スポーツ 4S」、サーキット走行がメインの「パイロット スポーツ カップ2シリーズ」、SUV向けの「パイロットスポーツ for SUV」、電動車向けの「パイロット スポーツ EV」など使用目的に合わせた製品を揃えていることを紹介した。そして今回の新製品パイロット スポーツ 5は、ストリートでの使用が主体のパイロットスポーツ4の後継モデルであるとした。
従来品のパイロット スポーツ 4について河合氏は「ユーザーからとても高い評価を得ていて、ウェットグリップやハンドリング性能だけでなく、乗り心地や快適性も含めたトータルバランスに優れているとの声をいただき、日本最大級のクルマSNSサイトでは、発売した翌年の2017年~2019年にかけてスポーツタイヤ部門の年間大賞を3年連続で受賞、さらに2020年、2021年と殿堂入りを果たしました」と高い実績を紹介した。パイロット スポーツシリーズは、スポーツカーだけでなくミニバン、SUV、セダンなど、幅広いセグメントの車両で装着されてるという。
また、ミシュランが独自に行なった調査によると、積極的に運転をすることが好きな消費者は、特に乾いた路面や濡れた路面でのグリップ性やハンドリング、高速走行時の安定性、見た目のよさを、購入時の重視点としていることが分かったという。また、これらのニーズはパイロット スポーツ 4発売前の2015年と比較して、さらにニーズが高まっていることも判明したとしている。
そして新製品のパイロット スポーツ 5については、「高いグリップ力がもたらすウェット&ドライ性能」「走りをたのしむ優れた操縦安定性」「より深い黒を全周にまとったフルリングプレミアムタッチ」を採用し、意のままのハンドリングを実現するハイグリップスポーツタイヤで、見た目もかっこよく、従来品と同じく“積極的に運転をすることが好きな消費者に向け、気持ちのよい走りをするタイヤ”として開発された製品であると解説した。
パイロット スポーツ 5に搭載されている技術
続けて河合氏はパイロット スポーツ 5に搭載されている技術について説明を行なった。
パフォーマンスに関しては、ウェット路面におけるパイロット スポーツ 4との性能比較実験にて、最速ラップタイムで約1.7%、平均ラップタイムで約1.5秒短縮でき、これは1周約60秒のコースであればタイヤを交換しただけで約1秒短縮できる計算だという。
トレッドには「デュアル・スポーツ・トレッド・デザイン」を採用し、外側は高い剛性を持つ大きなブロックを配置することでドライ路面でのグリップ力を高め、トレッド内側には太い主溝と横方向の幅広ブロックを配置して、ウェット路面でも高いグリップ力を発揮するという。また、意のままのハンドリングや安定したコーナリングなど、優れた操縦安定性を実現させるために「ダイナミック・レスポンス・テクノロジ」「バリアブル・コンタクト・パッチ3.0」という2つの技術を採用している。
また、加工した部分が光の反射を抑えることでより黒く見える技術「フルリング プレミアムタッチ」を新たに開発。ほぼ全周にわたって加工を施しつつ、モータースポーツの勝利の証であるチェッカーフラッグがより黒く、より鮮明に浮かび上がることで、パイロット スポーツ 4よりもさらにプレミアムな仕上がりにして、もっと走りたくなる印象を付与しているとした。
サステナブルな取り組みも導入
また、河合氏はサステナブルな取り組みに関しても言及。ミシュランは2050年までにタイヤを100%持続可能にすると発表していることから、パイロット スポーツ5も当然、持続可能なモビリティを実現するという目標を持って開発されたという。
具体的には、新たなコンパウンドを採用したことで、スポーツタイヤに求められる高いグリップ力を維持したままで低転がり抵抗を実現。その結果、タイヤラベリングにおいて全43サイズ中42サイズが転がり抵抗性能「A」、ウェットグリップ性能「a」をそれぞれ獲得している。装着したクルマの燃費に寄与することで、サスティナビリティに貢献するとした。
さらに、「ウェア・トゥ・チェック」という摩耗度が3段階で分かるトレッドウェアサインの採用と、スリップサインの視認性を向上させたことで、タイヤをより長く安全に仕様できるようにしたという。1本のタイヤを安全に長く使用することは資源の有効活用であり、これもサスティナビリティな活動であるとしている。
また、パイロット スポーツ 5はグローバル統一スペックを採用したとのことで、最適地生産を推進していくと明言。これまでのパイロット スポーツ 4はほとんどが欧州からの輸入だったが、パイロット スポーツ 5の大半はタイや中国で生産するという。これにより輸送距離を短縮でき、輸送時のCO2排出量の抑制につながると説明した。
なお、パイロット スポーツ 5は2022年3月8日より順次発売となり、サイズラインアップは17インチ~21インチまでの全43サイズで、価格はオープンプライス。性能に満足できなかった場合に返金してもらえる「全額返金保証プログラム」にも適応している。