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フェラーリ、新しいV6 2.9リッターターボ搭載のPHEV「296 GTB」公開

2021年6月24日(現地時間)発表

新型「296 GTB」公開

 フェラーリS.p.Aは6月24日(現地時間)、オンライン記者会見を開催し、PHEV(プラグインハイブリッド)の最新2シータースポーツカー「296 GTB」を発表した。296 GTBは新しいV型6気筒2.9リッターターボのICE(内燃エンジン)と7.45kWのハイブリッドシステムから構成されるパワートレーンを搭載しており、ICEとハイブリッドを合わせた最高出力は後輪駆動スポーツカーのクラストップに位置する830CV、最高速330km/h、0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速7.3秒という性能を実現する。

 フェラーリによれば、この296 GTBは過去に販売していた車両の置き換えでなく、新しい市場を開拓する製品と位置付けられている。納車は2022年第1四半期(1月~3月期)が予定されており、イタリアでの販売価格は26万9000ユーロ(1ユーロ=132円換算で3550万8000円)、軽量パーツや空力的モディファイを含む「アセットフィオラーノパック」と呼ばれるオプションを選択すると30万2000ユーロ(同3986万4000円)と明らかにされた。

V6エンジンを搭載した2シータースポーツカー

296 GTB

 今回フェラーリが発表した296 GTBは、記者会見に登場したフェラーリS.p.A CMO(最高マーケティング責任者) 兼 CCO(最高商業責任者)のエンリコ・ガレリア氏によれば「この車両はこれまで発売されたどの車両も置き換える製品ではない。完全に新しいコンセプトの製品になる。目指しているのは運転の楽しさを訴求する製品」と述べ、スポーツドライビングを楽しみたいドライバーをターゲットにした製品だと説明した。

フェラーリS.p.A CMO(最高マーケティング責任者) 兼 CCO(最高商業責任者)のエンリコ・ガレリア氏

 ガレリア氏によると、296 GTBという名称の由来は2.9リッターでV6エンジンを搭載しているので296、それにフェラーリのスポーツカーでは伝統の名称であるGTB(グラン・ツーリスモ・ベルリネッタ。ベルリネッタとはクーペのことでクーペのGTカーという意味)を関した製品になるという。

 ガレリア氏は「この製品はフェラーリとしては2つめのハイブリッド車となり、パワーユニットをコンパクトにして重心を低くするなど新しいコンセプトで設計している。また、車両の動きも研究し尽くしたもので、空力などにもこだわりを入れており、ドライバーが運転していて楽しいクルマに仕上がっている」と述べ、フェラーリの中でもスポーツドライビングにフォーカスした製品と述べた。

296 GTBのボディサイズは4565×1958×1187mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2600mm

 なお、質疑応答ではかつてのフェラーリの名車である「ディーノ 246GT」と、V6エンジンなど共通性が多いのに、なぜ「ディーノ」ブランドが被されないのかという質問も出たが、ガレリア氏は「ディーノはフェラーリにとってクラシックで重要な名称。仮にそうした製品を作るのであれば、ディーノが切り開いたセグメントを受け継ぐ必要がある。その意味で、この296 GTBはディーノとは違う市場セグメントを作り出す製品としての位置付けが与えられており、ディーノを被せるという判断にはならなかった」と述べ、ディーノが作り出した市場とは異なる市場向けに296 GTBを投入するため、そうしたブランディングにはならなかったと説明した。

ICEで663CV、ハイブリッドで167CVを発生し、トータルで830CVを実現

296 GTBのV6ターボエンジン。IHI製ターボチャージャーを採用

 フェラーリS.p.A CTO(最高技術責任者)のミケーレ・ヒューゴ・レイター氏は「296 GTBではコンパクトなパワーユニットを採用している。ICEは663CVを発生し、ハイブリッドシステムは167CVを発生する。ICEのバンク角は120度で、バッテリーはクルマの低い場所に搭載するなどしており、重量バランスに優れている」と述べ、コンパクトで低重心なパワーユニットを採用したことで、重量バランスに優れている車両になったとアピールした。

 フェラーリによれば、ICEの重量は185kg、モーターの重量は22kg、そして7.45kWの蓄電容量を持つバッテリーは77kgとされており、両方を合わせた最高出力は830CV(ICE:663CV、ハイブリッド:167CV)に達する。これにより、最高速330km/h、0-100km/h加速2.9秒、0-200km/h加速7.3秒という性能を実現する。

フェラーリS.p.A CTO(最高技術責任者)のミケーレ・ヒューゴ・レイター氏

 また、フェラーリS.p.A CDO(最高デザイン責任者)のフラビオ・マンゾーニ氏は「今回の296 GTBはピュアさを追求したデザインになっている。250km/h走行時で360kgのダウンフォースがかかるようになっており、エレガントなデザインと空力が両立するように設計している」と述べ、必要な時だけオープンにして利用できる格納式リアスポイラーや、フロントのダブルウイングなどにより、見た目のエレガントさと空力性能が両立していると説明した。また、コクピットはフルデジタルになっており、より洗練されたHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)になっていると述べた。

フェラーリS.p.A CDO(最高デザイン責任者)のフラビオ・マンゾーニ氏
コクピットまわり

 なお、フェラーリから発表された諸元は以下のようになっている。

296 GTB 主要諸元

パワートレーン

120度V6ターボ
総排気量:2992cc
ボアxストローク:88×82 mm
最大ICE出力:663CV
最大ハイブリッドパワー出力:610kW(830CV)/8000rpm
最大トルク:740Nm/6250rpm
最高許容回転数:8500rpm
圧縮比:9.4:1
バッテリー容量:7.45kWh

サイズ・重量

サイズ:4565×1958×1187mm(全長×全幅×全高)
ホイールベース:2600mm
フロントトレッド:1665mm
リアトレッド:1632mm
乾燥重量:1470kg
乾燥パワーウェイトレシオ:1.77kg/CV
重量配分:40.5%(フロント)/59.5%(リア)
燃料タンク:65L

タイヤ・ホイール

フロント:245/35ZR20 9.0J
リア:305/35ZR20 11.0J

ブレーキ

フロント:398×223×38mm
リア:360×233×32mm

トランスミッション・ギヤボックス

8速F1 DCT

電子制御

eSSC:eTC、eDiff、SCM、FDE2.0、EPS、ABS Evo、6w-CDS:エネルギー回生機能付き高性能ABS/EBD

パフォーマンス

最高速:330km/h
0-100km/h加速:2.9秒
0-200km/h加速:7.3秒
200-0 km/h制動:107m
フィオラノ(フェラーリテストコース)周回タイム:1分21秒

296 GTBのエンジンは開発中に「ピッコロ V12(ミニ V12)」という愛称が付けられたという