東京モーターショー2017
【東京モーターショー2017】自動運転技術が生み出す“25時間目”。アウディのレベル4自動運転コンセプトカー「Elaine concept」など日本初公開
ブースコンセプトは自動運転が作る未来「アウディ・AI・エクスペリエンス」
2017年10月25日 18:23
- 2017年10月25日 開幕
- 2017年10月27日 プレビューデー
- 2017年10月28日~11月5日 一般公開日
10月25日、東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で「第45回東京モーターショー2017」が開幕。27日まではプレビューデー、10月28日~11月5日が一般公開日となる。
東5ホールにあるアウディのブースでは「アウディ・AI・エクスペリエンス」コンセプトを掲げ、フランクフルトモーターショーで発表したレベル4自動運転のコンセプトカー「Elaine concept」や新型「A8」など日本初出品5台を含む9台を展示している。展示車両は以下のとおり。
「Audi Elaine concept」(日本初出品)
「New Audi A8」(日本初出品)
「New Audi A8 L」(日本初出品)
「Audi Q8 sport concept」(日本初出品)
「Audi RS 4 Avant」(日本初出品)
「Audi RS 5 Coupé」
「Audi R8 Spyder V10」
「Audi SQ5」
「Audi Q7 e-tron quattro」
10月25日のプレスカンファレンスでは、アウディ ジャパン 代表取締役社長 斎藤徹氏が次のようにスピーチを行なった。
「まさに前回のモーターショーから僅か2年で1世紀以上にわたる自動車の概念を大きく変える変化が起こっていると感じます。エンジンからモーターへパワートレーンの電動化はもちろんのこと、最近のコネクティビティや自動運転のめざましい進化は自動車に根本的な変化をもたらします」。
「自動運転は自動車の意味そのものを変えてしまうような変革です。人間の代わりにシステムがクラウドと通信しながら事故を起こすことなく、効率のよいルートで運転を行ないます。かつてはサイエンスフィクションの世界と思われていた自動運転が2020年代にも実現します。アウディは完全自動運転の時代になっても運転する楽しさのあるスポーティなクルマを作り続けるつもりです」。
「今回出品している新型A8は世界初のレベル3の自動運転を可能にしたクルマです。レベル3やレベル4というのはあくまで技術的なカテゴリーというだけです。重要なのは、ユーザーにどういったメリットがあるのかという利用形態です。全世界で12億台以上のクルマが走る現代社会では、過密化する渋滞やそれに伴う経済損失、事故などがますます増大しています。現代人にとって、通勤や都市間の運転は退屈で無駄な時間と感じる人もいます。そうした状況で自動運転システムが運転を代行することで、そこで生まれた時間を仕事や同乗者との会話、リラックスすることなど有意義な活動に使えます」。
「新型A8」で搭載した、高速道路における渋滞時に同一車線内での自動運転を行なう『AI トラフィックジャムパイロット』を開発したのは渋滞中に費やす時間をユーザーに有効に使っていただけると考えたからです。アウディではこうして生まれる時間を『25時間目』と呼んでどのような過ごし方が可能で有意義かを研究を重ねてきました」。
「自動運転技術は一挙に飛躍的に進化するものではなく、段階的に進むものだと考えています。フランクフルトモーターショーではレベル5の完全自動運転リムジンカー『Aicon』とレベル4の高度な自動運転を搭載した『Elaine concept』を同時にお披露目しました。『Aicon』はアクセルもブレーキもハンドルもない完全自動運転のクルマです。例えば毎日の通勤や都市間の移動で使用するパーソナルリムジン、個人から数人のファーストクラスの空間を提供するクルマです」。
