ニュース

フェラーリ、リトラクタブル・ハード・トップを搭載したPHEV「SF90 スパイダー」日本上陸

2021年4月1日 実施

SF90 スパイダー

14秒で開閉する電動ルーフを搭載

 フェラーリ・ジャパンは4月1日、フェラーリ初となるプラグインハイブリッド車のリトラクタブル・ハード・トップモデル「SF90 スパイダー」の日本上陸に合わせて発表会を都内で開催し、代表取締役社長フェデリコ・パストレッリ氏によるプレゼンテーションが行なわれた。

 フェデリコ氏は冒頭「どんな状況においてもフェラーリは継続的に投資を行ない、新しいものを開発し続ける。それがフェラーリというブランドの誇りである」とあいさつ。また、今回オープントップとなるスパイダーを投入した理由としては、「世の中にはさまざまなオーナーがいて、いろいろなニーズがあるので、それに対して常にしっかりと応えていきたいからだ」と説明した。

プレゼンテーションを行なったフェラーリ・ジャパン代表取締役社長フェデリコ・パストレッリ氏

 フェラーリブランド初の量産PHEVモデル「SF90 ストラダーレ」のスパイダーバージョンとなるSF90 スパイダーは、技術はもちろん、性能、ルックス、すべてにおいてユーザーの想像や期待値をはるかに超えたモデルで、何かしらの「驚き」を届けたいという想いが込められていると言う。そしてもう1つ重要なのが、技術部門とデザイン設計部門が密に連携して完成することができた点だとフェデリコ氏。

 さらにSF90 スパイダーもSF90 ストラダーレも、歴代のフェラーリの中で最高のパフォーマンスを持っていた「ラ・フェラーリ」よりも高性能で、走る楽しさも上まわっていることを紹介。同時に歴代モデルの置き換えではなく、これはまったく新しいスポーツカーで、特別なモデルであることを強調した。

SF90 シリーズの開発理念
歴代スーパーカー
新スポーツカーの関係

 続けて、スパイダーの特徴となるリトラクタブル・ハード・トップについては、わずか14秒で開閉し、走行中も45km/hまでは開閉が可能と紹介。さらに、エンジンが見えるようになっている部分に言及し、「F430」もエンジンが見えるようになっていたが、屋根が開閉するスパイダーモデルでもエンジンが見えるようにできたのが、このクルマの素晴らしい点だと語気を強めた。

 このリトラクタブル・ハード・トップは、アルミニウム製のため一般的なリトラクタブル・ハードトップよりも約40kgも軽量となり、さらにオープン時は電動リアウィンドウを調整することで、高速走行中も快適な車内を維持できるようになっている。

【フェラーリ】SF90 スパイダー リトラクタブル・ハード・トップ開閉(59秒)

エンジン+3基のモーターで総合最高出力1000CV

 続いて走行性能についてフェデリコ氏は、マシンスペックについていくつかの数字から紐解いて紹介。まず総合最高出力1000CVについて、最高出力780CV/7500rpmを誇る90度バンクV型8気筒 4.0リッターターボエンジン(最高許容回転数は8000rpm)に加え、フロントにはRAC-e(コーナリング・アングル・レギュレーター、エレクトリック)システムの一部である2基のモーターを搭載し、リアのモーターにはF1マシンで開発されたMGUK(モーター・ジェネレーター・ユニット、キネティック)を搭載。この3基の電気モーターeDrive(162kW)の最高出力220CVがアシストすることで総合最高出力1000CVを発生。1リッターあたりの出力は195CVを実現していると解説。

別次元を加えるRHT(リトラクタブル・ハード・トップ)
主な性能値
史上最高のV8を超えて
初のプラグインハイブリッド
RAC-e(電動フロントアクスル)

 その結果、0-100km/h加速は2.5秒、0-200km/h加速は7.0秒、最高速は340km/h、100km/hからの完全停止距離は29.5mを実現。この高性能はハイブリッドという構造のおかげであると説明しつつ、「パワーは走る楽しさを提供する要素の1つに過ぎず、本当に走る楽しさを感じるためには、パワーとコントロール性の2つが揃わなければならない。フェラーリはパワーを届けたいのではなく、感動を届けたいのだ」と改めて述べた。そしてそのためにオンデマンド4WDを採用し、フロントの2基のモーターは左右のタイヤを独立して制御し、コントロール性に加えて俊敏性も高くなっていると紹介した。

新しいHMI(ヒューマン マシン インターフェイス)

 コクピットに関しては、ドライバーがドライビングによりのめり込めるように設計していると紹介。特に重要な要素として、クルマの機能の80%をステアリング内に搭載したことで、ドライバーは路面からほとんど目を離す必要がないという特徴を解説。

 また、ステアリングの左側には「eマネッティーノ」が内蔵されていて、ドライバーは「eDrive」「Hybrid」「Performance」「Qualify」の4つのパワーユニット・モードから1つを選択して、爽快なドライビングを楽しめるという。

 eDraiveモードは完全なEV走行となり、満充電での航続距離は25kmで、最高速は135km/hに制限される。Hybridモードはデフォルトのモードで、システムはクルマがすべて自動で管理してくれるという。Performanceモードは、ワインディングなどドライバーがもっとパワーを要求するときに使用するモード。Qualifyモードは、エンジンとすべてのモーターがフルパワーを発揮するサーキット用のモードだと解説。

eDriveモード
Hybridモード
Performanceモード
Qualifyモード

 最後に、特別パッケージとなる「アセット・フィオラノ」は、レース部門と技術部門が作りあげたもので、アルミニウム製ダンパーやチタン製スプリング、チタン製エグゾーストパイプなど軽量素材に置換したことで約22kgの軽量化に成功。ボディカラーも特別に2トーンカラーを採用していると紹介して発表会を締めくくった。

アセット・フィオラノ

エクステリア(外装)

 ボディサイズは4704×1973×1191mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2649mm。乾燥重量は追加オプション装着車で1670kg、重量配分は前45%、後55%となる。タイヤはフロントが255/35ZR20(ホイールは9.5J)、リアは315/30ZR20(ホイールは11.5J)、タイヤはミシュラン「パイロット スポーツ カップ 2」を履く。

低く構えたノーズ
マフラーはリアバンパー中央に2本
リアディフューザーを装備
エンジン左側に給電ポートを完備
エンジンはV型8気筒 4.0リッターターボ
給油口はエンジンの右側に配置される
フロントタイヤは255/35ZR20
リアタイヤは315/30ZR20
ライトOFF
ポジション状態
ヘッドライトON
ポジション状態
ストップランプ点灯
ウインカー

インテリア(内装)

 内装は基本的にSF90 ストラダーレを継承しているが、センターコンソールにリトラクタブル・ハード・トップの開閉ボタンやウィンドウのスイッチが追加されている。

両席ともカーボン製バケットシート
8速F1DCTなので2ペダルとなる
助手席にはアルミ製フットレストが付く
メータパネルは16インチのフリーフォーム曲面ディスプレイを採用
エアコンのスイッチ類も同様にタッチパネル式となる
左右ウィンドウ、後方ウィンドウ、リトラクタブル・ハード・トップの開閉のボタンはセンターコンソールに集約
パドルシフト付きのカーボン製ステアリング、ボタン類は突起のない静電式となっている