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パナソニック、2022年度第1四半期決算、「オートモーティブは為替で増収、車両減産・コロナ・原材料高騰などで減益」と梅田博和グループCFO
2022年7月29日 14:03
- 2022年7月28日 実施
パナソニックホールディングスは7月28日、2022年度第1四半期(2022年4月~6月)連結業績を発表し、取締役 副社長執行役員 グループCFOの梅田博和氏が説明を行なった。
セグメント別業績のうち、オートモーティブの業績は、売上高は前年同期比4%増の2696億円、調整後営業利益は142億円減のマイナス121億円の赤字。営業利益が前年度の22億円からマイナス106億円の赤字となった。
オートモーティブは、車載コックピットシステムや車載エレクトロニクス事業を担当。梅田氏は、「オートモーティブは、自動車生産減少の影響があったものの、為替効果により増収。営業利益は、半導体などの部材高騰に対し、コストダウンや価格改定による影響軽減を進めたが、減販損や減価償却費などの固定費増などもあって減益となった」と説明した。
また、テスラ向けの車載電池などを担当するエナジーは、売上高は前年同期比21%増の2278億円、調整後営業利益は31億円減の165億円、営業利益が13%減の163億円となった。梅田氏は「旺盛なEV需要を背景に車載電池の販売が拡大して増収となったが、原材料高騰や物流費の増加、開発費や増産に伴う固定費増により減益になった」という。
エナジーにおける利益構成は、車載電池が3割強、産業・民生向け電池が7割弱となっており、「エナジーソリューションやエナジーデバイスについては高収益率を確保できているが、モビリティエナジーは5%を切る営業利益率になっている。この背景には、現在開発中の車載用リチウムイオン電池の『4680』への投資や、北米における生産ラインへの投資などが影響している」と梅田氏は述べている。
エナジーは減益の業績にはなっているものの、同事業における価格改定の成果は少しずつ貢献しており、「2021年度よりは良化している」と述べたほか、「エナジーは、輸出製品が多いため、円安の動きは、売上高、利益ともにプラスに影響する。第1四半期業績では、約400億円の増収のうち、約3分の2が為替の影響によるものとみている」という。
また、増収幅が大きいのは車載電池であり、とくに米国市場向けに、米ネバダ州の工場で生産している車載電池が増収に貢献しているという。「14ライン目を投入しており、稼働率も高まっている。想定通りの増収を達成することができる」とし、米ネバダ州の車載電池工場が投資回収フェーズに入っていることに手応えをみせた。
なお、開発中の車載用リチウムイオン電池「4680」の生産に向けては、今後、和歌山工場で量産検証を行なう予定で、「生産性、採算性を見極めていくことになる」と梅田氏は述べた。2022年5月からパイロットラインを稼働しており、顧客へのサンプル納入を開始。さらに和歌山工場の建屋の改装や設備製作を開始しているという。
また、2022年7月14日には、米国における車載リチウムイオン電池工場の建設計画において、カンザス州の投資誘致補助金制度である Attracting Powerful Economic Expansion(APEX)への申請を、カンザス州が承認したことを発表。カンザス州デソトに建設される予定の同工場では、最大4000人の新規雇用を生み出し、約40億ドルの投資が見込まれているという。同工場では「4680」の生産が想定されている。
梅田氏は、「現時点でパナソニックエナジーが発表している工場は、垂直統合であり、自前でやるというものである。だが、この領域に流入する資金の流れも変化してきている。そうしたことも捉えながら、キャピタルアロケーションを考えていきたい。まだ、資金がいくら必要なのかということが決定していない段階であり、さまざまなケースを想定しながら、いろいろなシミュケーションを行なっている」などと述べた。
一方、パナソニックホールディングス全体での2022年度第1四半期の売上高は、前年同期比10.1%増の1兆9738億円、営業利益は39.0%減の637億円、調整後営業利益は45.0%減の657億円、税引前利益は32.2%減の735億円、当期純利益は36.0%減の489億円となった。
セグメント別では、くらし事業の売上高は前年同期比7%増の8365億円、営業利益が15%減の383億円。コネクトの売上高は前年同期比18%増の2448億円、営業利益は前年度の1億円の黒字から、マイナス95億円の赤字に転落。インダストリーの売上高は前年同期比4%増の2965億円、営業利益は前年並みの265億円となった。
梅田氏は、「第1四半期の売上高は、中国・上海でのロックダウンや、半導体不足および部材不足による生産および販売への影響があったが、車載電池などの販売増に加えて、Blue Yonderの連結化や為替効果によって増収となった」とする一方、「価格改定は、エナジーとインダストリーが最も進んでいる。価格改定による業績の良化は、第2四半期、第3四半期、第4四半期と、徐々に進んでいくことになる」と述べた。
第1四半期における原材料および物流費高騰のマイナス影響は560億円となり、それに対して、価格改定や合理化などによるプラス影響は273億円としている。
なお、2022年度(2022年4月~2023年3月)連結業績見通しは、パナソニックグループ全体で売上高は前年比6.9%増の7兆9000億円、営業利益は0.7%増の3600億円、調整後営業利益は6.2%増の3800億円、税引前利益は0.1%減の3600億円、当期純利益は1.8%増の2600億円と、年初計画を据え置いた。
パナソニックグループでは、材料費の高騰で年間1500億円のマイナス影響を見込んでいるという。梅田氏は、「半導体不足や原材料高騰の影響が大きくなった2021年度第2四半期以降、パナソニックグループの収益性が低下しているところに、直近では、ロックダウンの影響が加わり、経営環境としては苦しい状況となった。だが、第1四半期の調整後営業利益をみると、ロックダウンが解除された2022年6月には大きく改善しており、長らく低調に推移してきた業績は、2022年5月をボトムに回復に転じたものと考えている」と述べ、「エナジー、空質空調事業などの増販やオペレーション力の徹底強化に加え、原材料高騰に対しては、価格改定の取り組みをさらに進めることによって、第2四半期以降の業績は回復に向かうものと考えている」との見通しを示した。