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フォルクスワーゲン、スペインをヨーロッパにおけるEVのハブ拠点にする構想を発表

2022年3月22日(現地時間) 発表

フォルクスワーゲングループは、スペインをEVのハブ拠点としつつ、ヨーロッパに6か所のバッテリセルを生産するギガファクトリーを建設する計画を発表した

 フォルクスワーゲンは3月23日(現地時間)、スペインをヨーロッパにおけるEV(電気自動車)のハブに転換させるため、バレンシアに新しいバッテリセル工場を建設し、完全かつ持続可能な「e-エコシステム」を構築すると発表した。

 この計画は、スペイン政府による「Electric Vehicle PERTE」(電気自動車のための戦略的復興・変革プロジェクト)の申し込み受付が4月1日に開始されることを受けたもので、イベリア半島に拠点を持つフォルクスワーゲングループ傘下の自動車メーカーであるセアトとの共同プロジェクトとなる。

 現在フォルクスワーゲングループ内で必要としているバッテリセルは、スウェーデンのノースボルトにあるシェルレフテオー工場で生産されているが、フォルクスワーゲンはパートナーと協力して、年間240GWhの生産能力を実現するために、6か所のギガファクトリーをヨーロッパに建設することを計画。

 同時にヨーロッパで予定されているすべてのセル工場の建設および稼働を加速させるため、セルの開発と生産を担当する欧州会社(SE)を設立し、今後外部のパートナーや投資家の参画も検討するとしている。

 今回の計画は「Future Fast Forward」と称し、e-モビリティのバリューチェーン全体に関わる外部サプライヤーと共に、合計70億ユーロ以上を投資する予定。また、スペインのバレンシアに建設するバッテリセル工場は、年間40GWhの生産能力を備え、3000人以上を雇用する計画で、2026年に生産を開始するため、工場の建設は2022年末までに着手するとしている。

 計画全体の中心で今後建設される工場の見本となるのが、2025年にバッテリセルの生産を開始するドイツのザルツギッター工場で、バレンシアに建設する工場はこれに次ぐ2番目のギガファクトリーとなり、ドイツ以外では初の工場となる。

 フォルクスワーゲンAGテクノロジー担当取締役兼セアトS.A.監査役会会長のトーマス・シュマル氏は「このプロジェクトは、フォルクスワーゲン、スペイン、そしてヨーロッパ全体にとって非常に重要です。私たちはスペインを電動化の拠点にすることを目標としており、マルトレルとパンプローナ工場の電動化、そしてバレンシアでバッテリバリューチェーンを構築する ために、外部サプライヤーと合わせて合計70億ユーロ以上を投資する用意があります」と述べている。

 また、セアトのCEOであるウェィン・グリッフィズ氏は「Future Fast Forwardは、スペインの自動車産業を変革し、ヨーロッパ全体におけるe-モビリティの民主化を実現する可能性を秘めています」とコメントしている。