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フォルクスワーゲン、マティアス・シェーパース社長が年頭会見で電動化戦略を語る 新型BEV「ID.」日本導入も予告

2022年1月13日 開催

フォルクスワーゲン グループ ジャパン株式会社 代表取締役社長のマティアス・シェーパース氏が年頭会見で電動化戦略などについて語った

 フォルクスワーゲン グループ ジャパンは1月13日、年頭会見を開催し、2021年10月1日に同社の代表取締役社長に就任したマティアス・シェーパース氏が2021年の振り返りや今後の電動化戦略などについて語った。

 フォルクス ワーゲン グループ ジャパンとアウディ ジャパンは、2022年1月1日を効力発生日としてフォルクスワーゲン グループ ジャパンを存続会社とした吸収合併を実施。これに伴いフォルクス ワーゲン グループ ジャパンの下で輸入販売されているフォルクスワーゲンとベントレー、アウディ ジャパンの下で輸入販売されているアウディとランボルギーニの4ブランドを1つの法人の下に収めた。この再編の動きは本国のフォルクスワーゲン グループが世界各国で展開している戦略の一環となっており、各ブランドにはブランドディレクターが就任し、その指揮の下で活動を行なう。

 そのブランドディレクターについて、現在フォルクス ワーゲン グループ ジャパン代表取締役社長であるシェーパース氏は、フォルクス ワーゲン グループ ジャパン代表取締役社長を継続しながらアウディ ジャパンのブランド ディレクターとなる。また、ベントレー モーターズ ジャパンとランボルギーニ ジャパンは引き続きそれぞれのブランド責任者である牛尾裕幸氏とダビデ・スフレコラ氏が率いる。フォルクスワーゲン ジャパンのブランドディレクターについては、フォルクスワーゲン グループ イタリアでフォルクスワーゲン セールスディレクターを務めていたアンドレア・カルカーニ氏が1月1日付で就任している。

日本でのブランド再編について。この動きは世界各国で実施されており、日本では21番目に実施された

 シェーパース社長は2002年にフォルクスワーゲン グループ傘下のアウディ AGに入社。日本語とドイツ語を母国語とするシェーパース氏は、2003年から日本を含むアジアのアウディ ビジネスを中心に、アウディ本社日本地区担当マネジャー、アウディ ジャパン営業本部長兼ネットワーク開発部長、アウディ ジャパン販売 代表取締役社長などを歴任してきた人物。グループ再編の動きが活発化する中、年頭会見でシェーパース社長は2021年の販売実績や日本を含めたグローバルでの電動化戦略などについて語った。

新型BEV「ID.」を2022年に日本初導入

 シェーパース社長は現在自動車業界が大変革の中にあり、「eモビリティ」「新たなビジネスモデル」「デジタル化」「自動運転」が重要な項目になっていくとし、「eモビリティについてはフォルクス ワーゲン グループとして電気自動車に舵を切っており、ドイツではICE(内燃機関)のクルマ作りに職人がプライドを持っていますが、それを捨てるわけではないですが未来はないとして新たに電気自動車に舵を切ったのが数年前の話です。その結果が世界でジワジワと出てきている段階」と解説。

 ドイツのフォルクスワーゲン グループは2021年7月に2030年までのグループ戦略「NEW AUTO」を発表し、グループをソフトウェア主導のモビリティ企業に変革するとともに、BEVの世界的なマーケットリーダーになる目標を掲げた。2030年までにBEVのシェアは50%に増加すると予想し、2040年にはグループの各ブランドが主要市場で提供する新車のほぼ100%をゼロエミッションに、そしてフォルクスワーゲン グループとして遅くとも2050年までに完全にカーボンニュートラルな企業になることを目指している。

2030年までのグループ戦略「NEW AUTO」

 ここでシェーパース社長から語られたのは、フォルクスワーゲン グループとしてBEVを展開するにあたり、いかにシナジー効果を出していくかということ。そのシナジー効果を生み出すために「プラットフォーム」「ソフトウェア」「バッテリ&チャージング」の3項目が重要なるという。フォルクスワーゲン グループにはさまざまなブランドが属するが、この3項目を各ブランドで共通化しながら「ボリューム」「プレミアム」「スポーツ」というグループに分類。具体的には「ボリューム」ゾーンはフォルクスワーゲンを筆頭としたセアトやシュコダなどが、「プレミアム」ゾーンはアウディやランボルギーニ、ベントレー、「スポーツ」ゾーンはポルシェが属し、それぞれのゾーンに合った味付けを車両に行なっていく。

