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ジヤトコ、カエルとキリギリスの足裏をヒントにした「バイオミメティクスを活用した湿式クラッチ」を開発

2022年5月16日 発表

カエルとキリギリスの足裏に共通する六角形の形状をクラッチのスチールプレート側に加工

 ジヤトコは5月16日、カエルとキリギリスの足裏をヒントにした表面加工技術を採用した「バイオミメティクス(生物模倣)を活用した湿式クラッチ」を新開発したと発表した。今後、量産に向けてマイクロプレス技術を有する特殊発條興業と共同開発を行ない、同社のAT/CVTや電動車両用e-Axleへの採用や、幅広いモビリティ関連の製品への適用を検討していくとしている。

 今回、同社が開発した表面加工技術は、バイオミメティクス(生物模倣)としては珍しい、2種類の動物からヒントを得て開発。キリギリスの足には接触面とのスティックスリップ現象(静摩擦力が作用する状態と動摩擦力が作用する状態が交互に発生することによって起きる振動現象)を抑制し滑らかな摩擦を作り出す機能、カエルには濡れた接触面をグリップする機能があると考えられていて、この両者に共通する六角形の形状をクラッチのスチールプレート側に加工することで、低温時の伝達安定性やクラッチの耐久性を高めた。

 自動車用の湿式多板クラッチは、スチールプレートと呼ばれる金属板と、フェーシングプレートと呼ばれる金属板に摩擦材を貼り合わせたものを交互に配置した構造を採用している。これまで、クラッチの性能向上は主にフェーシングプレート側の摩擦材の性能向上に主眼が置かれてきたが、今回開発した表面加工をスチールプレート側に施すことでクラッチの性能を高めることが可能になり、社内試験において耐久性、摩擦特性ともに大幅に改善することを確認したという。