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フェラーリ「296 GTS」発表会 「すべてのオーナーにFUN to Driveを届けられる1台」とフェデリコ社長

2022年6月24日 公開

代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏は「一緒にフェラーリを楽しんでほしい」と想いを述べていた

日本では4130万円からで、納車は1~2年ほどかかる見込み

 フェラーリ・ジャパンは6月24日、ミッド・リアエンジンの2シーター・ベルリネッタ「296 GTB」のスパイダーモデルとなる新型「296 GTS」を公開。メディア向け発表会では、代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏がプレゼンテーションを実施。新型296 GTSの概要紹介を行なった。現時点での価格は4130万円~で、納車は1~2年ほどかかる見込みとのこと。

 新型296 GTSは、296 GTBと並んで、ステアリングを握る楽しさという概念を根本から書き換え、限界まで攻めるドライビングに限らず、日常的な走行でも純粋な感動を味わえるモデルであり、公道用スパイダーモデルとしてはフェラーリ史上初めて6気筒エンジンが搭載されたモデル。

ボディサイズは4565×1958×1191mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2600mm、乾燥重量は1540kg

 フェデリコ氏は「4年ぶりに鈴鹿サーキットでフェラーリの祭典『フェラーリ・レーシング・デイズ』を開催できることと、296 GTSを発表できたこと非常に嬉しく思う」とあいさつ。続けて「296 GTSは、SF90 ストラダーレ、SF 90 スパイダー、296 GTBに続く4台目のPHEVモデルで、さまざまなフェラリスティのために異なるフェラーリを用意しているので、もっと多くのユーザーをフェラーリファミリーに招きたいし、一緒にフェラーリを楽しんでほしい」と想いを述べた。

発表イベントにてプレゼンテーションを行なう代表取締役社長のフェデリコ・パストレッリ氏

 そして車両の詳細を説明する前にモデル名称について、「総排気量2992ccの“29”とV型6気筒数の“6”に、グラン・ツーリスモ・スパイダーの頭文字である“GTS”を組み合わせたものである」と紹介。

 車両の開発コンセプトについては。「速さや性能だけでなく、ドライビングの楽しさ、技術のイノベーションなど、あらゆる領域でトップを目指したもので、296 GTSはアジリティと俊敏性を持ち、さらにファンタスティックなRHT(リトラクタブル・ハード・トップ)が追加され、すべてのオーナーに“FUN to Drive”をお届けできると考えている。ぜひ、この素晴らしいコンセプトの1台を体感していただきたい」とコメント。

 また、296 GTSは「V型6気筒エンジン+ハイブリッドシステム」「エアロダイナミクス」「ショートホイールベース」「デザイン」という4つの特徴的なエレメントを揃えていると解説。

エンジンはV型6気筒2.9リッターターボエンジン(バンク角120°)、ドライサンプ仕様を搭載。モーターも加えたハイブリッドシステム総最高出力は610kW(830CV)/8000rpm、最大トルク:740Nm/6250rpmを発生。トランスミッションは8速F1 DCTが組み合わされる

 V型6気筒にした理由については、コンパクトなエンジンサイズによる車両の軽量化と、ショートホイールベースの実現につながるからで、ホイールベースが短いほどパフォーマンスとアジリティが高まり、296 GTSはフェラーリの中でももっともホイールベースが短い2600mmとなっていると。また、低重心にもなるのでさらにアジリティが増すという。6気筒サウンドもフェラーリとしてはユニークなエンジンサウンドだと表現している。

 電動モーターはリアのギヤ部分に組み合わされ、高圧バッテリとインバータもリアに搭載され、エンジン単体で663CV、そこにEVにより167CVが追加され、結果的に830CVを実現している。また「EVモードでの航続距離は25kmで、最高速は135km/hを誇る」とフェデリコ氏は解説する。

122kW(167CV)の電気モーターとバッテリがリアに搭載されている

 フェデリコ氏は、エアロダイナミクスの重要さにも言及。ダウンフォースを100kg増すことによるアジリティの増加を目的に開発し、ポイントはバーチャルウィンドウスクリーン、スポイラー形状、リアアクティブスポイラーなどがあるという。フロントノーズにある「Tトレー」は、F1からインスピレーションを得たアイテムで、クルマの床下に空気を送り込むことでダウンフォースを増す設計としている。可動式のリアアクティブスポイラーは、ブレーキと連動していて減速時のノーズダイブ(フロントの沈み込み)を軽減させるためにリアに急激なダウンフォースをかける装置となっている。296 GTSは最高速が330km/h、0-100km/h加速は2.9秒、0-200km/h加速は7.6秒と、フェデリコ氏は「あらゆる領域でFUN to Driveを実現している」と性能の高さを紹介した。

ブレーキと連動して稼働するリアアクティブスポイラー

 最後にデザインについてフェデリコ氏は「重要な要素は歴史とのつながりである」といい、296 GTSは1969年の名作「250LM」からインスピレーションを得て、クリーンなラインとスポーティな印象を与える波打つデザインをコンパクトなボディに集約していると解説。さらに、カーボンファイバーやチタンを使用して8kgの軽量化を実現したモデル「アセット・フィオラノ」も設定されていると紹介して締めくくった。なお、アセット・フィオラノはベース金額から400~430万円程度アップで、ボディラインペイントはさらに別途200万~220万円程度必要となる。

さらなる軽量化が施される296 GTS「アセット・フィオラノ」