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独アウディ、SUVクーペスタイルの新型EV「e-tron Sportback」公開
ヘッドライトの光で路面などに文字を表示する新機能を量産車で世界初採用
2019年11月21日 08:00
- 2019年11月20日(現地時間) 発表
独アウディAGは11月20日(現地時間)、SUVクーペの新型EV(電気自動車)「e-tron Sportback」を公開した。エンジンを備えない“バッテリーEV”としてのe-tronで2番目のモデルとなるe-tron Sportbackは、欧州市場で11月末から受注を開始。2020年春からの市場投入を予定している。
e-tron Sportbackでは4901×1935×1616mm(全長×全幅×全高)というボディサイズを持ち、アウディのSUVファミリーで共通する八角形デザインのシングルフレームグリルを採用する一方、リアハッチを強く傾斜させたクーペライクのシルエットによってエレガントさを手に入れたモデルとなっている。
71kWhのバッテリー容量と最高出力230kW、最大トルク540Nmを発生するモーターを搭載するe-tron Sportback 50 quattro、95kWhのバッテリー容量と最高出力265kW、最大トルク561Nmを発生するモーターを搭載するe-tron Sportback 55 quattroをラインアップ。WLTPサイクルで、50 quattroは最大347km、55 quattroは最大446kmの航続可能距離を実現し、0-100km/h加速は50 quattroが6.8秒、55 quattroが6.6秒となる。
また、55 quattroではシフトセレクターをDレンジからSレンジに動かし、アクセルペダルを踏み込んで全開にすると「ブーストモード」が有効化。8秒間まで最高出力300kW、最大トルク664Nmにモーターパワーが高まり、0-100km/h加速も5.7秒にタイムが短縮される。
直流タイプの急速充電では、50 quattroが最大120kW、55 quattroが最大150kWに対応。それぞれ30分弱でバッテリー容量の80%まで充電できる。
駆動方式は車両の前後にモーターを備える電動4WDで、通常時はリアモーターだけを使って効率的に走行。後輪の許容量を超えるアクセル操作が行なわれた場合にはフロントモーターが即座に作動を開始する。また、フロントモーターの作動は、氷上のような路面の抵抗が低い状況や、高速でコーナーリングするといったシーンでは予測的に作動するケースもあるという。
足まわりにはアダプティブエアサスペンションを採用。状況に応じて最大76mmまで車高を変更可能となっており、車速が高まると自動的に車高を低下させ、空力性能を改善して航続可能距離を拡大する。また、複数のドライブコンポーネントを7種類のプロファイルでドライバーが切り替え可能な「アウディ ドライブセレクト」を標準装備。ドライバーの気分や走行状況に応じたセッティングが選べるようになっている。
文字や図形を表示できる「デジタルマトリクスLEDヘッドライト」
e-tron Sportbackに新採用された「デジタルマトリクスLEDヘッドライト」では、ビデオプロジェクターなどにも使用される「DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)」の技術を搭載。100万個のマイクロミラーを備えた小さなチップを中核としており、静電界を利用してエッジ長がわずか数百分の1mmというマイクロミラーの角度を最大5000回/秒調節。これにより、路面や壁などにヘッドライトの光で文字や図形を表示できる。アウディではこの技術について「量産車で初めて利用できる新しい機能」としている。
光の強弱や照射位置を正確にコントロールできるようにしたことで、高速道路などでは自車が進んでいくレーンを周囲に知らせたり、ウインカーが作動すると隣接する車線も現状の走行レーン同様に照らし、車線変更の意思をアピール。また、オプション設定する「ナイトビジョンアシスト」と連動させれば、道路脇の暗い場所にいる歩行者などをライトで示し、歩行者を見落とす危険性を軽減するという。
インテリアではインパネとドアトリムをシームレスに見せるデザインを採用し、メーターパネルにはフルデジタルタイプの「12.3インチ アウディ バーチャルコックピット」を標準装備。センターコンソールには、上部に12.1インチ、下部に8.6インチのタッチパネルディスプレイをドライバー側に傾斜させて設置している。2つの画面を使い分けるMMI オペレーティングシステムでは、Amazonによるクラウドベースの音声サービス「Alexa」を統合。音声入力によって走行中でも8万以上におよぶAlexaスキルにアクセスできる。
車内スペースは電動化によって最大化された2928mmのホイールベースを活用し、5人の乗員と手荷物などを十分にくつろげる広さを確保。ラゲッジスペースは定員乗車時で615L後席のシートバックを前方に倒すと最大1655Lまで拡大できる。