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三菱ふそう、次世代「eCanter」試作車を初公開 6t標準、6tワイド、8tワイドでラインアップ拡充

2022年3月15日 公開

バッテリEVの小型トラック「eCanter」の次世代モデルの試作車両

 三菱ふそうトラック・バス(以下:MFTBC)は3月15日、バッテリEVの小型トラック「eCanter」の次世代モデルの試作車両を同社喜連川研究所(栃木県さくら市)で初公開した。「eCanter」の次世代モデルでは、車両総重量6tの標準キャブ、6tのワイドキャブ、8tのワイドキャブといった3タイプの車両が走行する姿が公開され、車両ラインアップを拡充してより細かな車両用途に対応することが強調された。

「eCanter」の次世代モデルは、車両ラインアップを拡充してより細かな車両用途に対応するとともに、航続距離や安全装備などの性能をさらに改良して、大規模量産モデルとして発売が計画されている。その開発プロセスにおいても、寒冷地や温暖地といった多様な厳しい環境下での走行試験を国内や海外で行ない、発売までに合計で100万km以上の走行テストを実施するという。

7.5tモデルの「eCanter」の現行モデルから、「eCanter」の次世代モデルではさまざまな用途に合わせたラインアップの展開を計画している

 MFTBCでは、2039年までに日本国内へ導入するすべての新型車両を電動化するビジョンを掲げていて、商用車の電動化加速に向けた取り組みに伴い、開発設備投資も拡大しており、同社喜連川研究所内に新たに設置されたEV試験棟も公開された。

車両に搭載して走行試験を実施したバッテリの状態を確認する「バッテリ分解室」。緊急時はバッテリを冷却するため作業台が下がって水の中に沈むようになっている
バッテリの発熱を監視するシステムなどを導入して作業の安全性を確保
EV車両用に用意されたベンチテストの施設
急速充電器が複数台設置された

 新たなEV試験棟は、2021年から2022年にかけて設置が進められたもので、高出力急速充電器、リチウムイオンバッテリを分解して解析を行なうバッテリ分解室、そして災害時にEVトラックから給電する外部給電機能の試験設備が用意された。これらの新たな設備にくわえて、高電圧コンポーネントの評価を行なうテストベンチや、EVトラックの機能を検証するEVシステムベンチなどにて、「eCanter」の次世代モデルの試験を進めていくという。

三菱ふそうトラック・バス株式会社 副社長 兼 開発本部本部長 安藤寛信氏

 三菱ふそうトラック・バス 副社長 兼 開発本部本部長 安藤寛信氏は、2017年に国内初の量産型電気小型トラックとして「eCanter」を発売以降、「eCanter」はこれまで日本をはじめ欧州や米国、オーストラリアやニュージーランドで合計350台以上が導入され、グローバルでの累計走行距離は450万km以上に到達していることを紹介。安藤氏は「MFTBCでは、商用車の電動化を推進し、関連設備への投資を拡大しています。CO2ニュートラルな輸送の実現により、お客さまのビジネスだけでなく、社会全体のサステナビリティに貢献することを目指しています」との意気込みを話した。

車両総重量6tの標準キャブ
車両総重量6tの標準キャブ
車両総重量6tのワイドキャブ
車両総重量8tのワイドキャブ