イベントレポート

【ジュネーブショー 2019】アウディのチーフデザイナー、マーク・リヒテ氏に聞く

「Q4 e-tron concept」「e-tron GT concept」で目指したのは「ソフトでセクシーなサーフェスを持つデザイン」

2019年3月5日~17日(現地時間)開催

Palexpo

Q4 e-tron conceptとアウディのチーフデザイナー、マーク・リヒテ氏

 独アウディ AGは、EV(電気自動車)のコンセプトモデル「Q4 e-tron concept」「e-tron GT concept」を「ジュネーブモーターショー 2019」で公開した。会場ではアウディのチーフデザイナー、マーク・リヒテ氏が日本の報道陣が集まるインタビューで、会場で公開したモデルのデザインについて、その狙いなどを話した。

 リヒテ氏は2014年2月1日よりAudi Designの統括責任者に就任。エクステリアやインテリアのデザイン、カラー&トリム、さらにレーシングカーのデザインまでを担当。これまでに「Audi prologue コンセプト」(2014年11月)や「Q8 concept」(2017年1月)をはじめ次世代のラグジュアリーモデルを発表している。

「Q4 e-tron concept」
Q4 e-tron concept

 今回のジュネーブショーにおけるアウディブースは「the change next」をテーマにしており、展示車両はEVやプラグインハイブリッドとなった。会場で初公開されたQ4 e-tron conceptは、将来的にフォルクスワーゲン グループのEVに採用が予定されているMEB(モジュラーエレクトリフィケーションプラットフォーム)をベースにしたEV。車両前後に2基の電気モーターを搭載する4WD“quattro”システムを採用している。

e-tron GT concept

 また、同じくEVのコンセプトモデルであるe-tron GT conceptも展示されており、こちらはAudi Sport GmbHが開発中の4ドア ハイパフォーマンスクーペとの位置付けで、2020年下半期に市販モデルの発表を予定している。

 Q4 e-tron concept、e-tron GT conceptのデザインについて、リヒテ氏は「私がアウディに来て最初にやったのは、quattroを視覚化した精緻なデザイン。その次の段階が、今回のe-tron GT conceptやQ4 e-tron conceptに見られる、よりソフトでセクシーなサーフェスを持つデザインとなります。ここでは、これまでの精緻さやシャープさは少し弱められています」と説明した。

 加えてリヒテ氏は「アウディの1970~1980年代のデザインは角張った(edgy)ものでした。1990年代にはそれがソフトでクールなデザインになり、2000年ごろまで成功をもたらしました。しかし、その後10年ぐらい新しいデザイン言語の開発が行なわれなかった。私は、アウディに来て最初にモダンで精緻なデザインをやりましたが、次の段階としてそれらと丸いサーフェスと合体させました。e-tron GTはダイナミックなスポーツカーであり、Q4 e-tronはSUVで、それぞれ独自の個性を持ちますが、そのデザインがソフトさを持つ点では一緒」と解説した。

 e-tron GT conceptやQ4 e-tron conceptで目指したソフトでセクシーなサーフェスを持つデザインはアウディにおいて新たなデザインの流れになるが、リヒテ氏は「アウディとして基本のデザイン言語は共通だ」と強調した。

 その共通となる部分について、リヒテ氏は「それはquattroであり、4つのホイールを強調するデザインにあります。これはアウディの遺伝子でありDNAとなります。デザイナーは、常に未来に向けて変革していく勇気を持たなければならない。3~4年ごとに次のステップに入っていくことを私は考えています」と話した。

 同会場で初公開されたQ4 e-tron conceptのインテリアでは、AR(拡張現実)機能を備えた大型ヘッドアップディスプレイが新採用され、ターンインジケーターなどのグラフィック情報が車両前方の道路上に浮かんでいるように投影される。一方で、車両の機能を表示・操作するためのインフォテインメントシステムなどは、これまでのクルマの文法に従ったレイアウトがされている。

 EVメーカーとして存在感を示すテスラは、大型のタッチディスプレイをインテリアに持ち込み新しいユーザーエクスペリエンスを提供しているが、こういったユーザーインタフェース領域におけるデザインの考えについて、リヒテ氏に聞いた。

Q4 e-tron conceptのインテリア

 リヒテ氏は「アウディではそれら(ディスプレイ)をクルマのアーキテクチャにより一体化し、見栄えもよくしていく。Q4 e-tronでは、従来の3倍近い面積を持つ AR HUD(拡張現実ヘッドアップディスプレイ)を導入しており、道路のレーンなども表示できます。これはまだ過渡的段階で、いずれディスプレイはなくなり、音声操作にとって代わられるでしょう」との方向性を語った。

操作系など従来からあるクルマとしての文法を守りつつ、素材感などでインテリアデザインの新しい方向性を示した

 見栄えを大切にするというリヒテ氏の表現は、エッジのないフラッシュサーフェスのインテリアといった方向性を示すもので、リヒテ氏は「すでにA8、A7などの精緻に一体化したディスプレイは、ソフトで自然で人間的です。将来的には再生ファブリックなども採用していき、それらはすでにQ4 e-tron conceptに部分的に見られますが、さらに加速することになるでしょう」との考えを述べた。

編集部:椿山和雄