ニュース

フォルクスワーゲン、新型バッテリEV「ID.Buzz」「ID.Buzz Cargo」を世界初公開 ワーゲンバスのDNAを継承したデザインを採用

2022年3月9日(現地時間)発表

EV専用プラットフォーム「MEB」を採用した新型BEV「ID.Buzz」。5人乗りのMPV

5人乗りの乗用モデルと、3人乗りの商用モデルの2タイプを設定

 独フォルクスワーゲンは3月9日(現地時間)、EV専用プラットフォーム「MEB(モジュラー・エレクトリック・ドライブ マトリックス)」を採用した新型バッテリEV(電気自動車)となる「ID.Buzz」と「ID.Buzz Cargo」のワールドプレミアを行なった。欧州では5月から先行予約を開始し、秋に市場へ投入予定。米国とカナダでも導入を予定する。日本市場については未定とした。

アイコニックなデザインを実現

 超ショート・オーバーハングとV字型のフロントパネルはID.Buzzを象徴するアイコニックなデザインで、オプションのツートンカラーも同様に「T1(タイプ2:日本ではワーゲンバスの名称で親しまれているモデル)」のDNAを引き継いでいる。

5人乗り仕様のID.Buzz(左)、3人乗りのバン仕様のID.Buzz Cargo(右)

 フォルクスワーゲン・デザイン部門の責任者Jozef Kabaň氏は「1950年代のアイコンであるT1(タイプ2)は、人々の移動と自由を可能にしました。ID.Buzzは、その象徴的な存在です。このクルマによって、私たちはこのT1のDNAを現代に、ひいてはエレクトリックモビリティの時代に伝えています。ID.Buzzは時代を超越し、サスティナブルでありながら、非常に機能的で、それがユニークなのです」と述べている。

空気抵抗値はいずれも0.285~0.29と乗用車並みの数値をマークしているという。画像はID.Buzz Cargo

広々としたインテリアと大容量ラゲッジスペースを確保

 ラウンジのような親しみやすいインテリアのID.Buzzは、5人が移動するための十分なスペースと荷物スペース(容量1121L)を確保。また、2列目シートを倒せば、最大で2205Lの積載も可能としている。さらにカーゴスペースを固定式パーティションで仕切れるなど、ユーザーの要望に応じた使い方ができるのも特徴。バン仕様のID.Buzz Cargoは、ユーロパレットを横積みで2個積載できるスペースを確保しているという。

 ボディサイズは、全長はどちらも4712mm、全長に対して非常に長いホイールベースは現行の「トランスポーター T6.1」とほぼ同じ2988mm。ルーフエアリアルを含む全高は、仕様によって1937mmまたは1938mmとなり、全幅は1985mmで、T6.1より81mmほど幅広に。回転径は11.1mとなっている。

フラット基調となるID.Buzzのインテリア
ID.Buzzのラゲッジスペース
ID.Buzz Cargoのインテリア
ユーロパレットを横積みで2個積載できるID.Buzz Cargo

最新世代のID.ソフトウェアを採用し、運転のしやすさ、安全性を追求した新型アシストシステムを標準装備

 ID.BuzzとID.Buzz Cargoのいずれも、他の車両や交通インフラからの信号を利用してリアルタイムに危険を察知するローカルウォーニングシステム「Car2X」、緊急ブレーキ機能「フロントアシスト」を標準装備とした。また、乗用モデルのID.Buzzには車線維持支援機能「レーンアシスト」も標準装備したという。

 さらに、オプションのスウォームデータによるトラベルアシスト機能は、全車速域での部分的な自動運転を可能にし、高速道路での車線変更も初めてアシスト可能とした。また、事前に保存したルートで自動駐車を行なう「メモリー機能」も新たに搭載されている。

床下にバッテリを配置し広々とした室内を実現

最大170kWでの充電が可能

 ID.BuzzとID.Buzz Cargoはリア駆動で、搭載する77kWhのバッテリ(総エネルギー量:82kWh)が150kWの電気モーターに電流を供給することで走行。バッテリをフロアの下に配置したことと、軽量な電気駆動システムを採用したことで、重量配分がよく車両の低重心化に成功。優れたハンドリングと俊敏性を実現したという。

 リチウムイオンバッテリは、公共の充電ステーションから11kWの交流電流を使用して充電できるほか、DC急速充電器(直流)の「CCSプラグコネクター」を利用すれば、最大170kWでの急速充電が可能。この方法で急速充電すると、バッテリ残量5%を約30分で80%まで充電できるという。

 また、将来的にはISO15118規格の「プラグ&チャージ」も予定していて、充電ステーションと必要なデータを交換することもできるようになるなど、スマート充電を実現させるとしている。さらに、ID.Buzzは双方向充電に対応していて、専用のDC双方向ウォールボックスを利用すれば、車両のバッテリから自宅に電力を供給するV2H(Vehicle-to-Home)も可能という。

 フォルクスワーゲンの取締役会会長であるラルフ・ブランドシュテッター氏は「ID.Buzzは、電気自動車時代の真のアイコンです。フォルクスワーゲンにしか作れないクルマです。1950年代にフォルクスワーゲンが販売したブリー(Bulli)は、自動車の自由、独立性、そして大きな感動という新しい感覚を象徴していました。このID.Buzzは、ブリーのライフスタイルを現代に置き換えたもので、エミッションフリー、サステイナブル、完全なネットワーク化、そして自律走行という次の大きなチャプターへの準備も整っています。このクルマによって、私たちは初めて、アクセラレート戦略の中核となるテーマをひとつの製品に集約することができたのです」と述べている。

 また、フォルクスワーゲン商用車ブランドの取締役会会長であるカーステン・イントラ氏は「ID.Buzzは、その製造と輸送においてカーボンニュートラルな足跡を残すという、サステイナビリティの面で先駆的な存在です。また、リサイクルされた合成素材を使用し、インテリアには本物のレザーを一切使用していません。ID.Buzzは、ライドプーリング(グループ子会社MOIAが提供するアプリで予約できるeシャトルサービス)など、将来の自律移動コンセプトにも使用される予定で、将来の都市内交通の一部でもあるのです」とコメントしている。