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フェラーリ、新型PHEVモデル「296 GTB」国内初公開 新型V6ターボ×モーターで830CV&740Nm
2021年10月14日 11:08
- 2021年10月13日 実施
フェラーリの公道仕様では初の6気筒エンジンを搭載
フェラーリ・ジャパンは10月13日、マラネッロが生んだミッド・リアエンジンの最新2シーター・ベルリネッタ「296 GTB」を日本で初公開し、代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏によるメディア向けプレゼンテーションが行なわれた。
パストレッリ氏は「今日この296 GTBを紹介できることを嬉しく思う」とあいさつし、続けて「このモデルが誕生した背景には、運転する楽しさを体験してほしいという想いがあり、全身でワクワクを感じられる喜びを実現させるため、コンパクトでありながら、最高のパワートレーンとエアロダイナミクス、そしてクイックなレスポンスを兼ね備える1台を作り上げた」と紹介した。名称は「2.9リッター」「6気筒」「グラン」「ツーリスモ」「ベルリネッタ」を組み合わせて「296 GTB」となっている。
パワートレーンは、エンジニアがゼロから開発した新設計のエンジンで、フェラーリのロードカーとしては初めてV型(バンク角120°)6気筒 2.9リッターターボを搭載。さらに122kWのモーターを組み合わせたPHEV(プラグインハイブリッド)で、エンジン単体で663CV、モーター単体で167CV、トータル830CVを発生。今回V型6気筒を選択したのは、運転する楽しさを実現できるコンパクトな車両を目指し、パワートレーン自体を短くしたかったのが最大の理由で、結果的にホイールベースは最短になったという。同時に重心も低くでき、敏捷性も向上したとしている。性能数値は、最高速330km/h、0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速7.3秒を誇る。
IHI製ターボチャージャーは、より高性能な合金を採用した専用設計で、最高回転数を1万8000rpmまで引き上げることが可能になり、過給効率を24%向上しながらも、V型8気筒エンジンに使っているターボチャージャーよりも、コンプレッサーホイールの直径は5%、タービンホイールの直径は11%小さいものになっているという。
また、エグゾーストマニフォールドと触媒ハウジングは、すべてスチールとニッケルの合金であるインコネル製として、重量の低減と耐熱性が高められている。サウンドもターボのパワーとV型12気筒の自然吸気エンジンが奏でる高周波音と同等のハーモニーを両立させたとしている。
フロントパンパー左右には、エンジンやギアボックス、高電圧バッテリを冷やすためのラジエターが搭載されている。ラジエターを通過した熱い空気はボディ下部へと抜けてリアディフューザーにより後方へと排出されるため、ボディサイドにあるエンジンへフレッシュエアを取り込むダクトには流れ込まないようにデザインされている。
プラグインハイブリッドシステムは、フロア下に7.45kWhの高電圧バッテリパックを収容し、利便性だけでなく電力だけで走る「eDrive」モードでは25kmの走行を実現。エンジンに組み合わせられるモーターはリアに搭載し、F1で使用しているモーターから派生したことから「MGU-K(モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)」という名称も継承。トランジョン・マネージャー・アクチュエーター(TMA)を介して連携されている。今回MGU-Kの設計を改善したことで、モーター単体での最大トルクは315Nmと以前の仕様よりも20%向上させている。
また、電気のみを使う「eDriveモード」では、エンジンを使わなくても最高で135km/hを出すことができるほか、「ハイブリッドモード」では、高いパフォーマンスが求められたときのみエンジンを動かし出力をサポートしてくれる。
296 GTBでは、TMA(トランジョン・マネージャー・アクチュエーター)と、6w-CDS(6ウェイ・シャシー・ダイナミック・センサー)を自動車業界で初採用。この6w-CDSが収集したデータを活用するABS evoコントローラーや、電動パワーステアリングとグリップ推定機能の統合といった新機能も搭載されている。
さらに、ブレーキ・バイ・ワイヤの恩恵でペダルストロークが最小限で済むようになり、スポーティな感触がさらに強まったのと同時に、軽くブレーキングした際の効率性やサーキット走行でのペダルフィーリングも犠牲にしない「ABS evo」を搭載。ABS制御モジュールは、6w-CDSセンサーと統合されていて、リアタイヤのグリップ限界をさらに押し上げパフォーマンスを向上させてくれる。
