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フェラーリ、オープントップの新型PHEV「296 GTS」 スパイダー初のV6エンジン
2022年4月20日 10:42
- 2022年4月19日(現地時間) 発表
PHEVシステムトータルで、最高出力830CV、最大トルク740Nmを発生
フェラーリS.p.Aは4月19日(現地時間)、ミッド・リアエンジンの2シーター・ベルリネッタ「296 GTB」のオープントップモデルとなる新型「296 GTS」を発表した。
モデル名称は総排気量2992ccの「29」と気筒数の「6」に、グラン・ツーリスモ・スパイダーの頭文字である「GTS」を組み合わせたもの。パワートレーンは、296 GTBと同じ最高出力663CV、バンク角120°のV型6気筒ターボエンジンに、122kW(167CV)の電気モーターが組み合わせられる。PHEVシステムトータルで最高出力610kW(830CV)/8000rpm、最大トルク740Nm/6250rpmを発生。トランスミッションは8速DCTを採用し、プラグインハイブリッド(PHEV)システムは電力のみを使う「eDriveモード」で25kmの航続距離を実現。
フェラーリでは、スパイダーモデルに6気筒エンジンを搭載するのは初めてのことで、「革新的かつ刺激的でユニークなサウンドをルーフを開けながら満喫できる特別な1台」としている。
また、車両のパフォーマンスをサーキットで最大限に活用したいというユーザーのために、軽量パーツや空力モディファイが施された「アセット フィオラノ(Assetto Fiorano)」も設定されている。
296 GTSのエンジンベイ(ルーム)は、リトラクタブル・ハード・トップ(RHT)をシームレスに格納させるために再設計され、ルーフを閉じていても296 GTBと同じように強烈で豊かなエンジンサウンドを楽しめる構造となっている。また、ルーフを格納すると流線型のスポーティな印象になるが、ルーフを閉じたシルエットは296 GTBにそっくりなほか、軽量なRHTは、最高45km/hまでなら走行中でも14秒で開閉が可能。
フェラーリ、新型PHEVモデル「296 GTB」国内初公開 新型V6ターボ×モーターで830CV&740Nm
エアロダイナミクスをオープントップ用に最適化
296 GTSのリアのエアロダイナミクスでは、リアデッキの後流をマネージメントするソリューションを中心に、RHTの導入に伴う制約がある中でも最適に機能するように開発。ウイング形状とフライング・バットレスによって、296 GTBと同じ空力効率と熱効率を実現できたという。また、スパイダーバージョンでも、より強いダウンフォースを発生させるために可動エアロデバイスとなる「可動リアスポイラー」を搭載。
可動リアスポイラーは、リアバンパーのデザインと一体化されていて、左右のテールランプの間に配置されている。最大ダウンフォースが不要な状況では、スポイラーは格納されているが、常時車両状況をモニタリングしている車両制御システムが加速度の設定値を超えたことを認識すると、その瞬間にリアスポイラーが稼働してボディから伸展。これにより、リアアクスルにかかるダウンフォースが100kg増加するという。
また、RHTをエンジンコンパートメント内に格納する必要から、フラヴィオ・マンゾーニ氏率いるフェラーリ・スタイリング・センターのチームは、新しいトノカバーのデザインを考案。その形状は、近年のフェラーリ・スパイダーとはまったく異なるスタイリング要素でテールは独自のデザインを採用。クーペモデルと同じ空力作用をもつ特殊な形態をしつつ、バーチャルフェアリングを創出。空力と冷却の効率が最大限に高まるように、上を通過する空気を空力的形状で正確にそらすという。この最適化により296 GTSの可動リアスポイラーが発生するダウンフォースは、296 GTBと同量になったとしている。
さらに、フェラーリのベルリネッタ(クーペ)と同レベルの快適性を確保するため、コクピット内の乱流を抑え、乗員周囲の空気の巻き返しを管理するソリューションを開発。ヘッドレスト後方のトリムの形状を最適化して、できるだけ多くの空気をトノカバーへ送り出し、車内に巻き返す気流の量を低減させたという。また、リアトリム周囲に残った気流は、トリムとシームレスに一体化したノルダーにぶつかり、ここで巻き返しが遮断され、乱流はセンタートンネル下部に到達する前に消散するという。
296 GTSは、AピラーやBピラー、そしてサイドシルなど、296 GTBのシャシーを再設計し、ねじり剛性は50%、曲げ剛性は8%高め、従来のスパイダーモデルよりも剛性が引き上げられているという。
296 GTSのパフォーマンスを最大限に発揮できる「アセット フィオラノ」
車両のパワーとパフォーマンスを最大限に活用したいオーナーのために、一切の妥協を排して大幅な軽量化やエアロパーツを駆使したという「アセット フィオラノ」パッケージを設定。
主な装備はGTレースから生まれ、サーキット走行に最適化された特別な「アジャスタブル・マルチマチック・ショックアブソーバー」や、フロントバンパーに装着するとダウンフォースを10kg上乗せできるカーボンファイバー製の「ハイダウンフォースパーツ」を備えるとともに、カーボンファイバーをはじめとする軽量素材をキャビンとエクステリアに幅広く使用。ドアパネルなどは基本構造を再設計され、全体で8kgの軽量化を実現している。
さらに、アセット フィオラノ パッケージ限定となる「250ル・マン」からインスピレーションを受けたスペシャルカラーもオーダー可能。フロントバンパーの両端から始まり、中央のグリルを包んでその外周を縁取り、ボンネットへと続いてハンマーのモチーフを形成。さらに縦に伸びて、RHTとトノカバー、リアスポイラーまで続くボディラインを作り上げている。
そのほかにも、アセット フィオラノ パッケージのみでオーダーが可能なものとして、高いグリップ力でサーキット走行に特に適しているミシュランの高性能タイヤ「パイロットスポーツ カップ2R」も設定されている。