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アウディ、バッテリEVの本格普及を目指すコンパクトSUV「Q4 e-tron」発表会 2026年以降の新モデルはすべてバッテリEVに

2022年1月17日 発表

599万円~716万円

年頭記者会見「Audi New Year Press Conference 2022」に出席したアウディ ジャパンのブランドディレクター マティアス・シェーパース氏

 アウディ ジャパンは1月17日、東京 六本木の東京ミッドタウンで年頭記者会見「Audi New Year Press Conference 2022」を開催し、同日発表(発売は今秋以降)したBEV(バッテリ電気自動車)のプレミアムコンパクトSUV新型「Q4 e-tron」を公開。発表会ではアウディ ジャパンのブランドディレクター マティアス・シェーパース氏が登壇してアウディとしての今後の戦略を語るとともに、アウディ ジャパン マーケティング本部 プロダクト&リテールマーケティング部 部長の村田龍平氏が製品概要を紹介した。

 Q4 e-tronシリーズは大型SUVの「e-tron」および「e-tron Sportback」、4ドアグランツーリスモ「e-tron GT」に続くe-tronシリーズ第3弾モデル。Q4 e-tronではSUVとクーペSUV(スポーツバック)の2つのタイプを設定し、アウディがコンパクトSUVセグメントに導入する初のBEVとなる。グレードはQ4 e-tronが「Base」「advanced」「S line」、Q4 スポーツバック e-tronが「advanced」「S line」が用意され、価格は599万円~716万円。

e-tron GT
e-tron

 Q4 e-tronはフォルクスワーゲングループの電気自動車専用プラットフォーム「MEB」を採用しており、全長は4590mm、全幅は1870mm(いずれも欧州値)と「Q3」と「Q5」の間に位置するコンパクトなボディサイズながら、室内長はQ5を凌ぎ、室内空間、荷室は上位モデルに敵うスペースを実現。520L(スポーツバックは535L)の荷室容量に加え、インテリアにはカップホルダーやドリンクホルダーなど合計24.8Lもの収納スペースを確保したという。

 エクステリアでは短いフロントオーバーハング、筋肉質なフェンダー、美しいルーフライン、柔らかく流れるようなサイドライン、ワイドなプロポーションを強調する水平基調のリアエンド、最新のQファミリーに共通するオクタゴン(8角形)かつ開口部のないシングルフレームグリルなど、ひと目でアウディのBEVと分かる独自のデザイン言語を採用。

会場に展示されたのはSUVタイプのQ4 e-tron
電動開閉式の冷却エアインレットやフロントスポイラーに対し垂直に配置されたディフレクター、立体的なホイールディフレクター、空力性能を最適化したデザインのエクステリアミラーハウジングなどによってCd値は0.28(Q4 スポーツバック e-tronは0.26)を実現
ボンネットフード下のレイアウト
一充電走行距離は516km(欧州値)とし、急速充電はCHAdeMO規格の125kWに対応。200Vの普通充電は標準は3kWで、オプションとして最大8kWまで対応する

 インテリアでは特徴的なセンターコンソールと専用デザインのシフターを装備し、メーターには10.25インチのアウディバーチャルコックピットを、センターには11.6インチのMMIタッチディスプレイを配置することによって、フルデジタルのコクピットを形成。アウディ初となる上下ともにフラットな形状の新世代のステアリングホイールは、物理ボタンのないシームレスなタッチ式を採用した。また、フロントスクリーンには上下2つに分けて情報を表示するARヘッドアップディスプレイをコンパクトセグメントとして日本初導入。上部にはナビゲーションや車線逸脱警告などを、フロントガラス越しの視界に映像を重ねて約10m前方に表示し、下部には速度などの主要な情報を約3m前方に表示する。

インテリアではセンタークラスターがドライバーに向けられたドライバーオリエンテッドなデザインを採用し、特徴的なセンターコンソールと専用デザインのシフターなどを装備する
ラゲッジスペースの容量は520L(スポーツバックは535L)

 パワートレーンは、システム電圧400Vのテクノロジーを使用した総容量82kWh(実容量77kWh)の駆動用バッテリを前後アクスル間の床下に搭載。リアアクスルに1基の電気モーターを搭載し、後輪を駆動する。駆動用電気モーターは最高出力150kW、最大トルク310Nmを発生し、0-100km/h加速は8.5秒。一充電走行距離は516km(欧州値)とした。また、200Vの普通充電は、標準は3kWで、オプションとして最大8kWまで対応。急速充電はCHAdeMO規格の125kWに対応しており、一例として125kWで5%から80%までが38分で充電可能(理論値)とアナウンスされている。

