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日野の排出ガス認証申請不正でトヨタ「ダイナ」「トヨエース」も出荷停止に すでに販売した約1.9万台も対象に

 トヨタ自動車は8月22日、同日日野自動車で判明した排出ガス認証申請不正で、トヨタの「ダイナ」「トヨエース」2トン積系(カーゴ、ダンプ)も出荷停止としたことを発表した。今回、新たに4リッターディーゼルエンジン「N04C(HC-SCRシステム搭載)」が排出ガス認証申請不正となったことで、これまでに販売した約1.9万台の車両も対象となる。

 すでにトヨタは、出荷停止の対応やトヨタ自動車 代表取締役 豊田章男氏のコメントを発表。同時午後には、オンラインにおいてトヨタ自動車 執行役員 長田准CCO(Chief Communication Officer)が答えた。

 長田氏は、8月2日の日野の会見以降、11月までの3か月の猶予を持って取り組んでいる再建計画発表にトヨタも協力している中で起きた今回の排出ガス認証申請不正について「本当に心から残念でならない」とコメント。排出ガス認証申請不正が4リッターエンジンにまでおよび、同エンジンを搭載したトラックを日野が製造し、トヨタとしても販売していたことから、日野が出荷停止することに伴いトヨタも出荷停止した。

 今回の日野の問題は、8月2日に外部有識者で構成される特別調査委員会の調査書を関係省庁に提出した上で、国交省からの指摘で新たな排出ガス認証申請不正が見つかった点にある。ある意味、日野の調査能力を問われかねないし、さらなる経営不振につながっていく可能性もある。とくに自動車会社として安全・安心の基本となる技術力や信頼が揺らいでおり、日野自動車の株式を51%所有する親会社であるトヨタ自動車への対応も注目される。

 長田氏は、トヨタとしてもやれることがないのかということで、技術の人間、現場の人間を日野の方に送り込んでいるという。法規対応などについて、トヨタだったらこういうマイルストーンやゲートチェック、監査などをやっていることを日野の現状にあてはめて確認しているのが現状とのこと。

 ただ、乗用車のメーカーのステップは有効であるものの、具体的な実務に落として、人に落として、人が働きやすいような組織設計をし直して全体を機能させると言うことについては、「これは日野の人たちでないとできないです」と語る。

 大型のエンジンについての知見やノウハウ、規制についてなどは乗用車メーカーであるトヨタとしても分からない部分があるし、認証のノウハウについても違うところがあるという。

 監査をしていく機能、現場をつないでいく機能、排ガスを測定していく部分などは現場の総合的な力のため、ここを徹底的に直していかないとうまくはいかない、とのこと。

 そのため、「再生していくためには、日野の現場の人たちがどう変わって、それをどう組織の力としてパワーにつなげていくのか」が大切だという。

 トヨタとしては、再建計画策定へ向けて協力している中で新たな問題が起きた形になり、日野自動車が会社として独立している以上、親が子を見守るというスタンスが豊田章男社長のコメントに現われている。

 しかしながら、本当にこれ以上問題は広がらないのか、日野は本当に変われるのか、ユーザーの信頼を取り戻せるのか、が厳しく注目されており、その信頼が揺らいでいるからこそトヨタへの強力な介入の期待も高まっている。ただ、トヨタとしてはまずは「再生していくためには、日野の現場の人たちがどう変わるか」という部分から協力、再建計画など短期的な観点と、その先の中長期的な観点で関わっていくようだ。