ニュース

パナソニック、JVCケンウッド、WiLの3社、AIカメラなど「エッジAI」開発の新会社「Vieureka株式会社」に共同出資

2022年6月7日 発表

開発者向け「Vieurekaカメラ スターターキット」

 パナソニックHD(パナソニック ホールディングス)、JVCケンウッド、WiL(WiL, LLC)の3社は6月7日、新会社「Vieureka株式会社」に共同出資し、2022年7月1日より営業を開始すると発表した。新会社では、AIカメラをはじめとするハードウェアとAIを掛け合わせた「エッジAI」の社会インフラとして「Vieureka(ビューレカ)プラットフォーム」を提供していく。

 新会社の代表取締役は、パナソニックHDでVieureka事業のプロジェクトリーダーを務める宮﨑秋弘氏が就任。株主構成は、パナソニックHDが32.967%、JVCケンウッドが32.967%、WiLが31.868%で、代表の宮﨑氏も2.198%出資する。

Vieureka(ビューレカ)プラットフォーム

 これまで、パナソニックHDが展開していたVieureka事業は、エッジAIの現場実装を支える「Vieurekaプラットフォーム」を2017年から提供しており、エッジAIカメラの運用数ではシェアNo1という。現在、Vieurekaパートナープログラムには65社が参画。パートナー企業と共に、さまざまな現場でのエッジAI活用に向けて取り組んでいる。

 これまでの導入実績・事例として、小売・流通業界では、売場での顧客到達率や商品接触率といった定性情報の定量化により前年比売上約10%増加に貢献。介護業界では、介護者が各入居者の部屋に夜間巡視していた時間の約77%短縮に貢献。製造業界では、工場での不良品検査における熟練技術者の代替えなどを実現。さらに、交通、公共施設、建設、農業など、さまざまな業界でのエッジAI活用に向けた取り組みを続けている。

短時間でAIカメラを活用した画像解析の体験が可能な開発者向け「Vieurekaカメラ スターターキット」

 新会社Vieureka株式会社では、Vieureka事業を行なってきたパナソニックHDと、ドライブレコーダー市場のリーディングカンパニーであるJVCケンウッド、企業のオープンイノベーションを促進するWiLが共同で出資して運営され、エッジAIにおけるグローバルでの社会インフラ構築を目指し、その取り組みを加速させることを目的としている。

 Vieureka株式会社 代表取締役の宮﨑秋弘氏は「現場の人手不足が叫ばれるなか、豊かな社会を維持し、発展させていくには、労働生産性向上の課題から目を背けることはできません。この課題解決に寄与するのがエッジAIだと確信し、開発・導入・運用などのハードルを下げるプラットフォームを提供してきました。世界の現場にある多様な課題に向き合うには、パートナー企業様との共創も不可欠です。当社はエッジAIの社会インフラを提供し、さらなる共創を推し進め、Vieurekaの目指す未来を実現してまいります」とコメントしている。

 パナソニック ホールディングス株式会社 執行役員 グループCTO、コーポレートイノベーション・ベンチャー戦略担当の小川立夫氏は「本件は、研究開発部門から生まれたプロジェクトをスタートアップ企業へトランスフォーメーションさせるという、当社にとってもこれまでにない挑戦です。この取り組みを、オープンイノベーションの理念のもと、力強い体制で立ち上げられることを嬉しく思います。これから急速に拡大していくエッジAI市場に対して、当社単独で取り組む以上の事業成長を果たし、社会・お客様に貢献していくことを、当社も支援してまいります」とコメント。

 JVCケンウッド 代表取締役 専務執行役員、モビリティ&テレマティクスサービス分野責任者、事業改革担当の野村昌雄氏は「当社は、中期経営計画「VISION2023」において『通信型ドライブレコーダー端末の付加価値向上によるサービス事業』の創出を掲げています。その実現に向けて、Vieurekaプラットフォームという必要不可欠な基盤技術を活用するにあたり、これ以上ないスタートを切ることができました。今後は新会社とのビジネス連携を強力に推進することで、エッジAIプラットフォームサービス事業の拡大を共に図ってまいります」と述べた。

 また、WiL ジェネラルパートナー兼共同創業者の松本真尚氏は「世界共通のテーマである労働生産性の向上に向けて、エッジAIの社会実装に取り組むVieurekaの挑戦。そして、このVieurekaを、会社の枠や前例にとらわれず、タッグを組んで支援するパナソニックHD、JVCケンウッドの挑戦。大企業の変革・オープンイノベーション創出支援に取り組むWiLとして、彼らの高い志と挑戦に大きな社会的意義を感じるとともに、ご支援できることを嬉しく思います」とコメントしている。

新会社概要

・社名:Vieureka株式会社
・本社所在地:大阪府門真市大字門真1006番地
・事業内容:エッジAIを活用したソリューションの開発支援・管理・アップデートを行うプラットフォームの提供、本プラットフォームを活用したソリューションの提供