この6w-CDSはこれまで使われていたヨーレートセンサーよりも正確な速度情報を得て、制動力を最適に配分するだけでなく、加速度と旋回速度の計測も行ないより最適な介入を実施するという。結果的に「F8 Tributo」との比較で、200-0km/hの制動距離を8.8%短縮、200km/hから繰り返しブレーキングした際の制動効率は24%向上したという。
フェラーリ、新しいV6 2.9リッターターボ搭載のPHEV「296 GTB」公開
可動デバイスを初めてダウンフォース増加に使用
エンジンをこれまでのV型8気筒やV型12気筒からV型6気筒に変更したように、エアロダイナミクスにも過去との明確な決別が見られ、「458 Speciale」で導入されてから受け継がれてきたアクティブエアロの枠組を覆し、初めて可動デバイスをドラッグ低減のためではなく、ダウンフォース増加のために使用。必要に応じてリアのダウンフォースを発生できる「アクティブ・スポイラー」をリアバンパーに組み込んだ。このアクティブ・スポイラーは最大で約100kgのダウンフォースを発生し、リアのグリップを向上させるとともに、操作性と制動力も高めてくれる。
また、ラジエターを左右に配置したことで中央部に空間ができ、そこに新たにフロントのダウンフォースを発生させる「ティートレイ」を採用。ティートレイを通過した空気はボディ下部へと流れ込み、ボディ下部の流速を速める効果も持つ。このティートレイを設けたことで、可変式のリップスポイラーがなくても安定したフロントダウンフォースを得られるようになったという。
リアのスタイリングは、これまでのフェラーリ・クーペの伝統と決別し、典型的なスパイダーモデルに見られる、ルーフとリア・ボンネットにギャップを設けた。このスタイリングを選択したことで、296 GTBはユニークでひと目で分かる特徴的なルックスとなった。
ヘッドライトは「ティアドロップ」形状にインスピレーションを受けつつ、新たな解釈により2個の宝石が埋め込まれているように見える「フェアド・イン・ティアドロップ」を新設計。また、内側の薄いライトの下は、空気をブレーキキャリパーへと送るブレーキ用エアインテークとなっている。
徹底的にデジタル化されたコクピット
コクピットはフェラーリ初の量産PHEV「SF90 Stradale」からの流れを受け、完全なデジタル・インターフェースを採用。シートや内装にはイタリアンレザーがあしらわれる。ドアパネルはダッシュボードからシームレスにつなげられ統一感を演出。センタートンネルにはSF90 Stradaleと同様に、クラシックなシフトゲートを現代的に解釈したセレクターを配置している。また、助手席前にはパッセンジャー・ディスプレイを備え、オーディオなどの操作をすることも可能となっている。
また、サーキットで296 GTBの究極のパワーとパフォーマンスを堪能するために、アジャスタブル・マルチマック・ショックアブソーバーやフロントバンパー用カーボンファイバー製カナード(ダウンフォース10kg増)、樹脂製のLexanリアスクリーンを標準装備とし、内装にもカーボンファイバーなど軽量素材を多用し、ドアパネルも含め全体で12kgを超える軽量化を実現した「Assetto Fiorano(アセット フィオラノ)」も設定されている。
最後にパストレッリ氏は「この宝石のような素晴らしいクルマを、ぜひ多くの人に見ていただきたいです」とプレゼンテーションを締めくくった。
フェラーリ正規ディーラー・ロードショー日程
なお、「ステアリングを握る楽しさ」という概念を根本から書き換え、限界まで攻めるドライビングに限らず、日常的な走行でも純粋な感動を味わえると定義された296 GTBは、10月31日から下記の日程で、全国の正規ディーラーで順次展示される。
・10月31日~11月4日:オートカヴァリーノ(兵庫県神戸市東灘区向洋町東3-6-5)
・11月6日~11月8日:コーンズ大阪(大阪府大阪市中央区博労町4-2-15)
・11月11日~11月12日:エムオート イタリア(広島県広島市南区霞2-9-2)
・11月14日~11月16日:ヨーロピアンバージョン(福岡市博多区堅粕14-21)
・11月19日~11月21日:コーンズ名古屋(名古屋市千種区内山3-23-19)
・11月24日~11月27日:ロッソ・スクーデリア(東京都港区六本木5-18-3)
・11月29日~11月30日:ニコル・コンペティツィオーネ(神奈川県横浜市西区みなとみらい2-2-1)
・12月2日~12月7日:コーンズ 芝(東京都港区芝3-5-1)
・12月11日~12月12日:MID サッポロ(北海道札幌市東区東苗穂5条2-6-32)