アウディ、「A8」を大幅アップデート デザイン一新や新V8エンジン採用など

路面や走行条件を先読みし、車両の姿勢変化を整える「プレディクティブアクティブサスペンション」採用

　アウディ ジャパンは4月21日、フラグシップセダン「A8」に大幅なアップデートを行ない、7月に発売する予定であることを発表した。価格は1190万円～2050万円で、ステアリング位置は全グレードで左右から選択可能。

　今回の改良ではデザインを一新。シングルフレームグリルは底辺を広げることでより存在感が増しており、クロームインサートによってプレステージ性を高めたという。また、サイドエアインテークも同様にクロームによって強調されており、6ライトのキャビンデザインやなだらかに傾斜するリアエンドなどにより、端正でエレガントなフォルムを実現している。

　彫刻的なデザインのフェンダーはオリジナル クワトロを彷彿とさせる力強さを表現し、テールランプをLEDライトストリップで結ぶことで高級感を高めた。新たに全モデルに標準装備する「マトリクスOLEDリヤライト」は、薄くて軽量でデザインの自由度が高く、消費電力の少ない有機発光ダイオード（OLED）を採用したもので、走行モードによりその表情を変えるとともに、後続車が2m以内に近づくとすべてのOLEDセグメントを点灯させることで車間距離を警告する機能を備えたという。また、新たにスポーティなS lineエクステリアをオプション設定しており、ブラックハニカムパターンのS lineグリル、バンパー、20インチ専用ホイールにより堂々たる印象を高める。

A8 L 60 TFSI quattro

シングルフレームグリルのデザイン変更や「マトリクスOLEDリヤライト」の標準装備などが行なわれた

　新型A8のインテリアは開放的なラウンジをイメージしたものとなっており、幅広さを強調するために水平基調のシンプルで上品なデザイン、エクステンデッドレザーやエスクテンデッドアルミニウムルックインテリアなど、素材のクオリティにこだわることで上質で快適な室内空間を実現。さらにS lineインテリアプラスパッケージやAudi デザインセレクションといった新たな選択肢も設定された。

A8 L 60 TFSI quattroのインテリア

S lineインテリアプラスパッケージ装着車

　パワートレーンは3.0 TFSIと4.0 TFSIの2種類を設定し、V型6気筒3.0TFSIエンジンは過給方式にツインスクロールターボを採用し、最高出力250kW（340SP）、最大トルク500Nmを発生。V型8気筒4.0TFSIエンジンは2基のツインスクロールターボを搭載した新エンジンとなり、最高出力338kW（460PS）、 最大トルク660Nmを発生する。

　いずれも8速ティプトロニックに加え48V電源システムとマイルドハイブリッド（MHEV）を搭載しており、高効率で力強い走行を実現する。このMHEVシステムはリチウムイオンバッテリとベルト駆動式オルタネータースターター（BAS）により、減速時には最大12kWの回生エネルギーをリチウムイオンバッテリに送り込むことが可能。また、コースティング（惰力走行）時のエンジン完全停止に加えて、アイドリングストップの動作速度を22km/hに高めたことで、100km走行あたり最大0.7L（欧州値）の燃料を削減することに成功した。

　また、全モデルに機械式センターディファレンシャル搭載のquattro フルタイム 四輪駆動システムを採用。セルフロッキングディファレンシャルは通常時にはフロント40：リア60にトルクを非対称に配分し、FRのような軽快なハンドリングとフルタイム4WDならではの優れた走行安定性を両立。路面状況によってトルク配分を可変することで、優れたトラクション性とダイナミックな走行性能を実現しているという。

　ボディおよびシャシーに関しては、ボディパネルやフレーム部分にアルミニウムを採用する一方で、キャビンに熱間成型スチールコンポーネントとカーボンファイバー（CFRP）のパネルを採用するとともに、ストラットタワーバーにマグネシウムを用いることで高いボディ剛性と軽量化を両立した。また、全車に快適な乗り心地とスポーティなハンドリングを両立するアダプティブエアサスペンションを標準装備する。

　さらに、全モデルに先進のプレディクティブアクティブサスペンションをオプション設定（S8には標準装備）した。これは車両が路面や走行条件を先読みし、それぞれ1100Nmを発生する電動モーターを内蔵する4つのサスペンションを瞬時独立制御することにより、車両の姿勢変化を整えるテクノロジ。例えば、アウディトドライブセレクトのダイナミックモードを選択するとスポーティな走行に最適な走行姿勢を作り出す。また、コンフォート＋モードでは、ステアリングがフロントカメラと連動して路面状況を把握し、アクチュエータを予測的に制御することによって路面の凹凸をスムーズに吸収したり、加速・減速・旋回の各状況において常に車体を水平な状態に維持し、快適な乗り心地を実現するという。さらにアウディプレセンス360と連動し、側面衝突が避けられないと判断した場合には衝突面の車高を約8cm引き上げ、車両剛性の高い部位でインパクトを受けるとともに、衝撃をサスペンションの減衰力で吸収し、キャビンの変形や乗員への衝撃を軽減する。

　そのほか新型A8では従来のアダプティブクルーズコントロール、アクティブレーンアシスト、トラフィックジャムアシストを統合したアダプティブドライブアシスト（ADA）をはじめ、フロント、リア、サイドと全方位で事故を予防し、衝撃を軽減するアウディプレセンス360、駐車などの際に車両の前後だけでなくタイヤの周辺の状況を3Dビューにより確認し、ホイールが縁石などに接触してダメージを受けることを未然に防ぐカーブストーンアシストなど、最新のセーフティ機能やドライバーアシスタンスシステムを搭載した。

48Vマイルドハイブリッドを採用する新型S8

新型S8

　新型S8には最高出力420kW（571PS）、最大トルク800Nmを誇るV8ツインターボの4.0 TFSIエンジンを搭載。48Vマイルドハイブリッドシステム、8速ティプトロニックを組み合わせることで高性能と高効率を両立した。

　乗り心地と操縦安定性をバランスよく、高いレベルで実現するプリディクティブアクティブサスペンションをはじめ取りまわしを向上させる一方で、高速では前輪と同じ向きに切ることでスムーズなレーンチェンジなどを実現するダイナミックオールホイールステアリング、高速コーナリング時に左右のリアホイール間で積極的にトルクを配分し、さらにスポーティなハンドリングを実現するリヤスポーツディファレンシャルを標準装備する。

　エクステリアでは、専用デザインの前後バンパーやアルミニウムルックインサートにより精悍さを増したハニカムデザインのシングルフレームグリル、専用の点灯パターンを採用するOLEDリヤライトや4本出しの楕円エキゾーストフィニッシャー、5ダブルスポークスターデザインの21インチアルミホイールを採用してパフォーマンスの高さを表現。

　インテリアはブラックを基調としたもので、フルレザーパッケージやバルコナレザーの専用スポーツシートなどにより、スポーティさと上質さを両立。エクステリアカラーにはS8ならびにS lineエクステリアパッケージ専用となる、デイトナグレーパールエフェクトやウルトラブルーメタリックといった新色も設定されている。

新型S8