「しかし、航続距離800kmの『Aicon』が実用化されるには10年以上かかるでしょう。『Elaine concept』は2019年に生産を開始する2番目のEV(電気自動車)『e-tron スポーツバック』のプロトタイプと言ってもいいクルマです。『Elaine concept』は航続距離500km、高速道路を130km/hまで自立走行ができ、またバレーパーキングにおいて自動運転で自ら駐車スペースを見つけて駐車することができます。このように一定のエリア内や環境下では、ユーザーの関与がまったく必要ないレベル4の高度な自動運転機能を搭載しています。日本には2020年までに導入する予定です」。
「そして2018年に日本で発売する新型『A8』は、パークパイロットやガレージパイロットといった自動運転機能を含め40種類ものドライバーアシスタントシステムを搭載しています。レベル3の『トラフィックジャムパイロット』の導入には、日本を含むほとんどの国でシステムが人間に代わって運転するための法的な整備が必要です」。
「アウディはそれに向けて積極的な働きかけを行なっています。こうした自動運転技術が事故を減らしてクルマの安全性を高めることはもちろん、人間を単調で生産性の低い作業から解放し、より自由な時間を生み出していくという、自動車のモビリティの新しい可能性を信じています。近未来のクルマにはドライバーのパーソナルアシスタントとしてAIが常駐し、クラウドと常時通信しながら安全で快適にクルマを運行するだけではなくドライバーの気分や体調に応じて音楽や空調を調整するなど、ドライバーをあらゆる面でサポートしていきます」。
「今回のアウディ・ブースのコンセプトは『アウディ・AI・エクスペリエンス』です。展示している新型『A8』のシートに座ると、新しいタッチパネルの操作系とアウディのAIがイメージする、新しいクルマを映像や光のアートで体験することができます。また新型『A8』のもう1つのイノベーションは、量産モデルとしては初めて48V電源をメインシステムとして標準搭載していることです。12kWの強力な回生エネルギーを生じるスターターオルタネーターを装備した『マイルドハイブリッドシステム』により、55~160km/hのコースティングや25km/h以下のアイドリング走行が可能となります」。
「燃費は100kmあたり0.7Lも削減しています。48V電源の採用により、4つのモーターを駆動して4つのホイールを個別に制御する『AI アクティブサスペンション機能」を世界で初めて搭載しました。例えば、側面からの衝突が不可避になった場合に、衝突する側の車体を瞬時に8cm持ち上げることにより、衝撃を大幅に低減する機能を搭載しています。48V電源と『マイルドハイブリッドシステム』は『Q8 sport concept』により強力な形で搭載されており、このモデルも2年以内に日本で投入する予定です」。
「このように『Elaine concept』と新型『A8』、『Q8 sport concept』は、もう目の前にある未来を体現しているモデルといえるでしょう。とはいえアウディは、完全自動運転の時代が到来しても人がクルマを運転する楽しみを持ったスポーツカーは決してなくならないと考えています。EVになっても私たちの五感を刺激する『R8』のようなクルマは存在し続けるでしょう」。
「今期からドイツメーカーとしては初めて『フォーミュラE』にファクトリーチームとして参戦します。また『R8』や『RS 3 Sedan』に続くカスタマーレーシングは世界中で人気が高まっており、日本でもSUPER GTやスーパー耐久に参戦する機会を提供しております。2016年から本格的に展開しているアウディ・スポーツのモデルとして『RS 3 Sedan』や『RS 3 Sportback』、あるいは『RS 5 Coupé』を発表しています」。
「2018年は『RS 4 Avant』を発売します。新開発した450馬力のV6 2.9リッターエンジンを搭載し、スーパースポーツ並みの性能を持っています。これはまさに『羊の皮を被った狼』と言えるでしょう。AIによる高度な運転からサーキットでのスポーツまで、クルマはこれまでにないほど多様な広がりを私たちに提供しています。アウディはこれからも先駆けて跳躍することを続けていきたいと思います」と締めくくった。
「Q7 e-tron quattro」は、内部構造のカットモデルをメインに展示。モーターやパワートレーンの一部、バッテリー内部などを博物館のような駆動している状態で見ることができた。