ニュース
フィアット、初EV「500e」発表会 96%が新設計の500eは「電動の500ではなく新型500」とヘグストロム社長
2022年4月6日 06:08
- 2022年4月5日 実施
フィアット(Stellantisジャパン)は4月5日、フィアット初のEV(電気自動車)となる「500e(チンクエチェント・イー)」を発表。同日に発表会を開催した。
500eは42kWhのリチウムイオン・バッテリパックを床下に配置し、最大335kmの航続可能距離(WLTC)を達成。充電は単相交流200V用の普通充電と、付属のCHAdeMOアダプターを介した急速充電に対応している。電気モーターは最高出力87kW(118PS)、最大トルク220Nmを発生する。
グレード展開はハッチバックタイプの「500e Pop」「500e Icon」に加え、EVとして初めてとなるカブリオレタイプの「500e Open」の3種類。価格はPopが450万円、Iconが485万円、Openが495万円で、全車CEV補助金(クリーンエネルギー自動車等導入送信対策費補助金)の65万円が対象となる。
ドイツでも最も売れている電動車となる500e
発表会では、Stellantisジャパン 代表取締役社長 兼 CEOのポンタス・ヘグストロム氏が登壇し、500eと500eCは5番目と6番目の電気自動車で、最初にインド・アジアパシフィック地域で500eを発表する国が日本であると説明。欧州では2020年の秋にローンチされ、日本は欧州以外で500eを発表した3番目の市場になるとした。加えて、フィアットは2022年が日本正規導入25周年にあたるとして、「500eはこれ以上にない誕生日プレゼントです」とヘグストロム氏は喜びを語った。
ヘグストロム氏は続けて、500eは96%が新設計であると述べると同時に、500eについて「歴代500の魅力がすべて受け継がれています。500eは過去の系譜の上にあります」と紹介。「500eは『電動の500』ではなくまさに『新型500』です。そのミッションは、1957年登場の500、2007年登場の500とも何ら変わりありません。“手の届く価格で、魅力にあふれたコンパクトなモータリングを、より多くの方へ”。それが、今は電気というだけです。2007年に500が唯一無二であったのと同様に、500eは唯一無二だと申し上げたい」と、500eは新型500と言えると明かした。
また、フィアット CEO 兼 Stellantis CMOのオリヴィエ・フランソワ氏からのビデオメッセージが届けられ、「単に電動化するのではなく、ICEには2度と戻りたくないと思えるクルマ、そういうクルマを500eで目指しました。新設計の部品は全体の96%にすぎないですが、このクルマはわれわれのサステナビリティに対する決意の表れです。500eはすでにヨーロッパの12か国で最も売れている都市型BEVです。世界的な自動車メーカーがひしめくドイツでも、500eは最も売れている電動車です。日本も同様に世界的な自動車メーカーがひしめき、さらに、ハイブリッド大国となります。でも、私たちには500という日本での成功体験があります。小さくて、かわいい、シティカー。電動化されたことがうれしさに変わるような、こだわりとテクノロジーにあふれるクルマ。皆さんの期待に応えるクルマであります」と日本に対しての思いが語られた。
販売はカーリースのみ。サブスク型の導入によりブランドの年齢層若返りを図る
販売施策については、Stellantisジャパン 営業本部長の牛久保均氏が解説。今回、500eは「ただ単に売るのではなく、いかにサステナブルに販売するか」に取り組んだとして、通常型の個人リースである「パケットFIAT」と、サブスク型の「FIAT ECO PLAN」ともに5年リースでの販売のみになると紹介した。
この“5年”という期間は、4年以上車両を保有しないと補助金を返却しなければならないという政府の方針があり、それに対応すべくまずは5年リースで開始して、今後政府の補助金体制が変わるようなことがあれば、3年リースも検討しているとした。
また、リースのみの販売となることについては、EVの残価が厳しい状況があり、100%販売店に戻ってくるというリースでの販売にすることでクルマの価値を守ろうという考えであると説明。残価については、5年で30%を目指したいとした。
加えて、リース販売にすることでオンライン上で契約の手前まで手続きを進めることができ、販売店へ足を運ぶ回数を少なくできるというメリットがあるということや、カーシェア事業を行なうAnycaとのコラボレーションにより、販売店以外での試乗を可能にしたことを紹介。これらの施策により、20代~30代の年齢層へのアプローチを行なっていきたいと戦略を語った。
充電設備に関しては今後、フィアットの販売店73拠点に急速充電器を配置。さらにステランティスやフィアットを含めた340拠点にも急速充電器を配置し、大手エネルギーメーカーがこれから展開していく1000拠点の急速充電器を使用できる充電ネットワークを構成する予定であるとした。
500eは進化を遂げて生まれ変わったこれからを担うモデル
Stellantisジャパン マーケティングダイレクターのトマ・ビルコ氏は、「500eはただのもう1つの500のバージョンではなく、進化を遂げて生まれ変わったこれからを担うモデルで、まったく新しい、パーフェクトなコンパクト移動用シティカーです。スタイリッシュで使いやすく、乗り心地もよく、安全性もマーケットでベストのADASに更新されています。電気テクノロジーのおかげで環境に優しく、排出ガスもゼロ。さらに静かでスムーズになりました。ガソリンのにおい、エンジンのノイズ、今までのクルマのネガティブポイントを忘れてください」とあいさつをした。
続けて登壇したStellantisジャパン プロダクトマネージャーの生野逸臣氏は、500eの詳細について紹介。ボディサイズは500から前後で約6cm、幅で約3cm、高さで約1.5cmそれぞれ拡大しているものの、全長3.6m、全幅1.7mという軽自動車並みのサイズにおさえられており、日本の市場にマッチしたサイズとなっていると紹介。
電気モーターの出力は118PSと「他のEVと比べると少し控えめ」な数値になっている点について、「EVは加速がいいからといってフル加速させるようなことはなく、あくまでも気持ちよく乗ってもらうことを考えた数値になっている」とした。