新しいグループ戦略

 ソフトウェア開発も今後重要になると語るシェーパース社長は、「今までドイツと日本が得意だった職人によるものづくり、エンジンのサウンドやクラッチを踏んだ時の“いいクルマに乗っている”感覚などは消費者から評価されなくなっている時代です。少し寂しくはあるのですが、今後はクルマに乗るソフトウェア、OSが評価されていきます。このソフトウェア、OSをいかに独自でコントロールできる、できないかで10年後の勝者が決まっていきます。フォルクスワーゲン グループでは全てのブランドのソフトウェアエンジニアを1つの会社にまとめ、各ブランドの特性をキープしながらソフトウェアのバックボーンを作っていきます」と語った。

 また、バッテリについてフォルクスワーゲン グループは2030年までにコストを最大50%削減しつつ、グループ内の搭載率最大80%が可能な統一規格のバッテリセル フォーマットを導入するとしており、2030年までにヨーロッパ内に総生産能力240GWhの6つのギガファクトリーを建設することで、バッテリの安定供給を目指すとした。

2030年までにヨーロッパ内に総生産能力240GWhの6つのギガファクトリーを建設

 こうしたフォルクスワーゲン グループとしての世界的な動きを紹介したシェーパース社長は「力強く、スピード感を持って未来に向かっていくために重要なことは、投資、並びにより効率的な組織構造である」とし、冒頭に紹介したブランドの再編について説明。

 また、日本市場における2021年を振り返り、同年は“製品攻勢の年”として第8世代の新型「ゴルフ」を導入してインポート・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことや、コンパクトSUV「T-Cross(ティークロス)」の登録台数が9159台となり、輸入車SUVカテゴリーにおいて2年連続で1位を獲得したことなどを報告。

 各ブランドの販売台数はフォルクスワーゲンが3万5213台(対前年比4%減)、アウディが2万2535台(同1%増)、ベントレーが601台(同30%増)、ランボルギーニが457台(同28%減)となり、ランボルギーニについては受注は過去最高だったものの半導体不足の影響で登録ができなかったため前年比28%減という結果となった。この半導体不足は現在も続いており、向こう半年は供給不足になるのではないかとシェーパース社長は語っている。

4ブランドの2021年のハイライト

 一方、フォルクスワーゲン グループとしては全世界での販売台数が約890万台(対前年比4.5%減)だったものの、BEVの販売台数は45万2900台(2020年は約23万2000台)と倍増。欧州でのBEVマーケットリーダーになったと報告するとともに、「2020年に世界で登録されたBEV(登録車)は5%という割合でしたが、2021年は約10%ということがほぼ確定しています。1年で倍増しており、業界のわれわれが思っている以上に速いスピードでBEVの転換が進んでいるのが現状です」と述べ、いかにそのスピードに対応できるかが勝負の分かれ目になると語った。

2021年はBEVの販売台数が前年から倍増する結果に

 なお、シェーパース社長は2022年の日本市場での動向についても触れ、フォルクスワーゲンとして新型BEV「ID.」モデルを日本初導入すること、アウディとして「e-tron」の第3弾モデルを発表することを予告(1月17日に599万円からのコンパクトSUV「Q4 e-tron」を発表)。

フォルクスワーゲンとして新型BEV「ID.」を日本初導入

 このニューモデル導入に伴って充電インフラを充実させていくとし、現状、アウディディーラーにおける急速充電器は50店舗(50kWが42店舗、90kWが8店舗)にとどまるが、2022年Q3以降は現状に加えて新たに52店舗に150kWの急速充電器を設置する。さらにフォルクスワーゲン グループ ジャパンの店舗を加え、約250店舗で急速充電器を展開することを予告した。

 なお、150kWの急速充電器を設置するにはロケーションによって若干異なるものの、2500万円前後が必要になるという。そのため、50kWの急速充電器とは別世界のスピードを体験できるメリットをパートナーであるディーラーにしっかりと説明していきたいとシェーパース社長は語っている。

急速充電インフラの普及も積極的に行なっていく