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アウディ、新型EV「Q4 e-tron」「Q4 Sportback e-tron」をワールドプレミア 第3弾EVはコンパクトSUV

2021年4月14日(現地時間) 発表

Q4 Sportback e-tron

 アウディAGは4月14日(現地時間)にオンライン記者会見を行ない、新型EV(電気自動車)「Q4 e-tron」「Q4 Sportback e-tron」のワールドプレミアを行なった。アウディによれば、Q4 e-tronおよびQ4 Sportback e-tronは、同社のコンパクトSUVとしては初めてのEVで、フロアの下にバッテリーを格納するコンセプトを採用することで、ラゲッジルームを含めた広い室内スペースを実現していることが特徴になっている。

 モーターは前後両方についているquattroモデルとリアだけのモデルが用意されており、バッテリーでの航続距離はQ4 40 e-tronという中間モデルで520kmとなっている。

Q4 e-tron(右)、Q4 Sportback e-tron(左)

バッテリーをフロアに置くデザインを採用することで広い室内スペースを実現したQ4 e-tron

アウディ CEO マルクス・ドゥスマン氏

 今回アウディが発表したQ4 e-tronおよびQ4 Sportback e-tronは、2019年のジュネーブショーで発表された「Q4 e-tron concept」がベースになっており、その市販バージョンとなる。

【ジュネーブショー 2019】電動化を進めるアウディは「Q4 e-tron concept」など2020年までに市販化予定のEVを公開

https://car.watch.impress.co.jp/docs/event_repo/geneva2019/1173077.html

 日本時間の深夜2時に行なわれたオンライン記者会見に登壇したアウディ CEO マルクス・ドゥスマン氏は「アウディはカーボンニュートラルの実現に力を入れており、2025年までに20モデルのフルEVを投入する計画だ。Q4 e-tronはその1つでとても論理的な進化をしており、ラゲッジルームを含めた十分な室内スペースや航続距離を確保し、モデルによるがWLTPで520kmの航続距離を実現している。また、デジタル機能も充実させており、プレミアムコンパクトセグメントの顧客が必要とするモノがすべてそろっている」と述べ、新しいQ4 e-tronおよびQ4 Sportback e-tronの特徴を説明した。

Q4 e-tron
Q4 Sportback e-tron

 今回アウディは記者会見の中でデザイン、室内スペース、デジタル機能、そしてライトのデザインなどに関して説明を行なった。デザインに関しては、アウディAG デザイン責任者 マルク・リヒテ氏が説明した。リヒテ氏は「Q4 e-tronはSUVの形状をしているが、バッテリーはフロアに置かれており、それによりより広いスペースを室内に作りだしている」と述べ、バッテリーをフロアに置くというデザインを採用することで、室内を広く取ることができていると説明した。

アウディAG デザイン責任者 マルク・リヒテ氏
バッテリーはフロアの下に置かれている
Q4 e-tronのフロント
Q4 e-tronのリア

 全長4.59mの車体のサイズにおいて、ラゲッジスペースは520Lで、後席を倒すことで最大1490Lに拡張することができる。今回の発表会にはオーストリアの平昌オリンピックの金メダリストであるアンナ・ガッサー氏がゲストとして呼ばれており、動画の中ではガッサー氏のスノーボード用具を沢山いれても大丈夫という様子が示されていた。また、後席のレッグスペースも広く取れるということもアピールされており、長身のリヒテ氏が座ってもまだ前席との間にスペースがあるということが強調された。

オーストリアの平昌オリンピック/ゴールドメダリスト アンナ・ガッサー氏
ガッサー氏の荷物を入れても余裕
1490L
520L
後席にも余裕が

 また、近年アウディが大きなこだわりを見せているLEDライトやテールランプもデザイン上の大きな特徴になっており、どのLEDを点灯させるかを、センターコンソールに用意されているMMI(センターコンソールのディスプレイのこと)から操作できる様子などがデモされた。

LEDライトの光り方をパーソナライズ可能
MMIでLEDライトの光るモジュールを選択できる

Q4 40 e-tronモデルでは1回の充電で520kmの航続距離を実現、最新のMMIも搭載される

走り幅跳びの世界王者マライカ・ミハンボ氏の記録が話題に

 ドイツの走り幅跳びのアスリートであるマライカ・ミハンボ氏が登場したパートでは、ミハンボ氏が2019年の世界大会で出した7.30mという記録が話題になり、その記録にかけてQ4 e-tronの航続距離が520kmと長いことがアピールされた。ミハンボ氏が大会で遠征するときに、1000km先のポーランドまでクルマで移動するとしても、一度どこかで充電すれば十分行くことができるとアウディは説明した。なお、すでにアウディは欧州内に21万か所の充電ステーションを用意しており、それらを利用して充電が可能だとアピールされた。

Q4 50 e-tron quattroは前後モーターと77kWhのバッテリー
Q4 40 e-tronはリアにモーターで77kWh
Q4 30 e-tronはリアにモーターで52kWh

 バッテリーの容量とモーターの搭載方法(リアのみ、フロントとリアの両方)の違いでいくつかのモデルが用意されており、トップモデルのQ4 50 e-tron quattro は前後にモーターを搭載し、最大出力は220kW(229PS)で、バッテリー容量は77kWh、航続距離は488km(Sportbackは497km)。Q4 40 e-tronはリアにモーターを搭載し、最大出力は150kW(204PS)、バッテリー容量は77kWhで航続距離は520km。Q3 30 e-tronはリアにモーターを搭載し、最大出力は125kW(170PS)、バッテリー容量は52kWh、航続距離は341km(Sportbackは329km)となっている。

コクピット
ハンドルにはタッチコントローラが用意されておりスワイプジェスチャーで操作可能
MMIはオプションで11.6型が用意される

 また、デジタル化という観点では、MMI、さらにはタッチ機能を活用したハンドルの操作系、また、ARの機能を利用したHUDなどが紹介された。MMIは10.1型および11.6型(年末までに投入予定)のディスプレイが用意されており、標準ではApple CarPlayないしはAndroid Autoがサポートされる。それに加えてナビゲーション機能やインターネット接続機能付きのMMI Plus、MMI Proがオプションとして用意される。ハンドルにはタッチコントローラが用意されており、ボリューム操作などをスワイプジェスチャーで操作できるようになっている。また、「Hey Audi」と呼びかけることで音声検索が可能になるボイスコントロール機能も搭載されている。

AR HUD
10m先にメーターがあるイメージに

 メーターは「Audi Virtual Cockpit」というデジタルメーターが採用されているが、オプションでAR HUD(Augmented Reality Head-Up Display)が用意されている。AR HUDでは10m先にメーターがあるように見えるHUDで、車両が向かう方向や制限速度などの情報がドライバーがメーターに視線を移さなくても確認できるようになっている。

 アウディによれば、両製品ともに2021年の6月から欧州で販売開始される予定でQ4 e-tronは4万1900ユーロ(Q4 30 e-tron)から、Q4 Sportback e-tronは4万3900ユーロからという価格設定になっている。日本など欧州以外の地域の展開に関しては今回の会見やリリースなどでは何も触れられていない。