 なお、アウディでは1月17日より先着50台限定の特別モデル「Q4 スポーツバック e-tron 1st edition」の予約受付を、オンライン限定で開始。

 同モデルではグリルやバンパーなどをブラックで引き締めるブラックスタイリングパッケージに加え、エクステリアミラーやフォーリングスまでブラックで統一。足下には躍動感のある10スポークスター エアロスタイルの20インチアルミホイールを採用し、インテリアではSを刻印したファインナッパレザーS lineシートなどが採用される。価格は773万円。

先着50台限定の特別モデル「Q4 スポーツバック e-tron 1st edition」

目指すのはNo.1プレミアムBEVブランド

アウディ ジャパンのブランドディレクター マティアス・シェーパース氏

 発表会の冒頭に登壇したシェーパース社長は2021年のトピックについて振り返り、下半期は半導体不足の影響が出たものの、上半期は対前年比38%増となる1万2854台の登録台数となり、全体として2万2535台で対前年比1%増という結果となったことを報告。2021年に導入したRS 3を筆頭とするRSモデルの販売台数は1323台(前年比250%)と過去最高だったこと、e-tron GTの販売も好調で2022年分が完売したことなどがアナウンスされた。

 また、アウディの2030年に向けたロードマップについても触れ、「消費者のクルマへの価値観が変わってきており、カッコよくて速いクルマを作るだけでなく、SDGsのことを考慮して未来に何かしらの形で貢献できる、だけどデザイン、パフォーマンスも妥協したくない。そういう価値観がどんどん伸びていきます。アウディは昔から固定概念にはまらずチャレンジして新しいものを提案するブランドです。例えば昔、4WD技術は遅くてカーブで曲がれないという話がある中、1980年代にクワトロ技術をレーシングに導入し、全てのレースで勝ちました。またディーゼルエンジンはスポーツタイプには通用しないと言われましたが何回もル・マン24時間レースで優勝しています。今後のBEVへの転換も同じ気持ちでやっていき、2050年には二酸化炭素排出量ゼロを目指します」とコメント。

 加えて2025年に内燃エンジンを搭載した最後の新型車の生産を行ない、2026年以降はアウディブランドが新たに発表するモデルが全てBEVになること、中国をのぞいて2033年に内燃エンジンの生産を終了することをアナウンスした。

2021年のトピック
2026年以降はアウディブランドが新たに発表するモデルが全てBEVに

 一方、日本におけるBEVへの転換はディーラーと一緒に手掛けていきたいとし、「日本はとくにお客さまにとってディーラーは重要な存在で、お客さまとわれわれの間のインターフェイスです。アフターセールスのみならずお客さまのさまざまなライフスタイルをサポートしていく存在。彼らを通してBEVへの転換をやっていきたいと思います」と述べるとともに、そのBEV普及に欠かせない急速充電器の設置拡大についても言及。現状、アウディディーラーにおける急速充電器は50店舗(50kWが42店舗、90kWが8店舗)にとどまるが、2022年Q3以降は現状に加えて新たに52店舗に150kWの急速充電器を設置する。さらにフォルクスワーゲン グループ ジャパンの店舗を加え、250店舗以上で急速充電器を展開することを予告した。

急速充電器の設置拡大について

 シェーパース社長は最後に、「Q4 e-tronは今後のe-tron戦略で中心的な存在になっていきます。目指すのはNo.1プレミアムBEVブランド。日本でそれをチャレンジしていきたいと思っています。2024年までにBEV15モデル以上を導入し、2025年には販売におけるBEV比率を35%以上にしたいと考えています。われわれは電気自動車はカーボンニュートラルに向けてマストというスタンスをとって電気自動車に積極的に取り組んでいきます。35%というのはものすごく大きな目標ですが、ディーラーと一緒にNo.1プレミアムBEVブランドを確立するチャンスだと思っています」とBEV普及に向けた意欲を見せてプレゼンテーションを締めくくった。

発表会の後半にはシェーパース社長と株式会社伊藤忠総研 上席主任研究員の深尾三四郎氏によるトークショーも展開された